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【行動の背景にある気持ちを受け取る】
グループホームに入居した人から
自宅にいた頃お世話になっていた訪問リハビリ事業所へ
「Aさんに来てほしい」との電話。
どうやら「(当時の)スタッフに会いたい」という気持ちからのようだった。
グループホーム職員に電話すると
「電話しないように電話帳を家族に持って帰ってもらいます」と…。
行動抑制を発想する前に
まずは本人の気持ちを受け取って欲しかったなぁ。
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お互いに困った瞬間
それはある日の午後でした。2ヶ月ほど前に自宅からグループホームに転居した利用者から電話がかかってきました。
その人は訪問リハビリを利用していたので、グループホームにリハビリをしに来てほしいというリクエストの電話をかけてこられたのでした。しかし、制度上、グループホームに介護保険サービスとして訪問リハビリを提供することはできません。電話がかかってきた時、スタッフを派遣できないので困りはしたけれど、電話がかかってきたこと自体が迷惑だったわけではありません。

利用者

相談員

利用者

相談員
いや、クレームじゃないんですけど…
むしろ、環境が変化したけれど、以前のスタッフに会いたいと思い、電話をしてきてくれたことが何より嬉しかったのです。そのため、本人が寂しがっていることを、グループホームの職員にも知ってもらいたくて電話をしたのですが、電話に出た職員はクレームと思ったのか、「電話しないように電話帳を家族に持って帰ってもらいます」と即答されました。
「いや、そういうことではなく…」と説明もしましたが、伝えたかったことが伝わった感じがしませんでした。わたしは次のように考えていました。
- その寂しい気持ちから電話してこられたんだとしたら?
- グループホームの中になじみの関係がまだできていない?
- スタッフが会いにいくと、ホームになじむ妨げになったら逆効果だしなぁ
そんなこんなでグループホームにスタッフを送ることはしませんでした。
表面的なことじゃなく、その奥の気持ちをくんでほしい
電話をかけるにも理由はあったのです。しかし、その理由に耳を傾ける、心を寄せるというものとは違った質感を感じたのです。
- 利用者を「やってはいけないことをやる人」とみている?
- 利用者を「説明しても理解できない人」とみている?
- 利用者を「迷惑をかける人」とみている?
もし、仮にそうしたとらえ方をしていたのだとしたら、利用者は心を開くのだろうか? あなたならそういう人を頼りにできるだろうか? そして、このままだと利用者の気持ちに寄り添うことが難しくないだろうか?
利用者の言動の表面的なことだけに着目するのではなく、その根っこにある本人の本心に意識を向けられるかどうかは、実は、そんなわたしたちの向き合い方が大きく関係するんじゃないか…と考えさせられる出来事でした。
おわりに
人の言動というのは、自分の内面の「表現」でもあります。「表に現れる」と書いて「表現」です。つまり、行動とは、その人の内面にあるものが表に現れてきた結果なのではないでしょうか? そうだとすると、今回のような行動があった時に、「利用者の内面に何かがあったのではないか?」と可能性を探ってみることが大切なのではないでしょうか。
実際に、その答えにたどり着かなかったとしても、常にその可能性を探り続けることが、理由を探ることにつながるので、ぜひとも意識してやってみてください。


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