認知症予防の基礎知識|食事、運動、ゲーム、サプリまとめ

ひと昔前まで「予防できない」と言われていた認知症ですが、現在、世界中でさまざまな研究が行われおり、「なりにくくなる予防方法」は分かってきました。

認知症予防には、大きく分けて2通りの方法があります。ひとつは、食生活・運動・生活習慣など日々の生活の中で見直す方法、もうひとつは、ゲームやサプリなど、能力を補ったり改善させる方法です。ここでは、それぞれの予防方法の詳細について、解説していきます。

食生活で予防する

効果的な食事として、和食が挙げられます。和食が良いと言われている理由は、DHAやEPA等の不飽和脂肪酸が魚や野菜に含まれており、低カロリーの料理が多いからです。

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食材の種類

各認知症の原因を予防する食材と、認知症と関連深い生活習慣病である、脳卒中、糖尿病、高血圧、脂質異常症(高脂血症)、肥満(メタボリックシンドローム)を予防する食材が挙げられます。

青魚(サバ・イワシ)・マグロ・ぶり・うなぎ・鮭
血中コレステロールを下げる不飽和脂肪酸の一種DHA(ドコサヘキサ塩酸)が含まれている
大豆製品
血中コレステロールや中性脂肪を低下させる働きがあるレシチンが含まれている
納豆
血栓の主成分フィブリンを溶かす働きをするナットウキナーゼが含まれている
しいたけ
コレステロール値を下げる働きがあるエリタデニンが含まれている
オリーブオイル
アルツハイマー型認知症の原因と言われるアミロイドβの量を減らすオレイン酸が含まれている
ココナッツオイル
体内でケトンという脳のエネルギー源に変換させる中鎖脂肪酸トリグリセリドが含まれている
チョコレート(乳脂肪分や糖分の少ないカカオ70%~90%配合のもの)
動脈硬化の防止やストレス緩和に効果があるカカオが含まれている
ブラックコーヒー(1日1~2杯)
脳に刺激を与えるカフェインが含まれている
セロリ
年齢を重ねることで過剰分泌され、脳そのものに炎症をあたえる炎症性サイトカインをコントロールするルテオリンが含まれている
ビーツ
血管を拡張させ血流をよくし、酸素不足になっている組織へ酸素をとどける亜硝酸塩に変化する硝酸塩が含まれている
ぶどう(果汁100%)
抗酸化作用、抗炎症作用があるポリフェノールが含まれている
ウコン
抗酸化作用が期待でき、アルツハイマー型認知症の原因と言われるアミロイドβを除去するクルクミンが含まれている

食べ方にも気を付ける

早食いと食べ過ぎに注意してください。脳が満腹感を感じるまでに、15分から20分程度の時間がかかるため、ゆっくり食べることで、食べ過ぎを防ぐことができます。

また、食べ過ぎによるカロリーの過剰摂取が、生活習慣病である動脈硬化を引き起こす原因にもなります。

食生活での注意点

肉類などに含まれている動物性脂肪は、糖尿病にかかりやすいため、食べ過ぎに注意してください。また、パンやうどんなど小麦粉で作られている食品も良くないと言われています。

アルコールは適度な量(1日に日本酒1合、またはビール大ビン1本程度)とし、週に2日は休肝日を設けるようにしてください。

運動で予防する

筋肉への負荷が低く、一定時間行うことができる有酸素運動がよいと言われています。20歳を過ぎると人間の脳の神経細胞は、1日に10~20万個減少していきます。しかし、細胞が減っても、細胞自体の働きが活発であれば、脳の機能は高まります。

有酸素運動は酸素を取り込みながら行うため、血流を良くし、脳の働きを活発にします。また、心肺機能の改善や脳への刺激、骨の強化、ストレスの緩和・発散などが期待できます。

具体的な有酸素運動は以下のとおりです。

  • ウォーキング
  • ジョギング
  • 水泳
  • ヨガ
  • エアロバイク
  • エアロビクス

昨今、認知症予防に向けた運動として注目を集めているのが、国立長寿医療研究センターが開発したコグニサイズです。運動をしながら、しりとりや簡単な計算などの脳トレを一緒に行うことで、認知症の予防と健康促進を目指します。
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有酸素運動の行い方

最初は有酸素運動を意識するのではなく、気分転換やお散歩がてらに、1日10分程度のウォーキングから始めます。慣れてきたところで、週に2~3日、1回約30分の有酸素運動に切り替えてみましょう。

有酸素運動は少し息が上がる程度の運動ですので、息切れしてしまう場合は休憩を取り、息が上がる程度になるよう調整してください。

関連記事:なぜ、「歩くこと」が認知症予防につながるのか?

