目に力が…!全介助の義母に訪れた変化のきっかけって?

作成日:2017/4/21  by 満枝満枝 3498views

10年近く胃ろうだけだった全介助の義母。舌の上に果汁をポチッとのせることから始めて早1年。ST(言語聴覚士)のリハビリを始めたことで、本人にも家族にも大きな変化が現れ、今では20分ほどで、170ccのトロミのあるものを完食できるほどに…。

今回は、リハビリの1年を振り返ってみたいと思います。

関連記事:「胃ろうでも味わう楽しみを…」口からの摂取復活を考えたきっかけとその後の話

誤嚥性肺炎を起こさないか心配だった

今考えると私の自己満足なのですが、毎朝のルーチンの中にお楽しみタイムをもうけていました(笑)

毎朝のルーチン
  1. 胃ろうによる食事
  2. 着替え
  3. 車椅子に座らせる
  4. 口腔ケア
  5. お楽しみにタイム

お楽しみタイムにすることは、『今日は、りんご味だよ』とか、『今日はピーチ味だよ』などと味を変えながら果汁100%ジュースの1滴、2滴を舌の上に…あとは、私のお腹の中(笑)
一緒に味わい、『美味しいねぇ』と^_^
それで大満足でした。

義母は、ごっくんと飲み込むこと自体ひと苦労のような、忘れているような印象でした。何をされてもされるがままという感じで、反応も少なく、放心状態に似たものがありました。

そして、誤嚥性肺炎をおこさないか…心配でした。頬の筋肉があまり動かず、口の中で唾液が溜まるような状態だったため、唾液が増え、吸引することも多く…家族をはじめ、義母に関わる誰もがリスクを恐れていました。

しかし、訪問看護師さんから勧められてST(言語聴覚士)さんに関わってもらってからは、劇的に変化していきました。

口腔ケアの重要性

まず、私が普段行っていた口腔ケアと方法が違ったのです…スポンジを使ったケアから、ガーゼを使って口の中をくまなく刺激!頬の内側、上顎・下顎・舌等々、濡れたガーゼを使ってゆっくり綺麗に…。そして、頬、顎をマッサージ。こんなに口の中、顔を触られたことないだろうって感じです(笑)

ボ~ッとしていた顔が、回を重ねるごとに締まってきて、目に力が出てきました。顎も大きく動くようになりました。口から食べ物を摂取するだけなのに、こんなにケアが必要だったんだということに驚きました。

摂取するものも大きく変わりました。サラサラの果汁ではなく、果汁にとろみ調整食品を混ぜ合わせ、ポタッとしたものにして、スプーンで口の中に入れるように…マッサージととろみ食に変えたことで、STさんが関わって2ヶ月目には、スプーン10杯ほどをモグモグごっくんとできるようになっていました。しかしむせることもあったため、様子を見ながら、ゆっくりゆっくり行っていました。多分10ccくらい摂取できていたと思います。

そして、ほとんど反応がなく過ごしていた義母が、嫌なことを声や顔で表すようになっていました。排便をしたとき『う~』と、声を出して教えてくれるようになっていました。

実は甘酒が好みだった義母

現在、STさんが関わって10ヶ月経ち、170ccの甘酒をとろみをつけて食べています。

甘酒が好物のようだと知りました(笑)介護食として販売されているおかず系で、すき焼きのとろみ食を試したときには、びっくりした表情になり、モグモグのスピードが遅くなり…お味噌汁にしたときは、モグモグすら途中でやめ…お茶にいたっては、『う~』っと抵抗し…(笑)

味があり、甘いものが好きなようです。わかりやすい反応をしてくれるようになりました。その反応をSTさんとともに喜べることが、家族として何より嬉しいです。ただ、文字だけで書くと、私たち(健常者)がモグモグする口の動きやスピードを思い浮かべるかもしれませんが、そこまでの回復はありません。

10年近く、口からものを食べる行為をしていなかったのです。その状態から、口にスプーンを使ってとろみ食を入れると、口をモグモグとし、ときには反射的に、ときには意識したようにゴックンと飲み込むのです。食べると言えるか…よくわかりませんが、私たちには食べているようにうつります。

ゆっくり変化していく義母の姿を見て…

STさんは40分のリハビリ時間を使って、義母に関わってくれます。

まず、前回からの義母の様子を確認、義母の体温・血圧を測り、口腔ケアとマッサージに10分ほどかけます。それから20分ほどかけて摂取訓練です。とろみが口の中に残っていたら誤嚥につながりますし、何より雑菌が繁殖するため、口腔ケアをまた丁寧にしてくれます。吸引が必要なときは、家族が吸引します。ひとつひとつ丁寧に反応を確認したり記録したり…毎回、STさんの業務に驚きと感謝です。

STさんが関わってくれた10ヶ月のおかげで、義母は排尿のときにも声を出して教えてくれるようになりました。目を動かし、人を確認するような仕草も見せてくれるようになりました

全介助の義母の変化していくスピードは、カタツムリよりゆっくりかもしれませんが、しっかりと変化していることを確認できます。

さいごに

今回、在宅でのリハビリを使わせてくれた関係者の皆さんに心から感謝します。まだまだ言語聴覚士が在宅看護として活躍する機会は少ないようですが、人間にとって、食べる、出す、眠ることが何より大切なことだと気付かせてくれました。

今後、在宅介護が広がる中で、リハビリを担当するPT(理学療法士)、OT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)さんたちの必要性が、医療関係者の中だけではなく、介護家族の中にも広まると、介護の喜びも増えていくのではないかと思います。

介護を明るく喜びのあるものにする支援があることが、何より嬉しいです!

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満枝

満枝

1961年生まれ。若年性アルツハイマー病を発症した義母の在宅介護を21年間山あり谷あり続行中。育児と介護を同時に行うダブルケアの経験者。現在、育児は卒業。在宅介護で潰れそうになった経験から、《育児も介護もたくさんの目と手と心が必要》と実感。現在は、認知症サポーターメイト、民生委員経験者として、その思いを発信中。
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