さあ、タンゴセラピーをやってみよう!基本編vol.3「音楽」

by 中川健一郎中川健一郎 3628views

前回は「抱擁」をテーマにタンゴセラピーの方法を説明しましたが、今回は、「音楽」について考えてみましょう。

タンゴセラピーに使う音楽=ほとんどが1930~1950年代の音楽 

アルゼンチンタンゴの曲、みなさん「ラクンパルシータ」以外にどのような曲を知ってますか?今回は「音楽」をテーマにして、タンゴセラピーを考えていきます。

「音楽」=「音を楽しむ」

タンゴセラピーで使う音楽は、アルゼンチンタンゴ黄金時代とも言われる1930~1950年のタンゴの音楽を使っています。ピアノ、バイオリン、コントラバス、バンドネオンをメインにしたタンゴの音楽は、その時代をまさに生きてきている高齢者の方はもちろん、若い世代の方にも愛される哀愁のある音楽です。この音楽に乗って、身体を動かし、メロディーを口ずさみ、そしてペアの相手と一緒にその音楽を楽しむ。

戦前、戦後の時代を生きてきた方は、当時の様々なことを思い出し、話される方も多いです。そして、その音楽に合わせて声を出したり、体を動かしたりすることで、その場にいる皆が一体になることができます。電子音はもちろん、パーカッションも入っていないタンゴのリズムは優しく、穏やかに乗れる曲も多くあります。

音を感じ合うコミュニケーション

皆さんが歌を口ずさむ時、同じ歌でもその人によって少しずつ歌い方が違うように、身体を動かす時も同様、人それぞれ音楽の体での感じ方、動き方には違いがあります。

手を取り合ったり、腕を組んだり、そして抱擁しながら相手の音楽の表現の仕方を肌で感じることで、相手の中から曲が聴こえてきます。そしてそれと同様、私たち自身の音楽の聞こえ方を相手に伝えることができます。

ふれあいの中からそうして伝え合うことはコミュニケーションのひとつであり、言葉を発することが難しい方とでもコミュニケーションをとることができます。

リズム運動から生まれる「セロトニン」と認知症の関係

精神の安定や、睡眠の質に深く関わる神経伝達物質の「セロトニン」は、タンゴセラピーで必ず行うリズム運動や、歩く練習の際に分泌されやすく、不安になりやすい、昼夜逆転といった認知症の周辺症状にも効果が期待できます。

座ったままでもできる

タンゴセラピーでは座位で行うパートと、立位で行うパートを分けることもできます。立位で行うことを座ったまま行うこともできます。これによって、いろいろな身体能力の方と、同時に行うことができます。

さあ、やってみよう!

  1. まずは、音楽を聴いてみましょう。タンゴのリズムは強・弱・強・弱と並んでいるので、手拍子をとったり、足踏みをする際に、この「強」の方を使うと、音が取りやすいです。

    最初は座位のまま手拍子で、しっかりリズムを取りましょう。その後同じようにリズムに合わせて足踏みをしたり、手を動かしながら足踏みをするなど、リズムに合わせた動きに変化をつけていきます。この時、「何かを行いながら別の何かを行う」ということは、脳神経の活性につながります。

  2. 立位をとることができる方は、立位で足踏みや重心移動をリズムに合わせて行うことは、タンゴの踊りの歩きに通ずるところがたくさんあるため、その後の歩きやステップにつながります。

    立って歩くことができない方とでも、立って揺れながらリズムをとることでリズムを共感することができます。

  3. ペアでの動きの際には、相手の動きにも耳を傾けます。自分とは微妙に違う音の感じ方をしている相手の音を聴いてみましょう。そして自分が感じている音も相手に体で伝えましょう。
  4. 一緒に音楽を感じることはとても気持ちのいいものです。その気持ち良さや曲の懐かしさから以前の楽しかった思い出などをお話しされる方も少なくありません。(回想法)

注意点

自分が音楽にのりすぎて、相手の疲れ具合への注意を忘れないように気をつけましょう。普段杖を使って歩いている方も、両腕しっかり組む、アブラッソ(抱擁)しながらだとたくさん自主的に動かれる人がいます。

楽しみながらも相手の状況を常に気遣うことが大切です。

まとめ

タンゴセラピーの「音楽」も「抱擁」「歩き」と同様、タンゴセラピーには欠かせない要素です。2人で聴く音楽、皆で聴く音楽から感じ、一緒に動くことで、シンプルな動きがこんなに楽しいんだと感じていただけるかと思います。

ここまでタンゴセラピーをするにあたって忘れてはいけない3大ポイントを説明してきましたが、その効果には、身体能力の向上や、回想法による効果だけでなく「オキシトシン」「セロトニン」といった神経伝達物質の相乗効果によるモチベーションの向上が見られます。

さあ、この「音楽」「抱擁」「歩き』をしっかり使って、タンゴセラピーを始めてみましょう!

シリーズ第1弾:さあ、タンゴセラピーをやってみよう!基本編vol.1「歩く」
シリーズ第2弾:さあ、タンゴセラピーをやってみよう!基本編vol.2「抱擁」

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中川健一郎

中川健一郎

北海道三笠市生まれ。東京都在住。20代は世界を放浪し、30代でアルゼンチンタンゴと出会う。アルゼンチンタンゴ講師から、タンゴセラピーがきっかけとなり介護職に転職、社会貢献活動として2016年4月より、 NPO法人日本タンゴセラピー協会の理事として、東京7施設、名古屋1施設での介護施設でのタンゴセラピー活動を行っている。夢は、「人と人のふれあいで、お互いを理解し、社会の平和につなげること」です。
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