認知症の方が入所できる施設の種類と選び方のポイント

認知症の方が入所できる介護施設の種類と選び方

認知症を持つ家族の介護をする上で、介護施設を利用することも選択肢の一つです。家族を安心して預けられる施設には、どんな所があるでしょうか?介護施設は種類が多く、どんな施設があるのか、どこを選べばいいのか分からないと感じている方も多いのではないでしょうか。今回は、認知症を持つ方が入居できる施設の種類と選び方のポイントについてご紹介します!

特別養護老人ホーム

「特養」とも呼ばれる介護施設で、在宅ケアが難しい人の介護を目的としています。入所には要介護3以上の認定が必要ですが、認知症の場合は症状によって例外的に入所できる場合もあります。

24時間の介護体制や、長期入所が可能なこと、費用の安さなどから入所待ちがでるほど人気の高い介護施設のひとつです。現在入所待機者の人数は約36万6000人にものぼります(2016年4月時点)。入所の順番は老人福祉法に基づいた審査によって、入所の必要性が高いと判断された人が優先されます。

入所後は入浴や食事補助といった生活支援サービスのほか、機能訓練を中心とした介護サービスが提供されます。共同生活することが前提となっているため、基本的には個室にはトイレや浴室の用意はありません。プライベートを確保したい人や、個室がどうしても欲しい人にはデメリットですが、ほかの利用者と交流が持ちやすいという点では大きなメリットとなります。

特別養護老人ホームのメリット

  • 介護保険が適用される
  • 他の介護施設と比べて費用が安い
  • 一度入所すれば基本的に退所にならないため、長期入所が可能
  • 24時間体制で介護にあたってくれる

特別養護老人ホームのデメリット

  • 待機者が多く、入所までの時間がかかる
  • 共同生活が前提となる
  • 常勤の医師が義務付けられていない点で医療行為に制限がある施設もある

介護老人保健施設

介護老人保健施設は、「老健(ろうけん)」とも呼ばれます。ケガや健康上の問題などが原因で入院や入所していた人が在宅復帰するための中間的医療施設です。入院までは至らないものの、在宅介護が困難な場合に利用することができます。

要介護1の方から入所は可能ですが、入所期間は1年未満と短めです。主に、在宅で介護出来るようリハビリなどの訓練や医療ケアを行うことが目的で、事業主体は医療法人が中心となっています。

常勤の医師のほか、機能訓練指導員、理学療法士、作業療法士など、リハビリの専門家が配置されています。本人や家族が在宅での生活復帰を目指していて、リハビリ意欲がある場合は最適な環境です。

介護老人保健施設のメリット

  • 介護保険が適用される
  • 在宅で生活できるよう専門スタッフによるリハビリテーションが受けられる
  • 常勤の医師がいるため、緊急時などの対応に安心感がある
  • 退所時にはリハビリの仕方や介護の仕方などをレクチャーしてもらえる

介護老人保健施設のデメリット

  • 入所期間が短く、長期入所したい人には不向き
  • 特別養護老人ホームと比べて料金が高い
  • リハビリなどの訓練が多くゆったりと自由には過ごしにくい

グループホーム

グループホームは、「認知症対策型共同生活介護」とも呼ばれているとおり、認知症の方が安心して暮らせることを目的につくられた施設です。認知症ケアが必要な方の増加にともなって、認可・建設数も増えている施設のひとつで、ほかの施設よりも少人数制でアットホームな雰囲気のところが多いのが特徴です。

「要支援1」または「要支援2」以上の人が対象となっており、基本的には介護スタッフ5人から7人が1人の入居者を援助する体制が取られています。ただ、自立した生活を支援することが目的となっているので、掃除や洗濯などは入居者たちが共同で行います。また施設が建つ地域に住民票のある人しか利用できないため、遠方の施設を利用するということは原則できません。

グループホームのメリット

  • 少人数のためスタッフの目が届きやすい
  • 入居者同士が家庭的な雰囲気のなか暮らすことができる
  • 認知症に特化した専門性の高いケアが受けられる
  • 日々の家事を通した自然なリハビリができる

グループホームのデメリット

  • 認知症以外の疾病など医療ケアの必要性が高まると退去が求められる場合がある
  • 施設がある地区に住民票がある人しか利用できない
  • 施設数が少なく、入所までに時間がかりやすい
  • 入居者同士のトラブル、相性が合わないケースがある

介護付有料老人ホーム

有料老人ホームは、高齢者が暮らしやすいように配慮された住まい型の介護施設です。食事や介護、洗濯、掃除、健康管理等、日常生活を送るうえで必要な「サービス」が付いた「住まい」です。主に「介護付」「住宅型」「健康型」の3種類に分かれます。

介護付き有料老人ホーム
介護が必要になった段階で介護サービスが提供される高齢者向けの居住型施設
住宅型有料老人ホーム
介護が必要になると外部の介護サービス事業者と別途契約が必要になる居住型施設
健康型有料老人ホーム
介護が必要になった段階で退去しなければならない居住型施設。全国でごくわずか

介護が必要ない健康なうちから入れる施設も多く、自身の生活や受けたい介護サービスに合わせて選ぶことができます。主に民間企業によって運営されるため、価格帯もサービスも多種多様です。

有料老人ホームのメリット

  • 要介護認定を受けていない健康な人でも入所できることが多い
  • 居室の環境が充実しているため快適に過ごしやすい
  • 長期入所が可能
  • 必要な介護を24時間受けることが可能

