「お客様の中に介護士の方はいらっしゃいますか?」と言われる時代はもう来ている

今年の1月、三重へひとり旅に行ったときのこと。伊勢神宮をお参りしてから赤福を食べに行こうと、参拝を終えて外に出ようとしたとき、困った様子の高齢者夫婦が目に止まった。

無意識のうちに近づいて声をかけていた。

なにかお困りですか?
旦那の足が悪くて車椅子借りたのだけど、使い方が分からなくて…
あ、そうだったんですね!私、介護福祉士なんです。もしよろしければ私が車椅子押すので一緒に回りましょうか?
(申し訳なさそうに)え?いいの?
もちろんです!私はひとりで来てるので時間はお気になさらず!

夫婦で参拝に来たはいいが、広い敷地内を歩くのは足が悪い旦那様には厳しいと考え、神社から電動車椅子を借りたようだ。しかし、電動車椅子の動かし方はもちろん、ブレーキのかけ方も外し方も知らない奥さんは、どうしたらいいか分からずてんやわんやしていたとのこと。私はそのままそのご夫婦と一緒に神社の中をまわった。

そもそも神社の人は電動車椅子の操作方法を教えてくれなかったのか?など、色々思うところはあったけれど、、公共施設に介護福祉士を始めとした医療福祉従事者が常勤していないといけない時代になっているんだなと、私はそのとき感じた。

ご夫婦の側に警備員のおじさんがひとり居たのを覚えているが、おじさんはその場を離れられずどうしようもない状況だったように思う。おじさんも、私を見て安心した表情を浮かべていた。

私は介護福祉士が介護現場以外で、介護現場の外で、世の中の人の役に立つことができて初めて「本来の存在価値」が生み出されるのだという経験を身を以てさせてもらった。

さいごに

もう既に”お客様の中に介護士の方はいらっしゃいますか?”と言われる時代は来ているのだ。

私のような現場で働く介護士たちが、現場のみならず日常的な社会の中で必要とされている。そして、もしかしたら明日、専門職ではないあなたの手もどこかで必要とされるかもしれない。

私は、社会の中で自分の仕事が認められることが、介護福祉士としての社会的地位の確立することに大きく関わってくると考えている。もっともっと外に出て行きたいと思う。

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川上 陽那

川上 陽那

介護福祉士。2015年に介護福祉士養成校を卒業後、20歳で上京し、都内の特別養護老人ホームに勤務。今年で2年目。2015年11月に都内の介護系イベントに登壇。2016年1月に中央法規出版「おはよう21」の3月号の表紙とインタビューを受ける。2016年3月に公開された、国境を越えた仕事(介護)を描いた映画「つむぐもの」に大きな影響を受ける。現在は施設に勤務しながら、自分が現場で体験していることと世の中の情報とのギャップを埋めるための活動をしている。旅が大好きで、将来は世界で働く「旅する介護福祉士」を目指す。

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