【どうする親のトイレ問題】認知症の排泄介助のコツ~心のケア編~

by 佐藤 瑞紀佐藤 瑞紀 12255views
【アイキャッチ】排泄介助~心のケア編~

排泄は、人間にとって一番羞恥心やプライドがはたらくとってもデリケートな問題です。介護者にとっても、身近な人の排泄ケアにどう向き合えばいいのかで悩んでいる人も多いのではないでしょうか。今回は認知症の方の排泄ケアについてのコツや配慮すべき点について、今までの経験からお話ししてみようと思います。今後、「心のケア」と、「介護テクニック」の2回に分けてお伝えしますが、今回は、「心のケア」編です。

排泄ケアにおいて一番大切なものとは?

「なるべく自分でトイレに行きたい」、「人の世話にはなりたくない」誰しもが抱えている気持ちです。それは、認知症になった人も同じ。介護者も、できるだけ本人の自尊心を傷つけずにケアしたいものです。介護施設で働いてきて感じたのは、排泄ケアにおいて一番大切なのは、本人との「信頼関係」だということです。施設でも、いつもはトイレに行こうと声をかけても「嫌だ、行かない」の一点張りだった人でも、はじめに横に座って他愛ないおしゃべりを1~2分した後にトイレに行こうと誘うとすんなり足を運んでくれた…というケースも多々あります。これは、ご家族でも同じだと思います。警戒心を少しでも和らげるようにします。デリケートな問題だからこそ、相手の立場に立った配慮が必要なのです。

トイレを嫌がる人への上手な誘い方

あきらかにトイレに行きたいはずなのに「今はしたくない」「歩きたくない」と言ってトイレに行くことを嫌がる人がいます。なるべく自分で済ませたい、人の手は借りたくないという思いから、拒否したり、失禁していても着替えさせてくれなかったりする場合があります。そういう時は、無理せずに時間を置いて声を掛けたり、トイレに行こうとは言わずに「隣のお部屋までお散歩しませんか?」と言って連れ出したりするとスムーズにいくことがあります。人としてのプライドを傷つけずに、上手く対応する必要があるのです。「私がトイレに行きたいので、ちょっと付き合ってもらえませんか?」とお願いモードになるのも良いと思います。人は誰でも頼りにされると嬉しいもの。認知症の人にも効果的です。

失禁してしまったら・・・配慮したい言葉がけ

認知症の方には、排泄を認知する力が弱まって、トイレに失敗したり、失禁してしまうケースも多くあります。そんな時に気をつけたいのは、不必要に騒ぎ立てないこと。本人は、介護者が何気なく発した言葉や態度、表情などでより強く羞恥心を感じてしまうことがあります。怒ったりして大きな声を上げるのは絶対にNG。「服が濡れてしまってつめたいから、一緒に着替えましょうね」と、本人を労う言葉をかけて、一緒に着替えを手伝ってあげるのがいいと思います。

家族の排泄介助。罪悪感を感じないで

排泄介助は、家族にとってもデリケートな問題。特に息子さんが介護者になる場合、母親の排泄介助は心理的な負担が大きく、「見てしまって申し訳ない」、「自分に介助されるのは嫌なんだろうな…」等、悩まれる方も多いと聞きます。私が伝えたいのは、『罪悪感を感じる必要はない』ということ。本人の健康を保つのに欠かせない大切な介護の一つなので、自信を持って臨んでほしいと思います。その上で、介助する際はなるべく時間を掛けないようにし、本人にも出来ることがあればやってもらいましょう。今は便利な福祉用具もいろいろ出ていますので、それらの助けも借りながら、介護者も高齢者もお互いに頑張りすぎない関係を築いていくことが介護を長続きさせるコツだと思います。

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佐藤 瑞紀

佐藤 瑞紀

元有料老人ホームのケアマネジャー。22歳で大学卒業してから約12年、老人福祉の世界で経験を積む。約10年介護士として高齢者と関わり、その後生活相談員を経てケアマネジャーとして着任する。高齢者1人1人とコミュニケーションを取りながらケアプランを作成することで、QOLの向上が少しでも実現出来るように考えてきた。現在は結婚を機に退職しており、主婦として日々奮闘中。
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