デイサービスに行きたがらない母親を前向きモードに変えた3つの方法

「デイサービスに行きたくない!」

認知症のご本人が嫌がって拒否する、というケースがよくあります。うちの母も椅子にしがみついて、半べそかきながら「行きたくない!」とダダをこねていた時期がありました。そんな母が2か月後には、自らデイサービスに行くようになりました。どう変化していったのか、どうアプローチしたかを3つのポイントにまとめてみました。

1.本人の居心地が良いデイサービスかどうか、見直してみる

母がデイサービスを嫌っている理由のひとつが、「プライドが傷つく」ことです。歌をみんなで歌ったり、紙粘土のブローチを作ったりと決められたレクリエーションをこなすのが嫌いです。

「わたしはまだ普通に健康だから、レクリエーションなんて必要ない!」

そんなプライドが強かったので、レクがなく自由に過ごせるタイプのデイサービスを体験してもらいました。そこでは、歌もなければ、ブローチも作りません。自主性を重んじるデイサービスだったのですが、それが母には合っていたようです。

病院や介護施設同様、デイサービスも行って見学しないと分かりません。いまは、地域によってデイサービスの数も増え、さまざまな特徴を持つデイサービスがあります。リハビリ中心の短時間型や、民家型の少人数のところ、自分でアクティビティを選べるところ、などなど。本人に合っているかどうかは、家族が確かめるべきです。ケアマネージャーに紹介されたからではなく、どういった職員の方がいるのか、設備はどうか、食事はどうかなど介護者ご自身の目でチェックしてみてください。本人にとって心地よければ、うちの母のように拒否しなくなることもあります。

2.デイサービスでの『役割』を持たせて、本人の張り合いをつくる

亡くなった祖母がデイサービスを拒否していた時に、家族やデイ職員の人たちで行っていた対処方法は、こうでした。

「Aさん(うちの祖母)がいないと、みんなが寂しがるよ。お通夜みたいになるよ。」

すると祖母は機嫌よくデイサービスへ行ってくれました。また、母に対しては、昔から料理が得意だったことを考えて、こう言いました。

「施設の調理師さんが大変だから、料理を手伝ってあげて!」

どちらも役割を与え、重要な立場なんだよと伝えることで、自尊心をくすぐります。本人のプライドを満たしてあげることで、

「じゃあ、行ってやるか」 「もう、しょうがないわね~」

という気持ちになります。認知症でなくても役割が与えられ、必要とされれば動きますよね?人間の本質は、認知症であろうとなかろうと変わらないのです。

3.無理矢理に連れて行かない

言葉のやりとりは忘れても、イヤという感情の記憶だけは残る のは認知症介護の基本中の基本です。デイサービスに行かないとつい、

「デイ行かないとダメでしょ!早く準備して!」
「ほら!せっかく迎えに来てもらっているのに、何やってるの!」

と怒鳴りがちです。それではデイ=嫌なもの という感情だけが残る結果になります。介護から一瞬でも解放されたいのに!っていう気持ちは分かりますが、自分の気持ちを押し付ける事で次回以降ますますデイに行ってくれなくなります。

母が利用しているデイサービスの職員さんは、お迎えに来た玄関先で言い訳をして拒否した母を、強引に連れていきませんでした。次回以降の事も考えて、黙って帰られました。言葉もないくらい、素晴らしい対応でした。

北風でなく、太陽であれ!

北風ではなく太陽であれ
イソップ童話「北風と太陽」という話があります。旅人の上着を脱がそうと、北風と太陽が対決します。北風は風をビュービュー吹かせ、上着を脱がそうとします。しかし旅人は上着が飛ばされないように、しっかり押さえます。

太陽は、温度をあげる事で旅人の上着を自ら脱がす事に成功して、結果太陽が勝つという話です。デイサービスに無理に行ってもらおうと、北風タイプの介護者になっていませんか?太陽タイプの介護者になることが、長期的にも介護がラクになるコツと言えます。

今日もしれっと、しれっと。

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工藤広伸(くどひろ)
1972年生まれ。ブログ「40歳からの遠距離介護」など執筆を生業にする介護作家・ブロガー。祖母(要介護3)と母(要介護1)のW認知症&遠距離介護からスタート。父(要介護5)も在宅介護して看取る。成年後見人経験者、認知症ライフパートナー2級、認知症介助士。なないろのとびら診療所(岩手県盛岡市)地域医療推進室非常勤。現在も東京と岩手を年間約20往復しながらしれっと遠距離介護中。

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