今年の1月、三重へひとり旅に行ったときのこと。伊勢神宮をお参りしてから赤福を食べに行こうと、参拝を終えて外に出ようとしたとき、困った様子の高齢者夫婦が目に止まった。
無意識のうちに近づいて声をかけていた。
夫婦で参拝に来たはいいが、広い敷地内を歩くのは足が悪い旦那様には厳しいと考え、神社から電動車椅子を借りたようだ。しかし、電動車椅子の動かし方はもちろん、ブレーキのかけ方も外し方も知らない奥さんは、どうしたらいいか分からずてんやわんやしていたとのこと。私はそのままそのご夫婦と一緒に神社の中をまわった。
そもそも神社の人は電動車椅子の操作方法を教えてくれなかったのか?など、色々思うところはあったけれど、、公共施設に介護福祉士を始めとした医療福祉従事者が常勤していないといけない時代になっているんだなと、私はそのとき感じた。
ご夫婦の側に警備員のおじさんがひとり居たのを覚えているが、おじさんはその場を離れられずどうしようもない状況だったように思う。おじさんも、私を見て安心した表情を浮かべていた。
私は介護福祉士が介護現場以外で、介護現場の外で、世の中の人の役に立つことができて初めて「本来の存在価値」が生み出されるのだという経験を身を以てさせてもらった。
さいごに
もう既に”お客様の中に介護士の方はいらっしゃいますか?”と言われる時代は来ているのだ。
私のような現場で働く介護士たちが、現場のみならず日常的な社会の中で必要とされている。そして、もしかしたら明日、専門職ではないあなたの手もどこかで必要とされるかもしれない。
私は、社会の中で自分の仕事が認められることが、介護福祉士としての社会的地位の確立することに大きく関わってくると考えている。もっともっと外に出て行きたいと思う。

川上 陽那

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