厚労省、若年性認知症の支援員配置を全国の都道府県へ

    厚労省は、65際未満の若年性認知症の人や家族を支援するため、2016年度より全国の都道府県に若年性認知症支援専門のコーディネーターを配置すると発表しました。40代50代の働き盛りで発症する人も多く、発見が遅れたり、失職して経済的に苦しくなったりすることも多い若年認知症。専門の支援員を配置することで、医療・福祉・就労の関係機関とのつなぎ役として生活全般をサポートするとしています。

    若年性認知症支援専門コーディネーターとは

    コーディネーターは、次のような条件を想定されています。

    • 認知症介護の経験や専門知識がある人
    • 自治体が委託した社会福祉協議会や医療機関に常勤する
    • 各自治体に一人以上配置する
    • 人件費は国が補助する

    役割としては、若年性認知症の人に対して、次のようなサポートをしていくとしています。

    社会保障(経済的な援助)支援

    医療費助成、障害年金など、各種社会保障の情報を伝えるとともに、必要な手続に関する助言や支援等

    医療機関との橋渡し

    近隣の認知症専門の医療機関の案内、かかりつけ医と連携した日常生活へのアドバイス等

    介護サービスの受給に関する支援

    自宅から通いやすいデイサービス等の介護施設の紹介、利用の手続についてのアドバイス等

    金銭的に大切なもの・契約等に関する支援

    ご本人の財産管理や福祉サービスなどの手続についての相談等

    就労の支援

    勤務先との連絡調整、職場復帰・再就職についてのアドバイス等

    男性に多い若年性認知症。平均発症年齢は51歳

    65歳未満で発症する認知症は「若年性認知症」と呼ばれます。その実態は、最近になってようやく明らかになってきました。2009年の厚労省の発表によると、患者数は全国で約3万7000人(認知症全体の約2%の割合)。発症時の平均年齢は51歳。早い人だと20代から発症し、40代以降は5歳刻みで発症数がほぼ倍増します。

    若年性認知症の基礎疾患の内訳

    高齢者の認知症はアルツハイマー型が一番多いのに対して、若年性認知症では、脳血管性認知症が最多。若年性認知症では、女性よりも男性の方が多い理由も、男性がなりやすい脳血管性認知症のシェアの大きさが影響していると言われています。

    高齢者の認知症と何がちがうの?

    若年性認知症と高齢で発症する認知症とで、医学的な違いがあるわけではありませんが、若年性認知症には次のような傾向が見られます。

    進行スピードが早い

    若年性認知症は、若い分脳の萎縮のスピードも早いためか、高齢の場合よりも進行スピードが早いと言われています。本人が違和感を感じる頃には、既に症状が進んでいる…というケースも少なくありません。そのため、早期発見がとても大事だと言われています。

    初期症状のサインを見逃しやすい

    若年性の場合、異変を感じてから受診に至るまでの期間が平均1年以上もあります。「おかしいな」と本人は感じても、単なる疲れだと解釈して、検査や治療に至らないケースも多いようです。近くにいる人が早めに異変に気づいて診断してもらうことが必要です。

    診断の難易度が高い

    医療機関で受診したあとも、「うつ病」「更年期障害」と誤って診断されることも多いようです。特に初期段階では表れる症状が似ているため、専門家でも正確な診断をくだすのが難しいと言われています。

    発症後、8割が失業。社会的支援不足が深刻

    2014年に行われた厚労省の委託調査によると、若年性認知症を発症した人で、働いていた人のうち8割が、自主退職などで定年前に仕事を辞めています。再雇用はとても難しく、働き盛りの40代50代にとっては経済的に行き詰まってしまうケースも多く、深刻です。

    ここで、若年性認知症を患う本人が「困っていること」を見てみましょう。

    ・頼れる人が近くにいない(27.3%)
    ・利用できるサービスがない・少ない(23.4%)
    ・車の運転ができず生活しづらい(18.2%)
    ・近所の人の認知症への理解不足や偏見(9.1%)
    ・社会全体の認知症への無理解や偏見(7.8%)
    ・その他(14.3%)

     ※静岡県内の若年性認知症患者45人の回答
     ※参照元:朝日新聞 2015年6月1日掲載

    若年性認知症に対する世の中全体の理解不足から、身近な人にも相談しづらい状況にあることが伺えます。また、高齢者と比べ、若年性認知症を診療できる施設や、リハビリを適切に行う医療機関、若年性認知症を対象とする介護施設が圧倒的に少ないことなどが、本人を追い詰める一因になっています。

    当てはまったら要注意!若年性認知症チェックリスト

    若年性認知症の初期症状・原因に当てはまりやすいチェック項目です。「最近ちょっと、おかしいな」と思ったら、まずはチェックをしてみましょう。

    チェックリストを促すオン太郎

    □ 同じことを何度も話したり、尋ねたりしてしまう
    □ 食べ終わった食器など、身の回りのものをきちんとしまえなくなった
    □ 同時に二つのことをすると、片方を忘れてしまう
    □ 前に買ったものがあるのに、同じ物をたびたび買ってしまう
    □ 以前より怒りっぽくなったり、疑い深くなった
    □ 趣味や習い事など、以前は好きだったものへの興味が薄れてきた
    □ 会話で言葉がすらすら出てこない
    □ 本や新聞を読むことが以前より少なくなった
    □ 脳梗塞や脳出血、くも膜下出血を起こしたことがある
    □ 交通事故などで頭を強く打ったことがある
    □ 高血圧・糖尿病・高コレステロール・肥満などの疾患がある

    いくつかの項目に当てはまったら、一度認知症の専門医に診てもらうことをおすすめします。専門医は、精神科、心療内科、神経内科、脳外科、老年科などにいます。「もの忘れ外来」等、認知症の専門外来のある医療機関を受診するのもオススメです。
    全国の認知症で頼れる医療機関を探す

    必ず知っておきたい、若年性認知症の相談先

    「もしかして?」と思っても、いきなり医療機関に足を運ぶのは気が引けてしまう・・・。そんな場合には、若年性認知症コールセンターに電話で相談する方法がおすすめです。

    ★若年性認知症コールセンター

    若年性認知症コールセンター
    【電話番号】0800-100-2707 (通話・相談無料)
    【受付時間】月曜~土曜 10:00~15:00
    認知症の専門知識を持った相談員が、若年性認知症を持つ本人やご家族の相談を受け、医療や介護、生活支援、就労支援といった多方面から情報提供をしてくれます。

    一人で悩みを抱え込んでしまうと、深刻になって追い込まれていきます。誰かに悩みを打ち明けることで、解決の糸口がみつかる場合があります。

    さいごに

    まだまだ、社会全体の理解と支援が不足している若年性認知症。若年性の場合、仕事や子育てを現役で頑張っている人も多く、職場や家庭でも重要な役割を担っていることが多々あります。今後は、労働時間の短縮や、最適な配置転換など、企業側の意識改革も求められます。今回全国に展開される専門支援員の配置で、支援の輪が広がることを期待したいですね。

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    認知症ONLINE 編集部

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