認知症の暴言や暴力行為が「足浴×タクティールケア」でなくなった話

by 佐藤 瑞紀佐藤 瑞紀 38159views
タクティールケア

はじめまして、元ケアマネージャーの佐藤瑞紀と申します。私は、これまで約12年間、特別養護老人ホームや有料老人ホームで多くの認知症のお年寄りとそのご家族に向き合ってきました。ここでは、日々の試行錯誤の中で身につけた認知症の方との接し方や成功事例についてお伝えしたいと思います。家庭で介護を頑張っている方や福祉で働いている方のヒントにつながれば嬉しいです。第一回目は、『認知症による暴言・暴力行為への向き合い方』について、私の体験談を共有します。

認知症になると、なぜ暴言や暴力が出てしまうのか

認知症の人は、口でうまく伝えられない気持ちが時に暴言や暴力といった形で出ることがあります。それは私たち介護者にとって最も対応に困ってしまう問題の一つ。突然に怒りや暴力を受けると、あわててしまい、あの人は乱暴な人だと決めつけて関わりを避けるようになってしまいがちです。しかし、認知症だからといって、意味もなく暴力をふるうことはないはずです。単純に乱暴者だとレッテルを貼らずに、何が原因かを真剣に考えたり、探ることが大事です。

周辺症状の原因は、「冷え」にあるケースも多い

「この人、今のうちに何とかしないと認知症が進んだらコミュニケーション取れなくなるよ。」認知症の入居者の方の暴言・暴力問題で悩んでいた時に、先輩から言われた言葉です。私の働いていたホームに入っていたある女性は、認知症で右半身にマヒもあり、不機嫌になると職員に向かって暴言を浴びせたり、手が出てしまう傾向がありました。娘さんはそんなお母さんの姿にとても心を痛めていて、介護で何とかできないかと相談されたのです。その方をよく観察すると、マヒの部分が痛くなると、暴言がでてくることが分かってきました。マヒは、冷えると出やすくなります。不穏になる原因の一つは、冷えをはじめ体調不良からくることも多いのです。

「足浴×タクティールケア」で現れた落ち着き効果

体の冷えを改善すれば、暴力や暴言が減るのでは?そう考えて試したのは足浴とタクティールケアの併せ技でした。温かいお湯に足を入れ、ふくらはぎをマッサージしながら血行促進を促します。ふくらはぎは第二の心臓とも呼ばれ、血行不良は体の冷えにつながります。タクティールケアは、体を優しく触れたり撫でたりして認知症の人の不安を和らげる、スウェーデン発祥のケア方法です。ポイントは、必ず声をかけながら行うこと。「ふくらはぎをマッサージしますね」等、声をかけながら行うことで、安心感を与えます。このケアを週3回続けることで、半年後には暴言や暴力をはじめ、介護拒否もほとんどなくなったのです。

ケアの工夫次第で、周辺症状は改善します

この経験を通して分かったのは、認知症は完治できなくても、ケア方法一つで、進行を緩やかに出来るということ。また、暴言や暴力といった行動がなぜ出てくるのか、原因を探り、取り除くことが重要だということを実感しました。そして、原因を探るには、コミュニケーションが不可欠です。認知症の症状が進み、自分の思いを上手く言葉に出来ない方には、色んなケア方法を試してみて、本人に合うものを探すことをおすすめします。上記でご紹介した足浴やタクティールケアは、ご家族でも気軽に試せる方法の一つです。「機嫌が悪い日が続いている」「暴言を吐くようになってきた」という場合、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか?

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佐藤 瑞紀

佐藤 瑞紀

元有料老人ホームのケアマネジャー。22歳で大学卒業してから約12年、老人福祉の世界で経験を積む。約10年介護士として高齢者と関わり、その後生活相談員を経てケアマネジャーとして着任する。高齢者1人1人とコミュニケーションを取りながらケアプランを作成することで、QOLの向上が少しでも実現出来るように考えてきた。現在は結婚を機に退職しており、主婦として日々奮闘中。
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