「言動=思いの表現」として受け取るコツ

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【言動から表現したいことを推察する】

「お腹が空いた」という思いを、どのような言動で表現するか?

・ ご飯まだですか?と繰り返し訴える
・ 食べ物を買いに出かけようとする
・ 箸で茶碗をたたく
・ お腹をおさえてうずくまる
・ 趣味に没頭しない
・ ティッシュ等を口にいれる     等

これらの言動から思いを推察する力も介護力のひとつ。

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「自分だったらどうする?」という想像を超えて

わたしたちは、目の前の出来事を理解しようとする時に、自分の知識や経験に基づいて解釈したり、分析したり、推測したりします。そういう時には「自分ならどうするか?」と想像することがあると思うのですが、それだと自分の価値観だけが基準になって限界が生まれてしまいます。そこで、もうひとつ視野を広げて「そもそも人間だったら、どうするだろう?」との観点で想像力を働かせるのです。

例えば、「箸で茶碗をたたく」行為が目の前であったとしましょう。そのような時に「人間が箸で茶碗を叩くとしたら、それはどんな時だろう?」と考え、実際にやってみるか、実際に出来ない場合は想像してみるのです。

  • イライラしている
  • 太鼓をたたいている
  • ご飯が食べたい
  • ご飯の食べ方がわからない
  • たたいた時の甲高い音が好きだ
  • 聴こえてくる音楽に合わせている     等

自分だったらやらないような行為でも「こういう風にしそうな人っているよね」と考えてみることで、推察する幅は確実に広がります。

介護のお仕事

そして、推察したことに縛られない

そうして広げた推察力を、さらに磨くコツが2つあります。

一つ目は、「そこで推察したことを正解と決めてしまわない」ことです。わたしたちは「こういうことかな?」と思うことがみつかると、いつしか「こうに違いない」と思いこんでしまうことがあります。推察したことが正しいだろうと決め込んでいると、それが違った場合に行き詰まってしまうので、あくまでも仮説としてとらえるくらいにしておきましょう。

二つ目は、「他にも考えられる可能性があるかも」と余地を残すことです。一人の人間に考えられることには限りがあります。だから“自分が考えたことがすべてではない”と、いつも心の中においておきましょう。

いろんな見方が「発見」につながる

本人の言っていることやしている行為から思いを汲み取ろうとする時に、チームでいろんな可能性を検討しようとしても、発想が似通ってしまうことがあります。気がつけばワンパターンな想像を超えず、新しい「発見」が起きにくくなります。
そのような場合には「チーム(関係者)ではない方にも知恵を借りる方法」がオススメです。あまり情報を知らない方が、思いもよらない想像力が働いたり、シンプルな想像力が働くこともあり、そこからヒントが見つかることもあります。

常にさまざまな可能性を探り、一つでも理解できることが増えるわたしたちでありたいですね。

前回記事:みんなで「認知症」に備えよう!

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ペ ホス (裵 鎬洙)
アプロクリエイト代表 コーチ/人材課題コンサルタント 「理由を探る認知症ケア」マスタートレーナー コミュニケーショントレーニングネットワーク講師 介護福祉士・介護支援専門員・主任介護支援専門員 【略歴】 兵庫県在住。訪問入浴介護、居宅介護支援事業所、地域包括支援センター、訪問看護、訪問リハ、通所リハ、訪問介護、介護老人保健施設等に従事。コミュニケーショントレーニングネットワークにて、コーチングやコミュニケーションの各種トレーニングに参加し、関わる人の内面の「BE(あり方)」が”人”や”場”に与える影響の大きさを実感。その学びと約20年の現場経験を活かした研修・指導には定評があり、これまでの参加者はのべ10,000人を超える。著書に「理由を探る認知症ケア~関わり方が180度変わる本~」がある。毎日新聞・医療プレミアでも連載中。

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