「もしご自身が認知症と診断されたら?」
ショックですよね?でも、なぜショックか分かりますか?
それは認知症に対するネガティブイメージが強いからです。認知症に対する十分な知識がない状態で、認知症と言われると、こう考えてしまう人がいます。
「一生治らない、記憶をすべて失くす、死んでしまう」
テレビや新聞、雑誌が煽る認知症の情報を鵜呑みにすると、大きなショックを受けてしまいます。実際、認知症ご本人が医師の診断を受けた後の状況をこう表現しました。
「早期発見、早期絶望」
認知症は早期発見が大切と言われているのに、むしろ絶望に陥ってしまうのです。これもネガティブな認知症情報の影響です。ではどうしたらいいのかについて、実体験を交えて解説していきます。
1.お医者さんに突然告知しないようお願いしておく
意外と多いのが、医師が何の気遣いもなく本人に告知してしまうケースです。
医師:「あぁ、これはアルツハイマー型認知症ですね」
良かれと思って言ったこの言葉が、受け手である本人には想像以上の衝撃になります。早期発見、早期絶望は医師が原因であることが多いです。事前に告知は家族にするようにお願いしておくことです。
認知症ご本人のメンタルケア、アフターケアまで考えてくれるような医師ならば、告知してもらってもいいです。
2.介護者自身が認知症の勉強をしておく
認知症ご本人の不安を和らげることができるのは、そばにいる介護者です。認知症の知識を正しく理解しておけば、死んでしまうといった極端な誤解も解けます。正しい薬の処方、適切な介護サービスを受ければ、長く今まで通りの生活を続けることができるのです。
認知症ご本人と一緒になってショックを受けるのではなく、病院を受診する前に認知症の知識を最低限入れておくことでショックは回避できます。介護者以上にご本人はもっとショックなので、不安を取り除いてあげられるように介護者は前もって認知症の勉強をしておきましょう。
3.認知症の進行レベルに合わせて、告知を考える
わたしの亡くなった認知症の祖母(90歳)は子宮頸がんで、半年という余命宣告をされました。認知症とはいえ、半年と聞かされたら衝撃は大きいものです。結局、祖母には告知しませんでした。認知症で病気を理解できない状態だった祖母に、わざわざ余命を伝える意味はないわけです。
これは認知症にも当てはまることで、ある程度進行してしまった人に改めて認知症と告知する意味はありません。
一方の母(71歳)は、認知症を理解できます。なので、「年相応のもの忘れ」という告知をしました。3年目に突入した今は、本人も認知症という事実を受け入れています。長い期間をかけて、少しずつ認知症というものを受け入れていった事で、早期絶望という状態は回避できました。
特に認知症の初期段階で告知されると、理解度が高いので絶望感が高まります。症状が進行していない人ほど、告知は慎重に行ったほうがいいです。
今日もしれっと、しれっと。
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