先日、介護の現場に携わっていられる方々を対象にケアリングクラウンの観点からお伝えするコミュニケーション講座を開催しました。
その時に参加者の方からご質問を受けました。
「普段何をしても反応がない利用者さんがいます。もっと笑ってもらったり心を動かしてもらうには、どうすればいいですか?」
というものでした。今回は、この質問に対する答えを一緒に考えてみましょう。
【参考記事】ケアリングクラウンとは?笑いとユーモアで認知症ケア現場を明るく照らそう
まずは、介護者自身の感情を動かすこと!
このご質問に対して
まずは「関わる人自身の心や感情を動かしてください」
とお伝えしました。
せっかく施設に来てくれている利用者さんに対して、あるいは訪問先の利用者さんに対してより良いコミュニケーションや、より良い関係はなんだろうと考えます。介護者が抱えているのは、きっと次のような気持ち。
- もっと楽しんで欲しい
- もっと生き生きしてほしい
- 表情豊であって欲しい
その場にいる誰にとっても倖せな空間であってほしいですよね。
その為には、まずは自分が自分の感情に気づいてそれを表現すること。普段から様々な感情を感じて味わうことをしてみるのもひとつです。
辛い、悲しい…ネガティブな感情はどうすればいいの?
中には「楽しい」「うれしい」「好き」などのポジテイブな感情は持ってもよいが、「哀しい」「悔しい」「嫉妬する」「いや」などのネガテイブな感情はもたないほうがよいと思われている方がいます。
しかし、感情は何かをする時の心のエンジン。誰か好きな人がいる時に「好きだ」という気持ちがあるから 相手の人と距離を縮めたいという行動を起こすのです。逆に、いやだと思うことがあるから ブレーキがかかって必要のないことには立ち止まらせて考えさせてくれるのです。
泣きたい時には心のままに泣いてみる。笑い時には思いっきり笑ってみる。ポジティブな感情も、ネガティブな感情も、両方あって良いのです。
同じ日々の繰り返しを自分で壊してみる
普段から同じようなルーティンでいて、あまり刺激がないなと思ったら映画やテレビをみて笑ったり、泣いたりするのもひとつです。心を動かすことで、その人の毎日を生き生きとさせてくれます。自分のところにケアをしにきてくれる人を想像してみてください。
- 生き生きとしている人が自分のところに訪ねてくるのがよいか
- 感情に蓋をして、なんの表情もない人が訪ねてくるのがよいか
どちらでしょうか?
私だったら 自分の感情を大切にして 生き生きとしている人を選びます。
そんな人が横にいてくれることで自分の感情をオープンにしようと思うし、いろいろな感情に気付けることにもなります。歳を重ねて毎日が同じルーテインの繰り返しだと、刺激もなくなり、心が動くこともどんどん減ってきます。会話も減ってきます。
私たちクラウンは心の動きを少し大げさに表現することで、相手の気持ちを反映させたり、引き出すことをしています。相手の人にやって欲しいことはまず自分からやってみる。
その方が、きっと関わる人も、そしてそんな人に出会えた人も毎日が楽しくなると思います。
【参考記事】ケアリングクラウンとは?笑いとユーモアで認知症ケア現場を明るく照らそう


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