初めまして、山川と申します。私は生活相談員として従事するかたわら、施設の業務改善アドバイザーを承ったり、地域で困っている方を保険外でお手伝い・外出サポートを行う「チームおたがいさん」の一員として活動しています。
「介護はおたがいさま」その言葉がピッタリくる体験談を今回ご紹介させていただきます。介護従事者の方にとっては、よくある風景かもしれませんが、是非ご一読くださいませ。
介護は「おたがいさま」
ある利用者さんの就寝介助をしているときのこと。
どこから聞こえているのかわからないくらい小さな声で、
「いつもありがとう。」
私もついつい
「いえ、どういたしまして」って返して、はっと気づいた。
あれ?お話しができるやん。
その利用者さんについてスタッフから、「失語ですかね?何もお話しされないんですよ」と聞かされていた。
彼女が就寝介助の最後にあたる方だったことと、まだ時間も充分にあったので、ちょっとお話。
「寒くないですか?」
「少し肌寒いねぇ」
「じゃあパジャマを厚手のものに変えましょうか?」
「そんなこと聞いてくれはったのあなたが初めて」
その方は嬉しそうに、にこりとされた。
「お話しされるんですね♪」と私が返したら、その方は笑いながら一言。
「皆さん お忙しそうやからねぇ」って。
ありゃりゃ?
気をつかって下さっていたのね。
ひとしきりお話をさせてもらい、お部屋から出た私。
ふぅ~っとため息。
失語?違うんだよなぁ。
スタッフたちの言葉を鵜呑みにして、判断をしていた私も悪いんやけどね…入居者さんに気を遣わせていたんだなぁ。
介護は「おたがいさま」の気持ちが大事だと言うけれど、これはおたがいさまじゃないよね。
相手をもっともっと良く知ろうとしなきゃダメだね???
さいごに
紙に書かれたスタッフの日報や申し送りは大事な資料!でも、それだけを鵜呑みにするのではなく、自分の持つ力を使いながら目の前のこの人を良くしたい、良く知りたいと思うことが大事なことなのだと思います。
私は利用者さんとのエピソードを「小さな奇跡」と呼んでいます。このかけらを拾いあげることは最初からは難しいと思いますが、日々の訓練が力に変えてくれます。目と耳と鼻と口と手を使って、利用者さんを観察します。
利用者さんの「ありがとう」を引き出せるかどうかその鍵は、私たちが、その奇跡を拾いあげていくことにかかっているんだと思います。

山川洋子

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