ドッグセラピーで犬が認知症を治療する!全国の事例紹介

【アイキャッチ】ドッグセラピー

「ドッグセラピー」をご存知ですか?犬とのふれあいを通して様々な病状を改善するその治療法は、認知症と向き合う医療や介護の現場でも注目されています。ただ、まだまだ世間では「ドッグセラピー」という言葉は知っていても、どんな効果があるのか、どこで受けられるのか、具体的には知られていないのが現状です。そこで今回は、ドッグセラピーの現状について、まとめてみました!

ドッグセラピーとは?

ドッグセラピーとは、動物介在療法(Animal Assisted Therapy)とも呼ばれるアニマルセラピーの一種。犬とのふれあいを通して、心身のリハビリテーション・治療を目的とした活動として、1970年代から欧米で広く普及し始めました。犬と関わることで脳が刺激され、記銘力向上や自発語の増加、情緒の安定などの効果が期待されています。

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ドッグセラピーには、レクリエーションの一貫として行われる集団ドッグセラピーと、個別ドッグセラピーがあります。日本の介護施設で取り入れられているドッグセラピーは、集団ドッグセラピーが多いようですが、よりリハビリ効果が高いと言われているのは、個別セラピーの方。個別セラピーは、Aさんは「自立歩行の実現」、Bさんは「暴言の軽減」という具合に、一人ひとり目標を決め、効果を判定しながら進められます。時間は、1人あたり20~30分程度ほど。犬を撫でたり、エサをあげたりしながら、犬とのコミュニケーションをはかって症状改善を促します。

ドッグセラピー、認知症への効果は?

2002年から岡山県で活動する介護高齢者ドッグセラピー普及協会によると、介護施設に入所されている認知症高齢者に個別ドッグセラピーを行った結果、下記のような症状改善が見られたといいます。同協会のドッグセラピーでは、100件近くの症例で認知症の症状緩和が見られていると発表されており、下記ほそのうちのほんの一部です。

症例1

普段は意欲低下の状態で呼びかけにも反応せず、表情もないYさん(86歳男性)。セラピードッグと対面したところ、頭を撫でたり足を揉んだりして可愛がる様子を見せた。発語は見られないものの、触りたいという意識は見られた。

症例2

車椅子で生活していてほとんど喋ることもないTさん(91歳男性)。「おいで、おいで」の仕草を見せる。セラピードッグそれぞれの自己紹介ボードを見せると、「かわいいね。女の子か?」と気に入った様子をみせた。あやすように喋ったり、首輪を外してあげようとしたり、笑顔を見せた。

症例3

「私はアホじゃ、どうなってもええ」と自分への否定的な言葉がでやすく、介護拒否も出やすいMさん(77歳女性)。セラピードッグと接すると「おりこうさん」とにこやかに犬を可愛がる様子を見せた。次第に「ダメじゃねえな」と前向きな発言も出るようになり、以前はしなかったあいさつをするように。

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もちろん、人によって効果に差があるようですが、上記の症例からは、犬がもたらしてくれる“癒やし”以上の効果を実感します。同協会代表の生長医師によると、「犬との関わりあいの中から、高齢者に“この子を守ってあげたい”、“いたわってあげたい”といった自発的な使命感が生まれる」のだそう。また、別機関の研究では、ドッグセラピーを実施することで、ストレスに起因すると言われる唾液中の「アミラーゼ」の数値が下がったとの報告もなされています。

動画で分かる「ドッグセラピー」の効果

再生時間48分と少し長めですが、ドッグセラピーを通して閉ざされた心の扉がみるみる開いていく過程がよく分かります!

全国のセラピードッグの取り組み

ドッグセラピーは、どこに行けば受けられるのでしょうか。国内で介護施設へのドッグセラピーを実施している団体をいくつかご紹介します。介護施設や病院を訪問して活動している場合が多いようですが、個人的に利用できるケースもあるようですので、興味があれば直接問い合わせてみてくださいね。

岡山:NPO法人 介護高齢者ドッグセラピー普及協会

介護高齢者ドッグセラピー普及協会
2002年に日本で初めて本格的なドッグセラピーを本場アメリカから導入し、認知症患者さんの治療に活かした、国内のドッグセラピーの草分け的存在の協会です。2014年には、全国に先駆けた取り組みとして、認知症カフェでの集団ドッグセラピーも定期開催されています。上記で紹介した動画も、こちらの協会が行っている取り組みです。

北海道:北海道ボランティアドッグの会

北海道ボランティアドッグの会
「犬を介して社会福祉事業をする」ことを目的に1996年に発足。
現在、北海道各地で100頭以上のワンちゃんがセラピー活動にあたっているそうです。実際の活動時間はおよそ30分、利用者さんや患者さんに撫でてもらったり、抱っこしてもらったり、セラピー犬を介して、コミュニケーションを図っています。

東京:国際セラピードッグ協会

国際セラピードッグ協会
セラピードッグの育成・派遣・啓蒙活動を行う一方で、各地の愛護センターなどから救出した捨て犬をセラピードッグに育成する活動もされています。処分される予定だった犬たちがセラピードッグとして活躍できるような支援活動も行っているそうです。

なぜ日本ではドッグセラピーは普及しないの?

欧米では広く浸透しているドッグセラピーですが、まだ国内では実施している団体そのものが少ないのが現状です。なぜ日本ではなかなか広まらないのでしょうか。その原因としては、下記のような点が挙げられそうです。

  • ドッグセラピーに必要な経費(犬の衛生面のケア、食費等)が大きい
  • 介護施設側の受け入れ体制・支援体制が整っていない
  • 「ドッグセラピー」、「アニマルセラピー」そのもののPRが足りない
  • ドッグセラピストを育てる教育機関が少ない
  • 効果を裏付ける実績や効果のデータが少ない

特に、コスト面の原因は深刻で、人材不足・資金不足が深刻な福祉業界の背景が、ドッグセラピーの普及を困難にしています。最近では、「ドッグセラピーの介護保険制度収載を目指そう」という考えもあるようです。

最後に…

近い将来、ドッグセラピーの効果が完全に立証されれば、ドッグセラピーに介護保険が適用される日がくるかもしれません。ドッグセラピーは、認知症高齢者の症状改善のみならず、介護する人の負担を減らすことにつながります。リハビリの手段のひとつとして、もっと広く浸透するといいですね。

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認知症ONLINE 編集部

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