有料老人ホームのデメリット

  • 入居時や月々の費用が高い
  • 民間運営のため公的補助がなく、倒産等の経営面でのリスクがある
  • 夜の介護スタッフのが少ない等、体制が整っていない施設も多い

サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者住宅は、国土交通省の所轄による高齢者向け住宅です。「サ高住」ともと呼ばれる施設で、介護住宅ではなくあくまで「賃貸住宅」です。主に健康な方、または要介護度がそれほど高くない方を対象にしており、介護サービスの提供は原則ありません。

ただ、ほかの介護サービスの事業所を併設したり、看護や見守りに力を入れたりしているところも多く、介護が必要な方も状況によっては入所が可能となります。

サービス付き高齢者向け住宅のメリット

  • 一般的な賃貸住宅よりも高齢者が住みやすく借りやすい
  • 要介護認定を受けていない健康な人でも入所できる
  • 賃貸借方式のため入居時の費用を抑えられる
  • 他の施設に比べて外出や宿泊などの制限が少ない
  • 自由度が高いため、のびのびと生活しやすい

サービス付き高齢者向け住宅のデメリット

  • 介護サービスの提供がない場合も多い(外部の介護サービスを利用する必要がある)
  • 提供されるサービスが施設によって差がある
  • 介護の状態が重くなると、基本的に住み続けられない

良い施設選びのポイント

一括りに「特養」「サ高住」といっても、それぞれ運営元や施設ごとに特徴や環境が異なります。そのためどこに入居すればいいかわからなくなってしまう人も多いようです。ここでは施設選びの際に確認しておきたいポイントについてご紹介します。

受け入れ可能な症状や程度確認する
「軽度の方は受け入れ可能」「徘徊する場合は不可」など、認知症の症状によって受け入れできるかどうかを判断している施設は少なくありません。受け入れ不可のところに無理に入居させたとしても、十分な介護が受けられないだけでなく、思わぬ介護事故につながってしまう可能性もあります。こうした事態を避けるためにも、受け入れ可能な認知症症状や程度などを確認しておきましょう。
要介護度変更の際の施設側の対応を確認する
症状が悪化または軽減し、要介護認定が変更になった場合、退去を求められる可能性があります。これは症状が改善された場合も同様です。介護のニーズが高まっている昨今、新たな施設を見つけるのは大変なもの。要事項説明書を確認するなどして、要介護度が変更になった場合の対応についても事前に確認しておくとよいでしょう。
日々のサポート内容をチェックする
要介護度が上がるにつれて、求められる介護サービスは変化するものです。こうした変化に対応できる設備が整っているか、またサービスの変更を柔軟に行えるかなどをチェックしておきましょう。
スタッフの対応や利用者の雰囲気をチェックする

施設の雰囲気などはスタッフの方の話し方や仕事の様子を見ていると、自ずと見えてくるものです。笑顔が多かったり利用者同士の交流が盛んだったりするところは、施設全体の雰囲気もよく、新たな入居者に対しても親身になって対応してくれるところが多い傾向にあります。スタッフの方と直接話して対応を確認したり、施設に足を運んで入居者の雰囲気をチェックしたりなど、自分で施設の様子を確かめてみることをおすすめします。

できるだけ多くの施設を見学する
ひとつの施設だけを見ても、その良し悪しはなかなかわからないものです。できるだけ多くの施設を見学させてもらい、雰囲気や施設状況、また入居されるご家族に合った環境か、などについて確認してみましょう。
体験入居してみる
ある程度候補を絞り込めたら、実際に体験入居してみるのがおすすめです。施設によっては1日、日帰りなどの体験入所を行っているところもあります。もちろん入居されるご家族の気持ちや体調に合わせて行う必要がありますが、余裕があれば体験入所してみて、長く利用できるかを確認してみるのがおすすめです。

まとめ

介護施設にはさまざまなものがありますが、大切なことは入居されるご家族の症状やご本人にとって過ごしやすいところかどうかという点です。どんなに素晴らしい設備が整っていても、本人に合っていなかったり周りと馴染めなかったりするようでは、適した住まいとはいえません。体験入居やスタッフの方の雰囲気、要介護度変更の際の対応などを十分に確認し、ご家族に合った施設を選びましょう。

みんなの介護「老人ホーム・高齢者介護施設の種類」(2017年6月24日、https://www.minnanokaigo.com/guide/type/)
老人ホーム案内「老人ホーム・介護施設の種類 – シニアのあんしん相談室」(2017年6月24日、https://www.senior-anshin.com/guide/basic/type/)
内閣府「3 高齢者の健康・福祉|平成28年版高齢社会白書(全体版)」(2017年6月24日、http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2016/html/zenbun/s1_2_3.html)
LIFULL介護「介護付き有料老人ホームとは?」(2017年6月24日、http://kaigo.homes.co.jp/manual/facilities_comment/kaigo/)
老人ホーム全国ネット「日常生活における住宅型有料老人ホームと介護付き有料老人ホームとの違いは? 」(2017年6月24日、http://www.roujinhome-zenkoku.net/introduction/jutakugatayuuryoroujinhome/chigai2_kaigotsuki.html)
みんなの介護「介護老人保健施設とは」(2017年6月24日、https://www.minnanokaigo.com/guide/type/rouken/)
LIFULL介護「介護老人保健施設(老健)とは?(2017年6月24日、http://kaigo.homes.co.jp/manual/facilities_comment/rouken/)
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認知症ONLINE 編集部

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