孫から祖母へ…認知症になっても変わらない対応が笑顔の秘密

by 満枝満枝 1124views

介護保険も、認知症という言葉もないころ、若年性アルツハイマー病の義母を介護することになり…気づいてみたら22年が過ぎていました。その間、様々な悩みや苦労がありましたが、学びや気づきもあり、もちろん喜びもありました。

先日、久々に孫やひ孫が義母に会いに来てくれて、ほっこり癒されました。孫の持つパワーにあらためて感謝しました。今回は、義母と孫の関係についてお伝えしたいと思います。

大好きなばあちゃんと大人の諍い

79歳の義母には、3人の子ども、7人の孫、9人のひ孫がいます。若年性アルツハイマー病を発症した50代半ばには、すでに孫が7人いて、一番上は小学6年生でした。

先日お見舞いに来てくれたのは、当時小学生だった3姉妹と彼女の子どもたちなのですが、3姉妹の孫たちは優しい義母のことが大好きで、当時から「ばあちゃん、ばあちゃん」と、そばにひっついては甘えていました。義母も孫たちを笑顔で可愛がっていました。

大好きなおばあちゃんを取り囲む不穏な大人の諍いは、3姉妹の孫たちにとって多感な時期に起きてしまったと思います。今考えると、3姉妹の孫たちは心を痛めていたのではないかと不憫に思いますが、あの頃大人たちは必死に毎日を過ごしていました。

私の子どもたちは、当時2歳と3歳でしたから、物心つく前から病気と向き合う家族の中で育ちました。しかし彼女たちは、すでに優しい祖父、祖母たちの思い出がしっかりと刻み込まれていました。

あのころの私は…

どんな状況でも、3姉妹の孫たちは、「ばあちゃん、ばあちゃん」とそばに寄り添い、手を握ったり、身体を引っ付けたりしていました。当時、義母の症状やトラブルが原因で戸惑ったり、悩んだり、憤ったり、諦めたり…もがきながら生活していたので、時折会いに来る彼女たちに、時に癒され、時に戸惑い、時には(理不尽にも)悲しんだりしていました。

義姉(3姉妹の母)を通して接していたので、遠慮がちに声かけしていたように思います。彼女たちに対する感情も、少し歪んでいたかもしれません。祖母と孫の仲睦まじい光景を、斜に構えてみていたような気がしますし、羨ましく思っていたような気がしますし、離れようとしていた気もします。

家庭内不和も経験のひとつ

当時の義父は、変わっていく義母を何とかして元の状態に戻そうと、重箱の隅をつつくように義母の一挙手一投足に小言を言ったり、怒鳴ったりしていました。そんな義父に反感を持っていた私は、義父から義母を離そうと声かけしたり、私自身が離れようとしたり…そんな毎日だったので、私の子どもたちは私や義父の言動を伺うところがあり、義母に対して真っ正面から寄り添ったり、甘えたりできなかったかもしれません。

義母も同じで、義父や私の言動を伺いながらの生活だったと思います。一緒に生活する孫に対して、遠慮しがちな可愛がり方だったと思います。誰かひとりでも、認知症に対して正しい理解を持っている人がいたら、義母や家族に対する適切なアドバイスや声かけで、心が安らぐ時間があったかもしれません。

しかし、残念ながら義父も私も、そして周りを取り巻く身内や友人の中に、認知症を正しく理解している人は一人もいませんでした。誰もが思い込みや独自の判断で、トラブルを解決しようとしていたように思います。そして、誰もが心安らぐことができなかったのではと、思います。

当時の言動を批判したり評価することは簡単なことです。でも、当時に戻ることはできません。経験したことを今後の糧となるよう、忘れないようにすることが大切なのだろうと思います。そして、私の想いが介護に困っていらっしゃる方に届けばと思います。

今だから言える言葉たち

ちょうどその当時の大人たちと同じ年代になった3姉妹の孫たち!
当時の大人たちの思いや立場を想像できたり、理解できるのでは…?と思いますので、機会があれば、伝えたいことがあります。

それは…
身近な人、大切な人であっても、認知症になる可能性があること。でも、認知症になったからといって、絶望することはないこと。

早期に発見、診断、治療を施せば、本人も家族も穏やかな日常を送る可能性が増えることを…

そして、当時、大人たちが右往左往しながら過ごしていても、義母に対する優しい気持ちを持ち続けてくれた3姉妹の存在が何よりも義母の気持ちを癒していたこと。

さいごに

全介助でコミュニケーションも難しく、多くの人が「かわいそうに」と感じてしまう義母に対して、今でも変わらず「ばあちゃん、ばあちゃん」と声をかけ、手を握ったり、顔を近づけ写メを撮ったり…義母を中心に3姉妹が仲良く時間を過ごしてくれることは、何よりのおばあちゃん孝行で、誰よりもおばあちゃんの尊厳を大切にしていると思います。

そして、そんな様子を自分の子ども(ひ孫)たちに見せ、また子ども(ひ孫)たちにも、「一緒に写真撮るよ」とか手を握らせたり…を自然と出来る3姉妹に心揺さぶられるほど感謝していることを…

前回記事:介護は机上の空論でまかりとおらない!要支援者の立場に立つことで気づいたこと

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満枝

満枝

1961年生まれ。若年性アルツハイマー病を発症した義母の在宅介護を21年間山あり谷あり続行中。育児と介護を同時に行うダブルケアの経験者。現在、育児は卒業。在宅介護で潰れそうになった経験から、《育児も介護もたくさんの目と手と心が必要》と実感。現在は、認知症サポーターメイト、民生委員経験者として、その思いを発信中。
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