「介護職=優しい人」のイメージに感じる違和感の話

こんにちは!介護福祉士の川上陽那です。介護の仕事をしていると言うと、よく「優しいね」「若いのに偉いね」と返されることがあります。プライベートで「優しい!」と言われるのは素直に嬉しいことで、喜べます。でも、仕事で言われるとすごく嫌な違和感を感じるのです。今回は、私が介護現場で働く中で感じる違和感について考えてみました。

「優しいね」の言葉から透けて見える「私にはできないけど」

例えば、最近の仕事中、その日に入社したばかりの新人介護スタッフに「優しいですね」と言われました。

優しいと言われるにあたって、特に特別なことはしていません。利用者の女性が車椅子から立ち上がっていたので、声を掛けて座っていただき、トイレへお連れしただけです。

当たり前ですが、私は優しいからトイレにお連れしたわけではありません。介護福祉士として当たり前の行動を取っただけです。もし、その行動が「優しい」ならば、トイレに誘導しない人が「標準」になってしまいます。

私は、その新人スタッフの「優しいね」の背景には、(私にはできないけど)という気持ちが隠れていたのではないかと思います。私の行動を褒めているようでいて、仕事の基準を下げることに他なりません。その時私は新人スタッフに、

「何度も立ち上がるのには理由があるので、ご本人の意思を読み取ろうとする事はしなくてはいけないと思います。そうしないと、トイレの意思表示もしてくれなくなり、結果的に失禁させてしまうことになります。」
というような内容を伝えました。

介護の仕事に就いているだけで、なぜ「偉い」?

「介護の仕事をしている」と言うと、かなりの確率で「偉いね~」と言われます。実家に済む祖父母の友人や、かかりつけ医、友人の母親、自分より年上の知り合い・・・ここ数年色んな人に言われてきました。もちろん、言う方に悪意はなく、善意で言われているのは分かります。でも、この「偉い」も言われるとイラッとする言葉だったりします。

おそらく、「偉いね」の言葉の根本に、『よく介護の仕事なんてやってるね』『キツくて汚い仕事』というネガティブな介護のイメージを感じるからだと思います。この先には暗い未来が待っていて、自分はそこに飛び込んだかわいそうな若者なのだろうか。そう感じます。

仕事の大変さを言うなら、どんな仕事だって大変なはず。好きな仕事を、好きでやっているだけで、「偉い」と言われてしまうのでしょう。ボランティアで介護をしているならまだしも、プロとしてお金をもらいながら働いているのに、自分の職業を言っただけで「偉い」と言われるのは変な話です。現場で働く多くのプロの介護福祉士の方々にとっても、違和感を感じることなのではないでしょうか。

染み付いた「介護=辛い」イメージを変えたい

今回、言葉の違和感を掘り下げて考えていったら、「介護の仕事=自分はやりたくない仕事」という根深いイメージがあることに改めて気づきました。「優しいね」、「偉いね」のを免罪符に、面倒な仕事を押し付けようとする雰囲気にモヤモヤしていたんです。

どうせ褒められるなら、「介護の仕事って楽しそう」「いつか自分もやってみたい」と言われたいものです。介護職として、自分自身がイキイキと働き、周りに介護職の楽しさを伝え続けていくことが重要かもしれない、と感じています。

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川上 陽那

川上 陽那

介護福祉士。2015年に介護福祉士養成校を卒業後、20歳で上京し、都内の特別養護老人ホームに勤務。今年で2年目。2015年11月に都内の介護系イベントに登壇。2016年1月に中央法規出版「おはよう21」の3月号の表紙とインタビューを受ける。2016年3月に公開された、国境を越えた仕事(介護)を描いた映画「つむぐもの」に大きな影響を受ける。現在は施設に勤務しながら、自分が現場で体験していることと世の中の情報とのギャップを埋めるための活動をしている。旅が大好きで、将来は世界で働く「旅する介護福祉士」を目指す。
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