得られる効果とは?

アメリカのイリノイ大学の研究で、1週間に10~15kmのウォーキングを1年間続けた人たちは、13年後に認知症になる確率が50%減少しており、週3回のエアロビクスを1年間続けた人たちは、記憶力のテストが約3%向上したという結果が出ました。

血液の仕事は、脳を活発にするために必要な大量の酸素やブドウ糖を運ぶことです。全身の血行がよくなり脳に十分な血液が行きわたり、さらに脳内の血流もよくなれば、必要な酸素やブドウ糖が細胞にしっかりと届くので、脳の活性化につながります。

生活習慣で予防する

認知症の大部分を占めるアルツハイマー型認知症や脳血管性認知症は、生活習慣病との関連があると言われています。

生活習慣病と認知症の関係

生活習慣病により、脳血管に障害が起きたり脳の機能自体が低下することで、発症しやすくなると言われています。

高血圧症
血圧が高いことで、血管に負担がかかり動脈硬化が起こります。そして動脈硬化により心臓にも負担がかかります。その結果血圧がさらに高くなり、脳卒中のリスクを高めます。なお、高血圧の定義は、診察室血圧値で140/90mmHg、家庭血圧で135/85mmHg以上の場合になります。
糖尿病
糖尿病には1型糖尿病と2型糖尿病があり、2型糖尿病が生活習慣病にあたります。インスリンの分泌が減少することや、働きが悪化することで、ブドウ糖が使われず、血糖値が高くなります。肥満やメタボリックシンドローム、過食や運動不足と加齢があわさり発症します。
肥満、メタボリックシンドローム(内臓脂肪肥満型)
内臓に脂肪が溜まった結果、高血圧や脂質異常症を引き起こし「メタボリックシンドローム」となります。肥満による無呼吸症候群の影響で脳に酸素を送ることができず、脳障害を招く原因になることもあります。
脂質異常症
血液中の脂質(コレステロールや中性脂肪)量増加により、血管内にコレステロールがたまり、血管が狭くなってしまう疾患です。過食や運動不足によって起こる肥満、ストレス、過労、喫煙、睡眠不足などが原因と言われています。

生活習慣を見直すときのチェック点

睡眠
早寝早起きを心がけ、昼寝は30分以内にしましょう
たばこ
やめましょう
ストレス
ため込まず発散できる場を設けるようにしましょう
会話
話すことで脳へ刺激を与えることができ、また気分転換にもなります。友人や家族と会話する時間を設けましょう
歯磨き
毎食後歯磨きを行い、健康な歯を維持するよう心がけましょう

回想法で予防する

なつかしい物に触れて昔の思い出を呼び起こす回想法は、脳を活性化し精神状態を安定させる効果があります。認知症の治療としても使われる回想法ですが、認知症の予防手段としても注目を集めています。

回想法の進め方は、専門家によっておこなわれる本格的なものもありますが、自宅でも手軽にできます。例えば、次のような懐かしいテーマを決めて、会話をしてみるだけでも古い記憶を引き出すことができます。

  • 昔懐かしい駄菓子
  • 学生時代得意だった教科
  • 初めて見たテレビ番組
  • 10代の頃憧れてた俳優・女優
  • 必ず入っていたおせち料理の品目
  • 地元の桜の名所
  • もらって嬉しかった誕生日プレゼント

