とある介護職員のとある日常「ハートのある病院」

とあるステキな病院について、ご紹介します。

壁画やランプシェードといったアートがある病院。

この病院は、すべての階にさまざまな絵が描かれています。
小さな扉があちこちにある壁もあり、その扉には可愛らしい仕掛けがあるんです。
扉を開けてみると…ボランティアさんが作ったぬいぐるみやクリスマスのオーナメントなどの小物が。
ぬいぐるみや小物には、必ず『みつけてくれてありがとう』と手書きのメッセージが添えられています。

末期がんの患者さんが、嬉しそうにそのぬいぐるみを3つも持っているのを見せながら『しんどくても、こうしてさがして笑わせてもらってます』と話されていました。

退院を控えた患者さんは『この病院には、あったかい想いがある』と言いながら、筆を使って『想』と書いておられました。
その言葉には、心から発せられた感謝の気持ちがこもっているように感じました。

入院患者さんのために病室に飾る絵が3300点ほど用意されており、患者さんの心身の具合に応じて好きな絵を自由に掛け替えられると言う話もありました。
絵を自由に選べることは、数値では測れない何かを生み出すきっかけにもなっているようです。

小児整形外科の部屋もしかり。
アートがあることで、明るい色合いだけでは表現できない痛さや怖さを和らげる空間作りの工夫になります。手術室に繋がる廊下には、ミカンの木やオリーブの木が風に揺られているかのように描かれていました。
命がきらめいている、そんなように見える絵でした。

その絵を描いた病院で働くドクターが、「再び元気を取り戻すためでもあり、苦渋の選択をせざるを得ない時のための癒しでもある」と話されていて、そう言われたらオリーブにもミカンにも新しい命とは別な意味を感じることができました。

霊安室に施されたアートは、川の流れをイメージしたものでした。
静かにご遺体を安置するための色彩と雰囲気があり、寒々しさはまったくありません。

霊安室から駐車場へと向かう通路。
そこは、病院で働く医者や看護師をはじめとしたスタッフがみんなで描いたアートの通路になっていました。
最初はむき出しのコンクリートだった通路が、ある患者さんの家族さんの言葉からアートが施されるようになりました。
その絵には、患者さんに精一杯関わってきた者だからこそ描ける柔らかさがありました。

上手い絵ではないけれど、心で描いた絵に見えました。

患者さんが安心して過ごしている様子。

不安いっばいの顔をした子どもが、小さな扉をあけるときに浮かべる笑顔。
その瞬間、病院は少しだけ身近になる。

施設の作り方は本当に難しいと思う。

でもこの病院は、スタッフや患者さん、患者さんの家族さん、地域のボランティアのみんなが支えて“人”と“アート”を守っている。

こんな空間は一人じゃなかなか創れない。
みんなが協力し知恵を出し合いつくり上げていくことで、実現可能になる。

アートのある病院。
とてもハートのある病院に見えました。

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山川洋子

山川洋子

支援学級にて筋ジストロフィーやアスペルガーのある児童のケアをきっかけに介護と出会う。現在は医療法人松下会デイサービスエリクシールの生活相談員に従事。その傍ら、施設の業務改善アドバイザーを承ったり、地域で困っている方を、保険外でお手伝いしたり、外出サポートなども行う「チームおたがいさん」も行っている。介護福祉士、認知症介護実践者。

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