【関連記事】認知機能を刺激する回想法とは|効果、方法、事例まとめ

ゲームで予防する

頭を使って行うゲームや、身体を使って行うゲームなど、予防に効果があると言われているゲームは多数あります。

パズルゲーム
トロント大学が約2万5千人の65歳以上の患者を対象に32件もの実験を行った結果、パズルを継続して行うことで発症リスクが下がると発表しました。ポイントなのは継続して行うことです。なお、クロスワードパズルや数独を行うことで、効果が出るようです。
ボウリング・卓球
ボウリングや卓球など、頭を使いながら身体や目を動かすことで、脳に刺激をあたることができます。また、ゲームを楽しむ、負けん気を発揮するなど、心を動かすことで気分転換やストレス発散の効果もあります。
囲碁・将棋・麻雀
指を使って駒を持ったり、試合の先を読みながら進めていくため、脳を活性化することができます。
カラオケ
高血圧の高齢者は、カラオケを始めると血圧が下がることが知られています。高血圧のまま放っておくと、動脈硬化や糖尿病にかかる危険があります。生活習慣病予防が認知症予防にもつながるため、趣味のひとつにされてみてはいかがでしょうか。

サプリメントで予防する

医療機関で取り扱われているサプリメントもあるため、気になる方は医療機関にお問い合わせくださいませ。

エグノリジンS
「脳神経細胞のシナプス伝達の活性化」と「神経伝達物質のアセチルコリンの材料」として働くホスファチジルコリンのうち、記憶能力を向上させるPOホスファチジルコリンと、学習能力を向上させるDLホスファチジルコリンを凝縮した錠剤です。2粒で200mgのDL/POホスファチジルコリンを摂ることができます。

全国各地の医療機関で認知症治療・予防を目的に提供されています。導入した医療機関等の報告では、服用後3か月後や1年後などに症状が改善した例が多くあり、要介護度が3から1に下がったり、本来の人格に戻ったり、失禁がなくなった方もいるようです。

ホスファチジルセリン
リン脂質(レシチン)の一種で、細胞内への栄養素の取り込みと、老廃物の排出に重要な働きをしています。ホスファチジルセリンが最も多く存在すのは脳のため、脳の栄養素とも呼ばれています。脳内での情報伝達や血流に重要な働きをしています。服用後3か月後に言語記憶力テストを行ったところ、全ての年代で点数が上がり、高齢の人ほど上昇値が高かったそうです。
ピクノジェノール
強力な抗酸化作用があり、ビタミンCの340倍、ビタミンEの170倍と言われています。オーストラリアのスウィンバーン大学神経心理学センターでは、ピクノジェノールを用いて、60~85歳の高齢者101人を対象に実験したところ、記憶力の大幅な改善を認めたとのことです。また、アミロイドβタンパク質が脳へ蓄積することを抑制し、脳神経の細胞死を抑制する実験結果が報告されています。

認知症予防の10か条

今までご紹介した方法をまとめます。

1.脳血管を大切にする
動脈硬化の要因になる高血圧、糖尿病、肥満に注意しましょう
2.食生活を整える
緑黄色野菜や魚などをバランスよく食べましょう
3.運動を心がける
基本は歩くこと。万歩計を持つなどして歩く習慣をつけましょう
4.お酒、タバコはほどほどにする
ストレス解消に役立つこともありますが、摂り過ぎには気をつけましょう
5.アクティブに活動する、考える
趣味を楽しんだり、買い物に出かけたり、お釣りを計算して脳を元気にしましょう
6.生き生きした生活を送ろう
地域のボランティアに参加したり、生きがいに感じるものが側にあるとベストです
7.人間関係を普段から意識して円滑にしておく
人間関係がうまくいっていないと、家に閉じこもりがちでうつになることも…
8.自らの健康管理を心がける
散歩や運動を気長に行い、定期的に健康診断を受けましょう
9.病気や障害の予防や治療に努める
動脈硬化に限らず、病気の予防・治療に努めましょう
10.寝たきりにならないように心がける
閉じこもりや寝たきりは発症要因。転倒、骨折にも用心しましょう

さいごに

食事や生活習慣、脳のトレーニングと組み合わせた運動や、計算ドリル、マージャンやオセロなど、そのアプローチ方法は本当に様々で、日々新しいニュースが飛び込んできます。うまく取り入れて、予防していきたいですね。

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【参考資料】
日本認知症予防学会 -Japan Society for Dementia Prevention -(2017年7月26日)
http://ninchishou.jp/
認知症予防回復支援サービスの開発と忘却の科学|大武美保子(2017年7月26日)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tjsai/24/6/24_6_569/_pdf
40歳からの「認知症予防」入門 リスクを最小限に抑える考え方と実践法 |ブルーバックス (2017年7月26日)
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