道路交通法改正で高齢者の事故は減らせるのか?

by 魚谷幸司魚谷幸司 988views

高齢者と車の運転については昨年、高齢ドライバーによる事故が新聞やテレビなどで「取り上げられた」ことが「話題」となりました。また、本年3月より改正道路交通法が施行されることで注目されています。

ただ、私の中で高齢者と車の運転に関して意識するようになったのは、平成10年に始まった免許証の自主返納制度が初めです。そして平成21年からの75歳以上を対象とした更新時における認知機能検査の実施、そして今回の改正となります。

※認知機能検査の正式名称は、講習予備検査ですが、ここでは認知機能検査で統一いたします。

新高齢者講習制度が開始

今回改正されるにあたり、これまでと何が違うのかを見ていきたいと思います。

改正前の道路交通法

これまでは、認知機能検査の結果で、認知症の恐れと判定されてもその後、特定の交通違反(※15項目)がなければ、医師の診断を受ける義務まではありませんでした。

参考記事:認知症の方に運転をやめてもらうための5つのタイミング

改正後の道路交通法

今回からは、認知症の恐れと判定された場合には医師の診断を受け、「認知症」と判断された場合、免許取り消しの対象になることとなったのです。

さらに認知機能が低下している、もしくは低下の恐れがない場合でも、免許更新後に特定の交通違反(※18項目)をすると、再度検査を受けなければならなくなりました。

信号無視
例:赤信号を無視した場合
通行禁止違反
例:通行が禁止されている道路を通行した場合
通行区分違反
例:歩道を通行した場合、逆走をした場合
横断等禁止違反
例:転回が禁止されている道路で転回をした場合
進路変更禁止違反
例:黄の線で区画されている車道において、黄の線を越えて進路を変更した場合
しゃ断踏切立入り等
例:踏切の遮断機が閉じている間に踏切内に進入した場合
交差点右左折方法違反
例:徐行せずに左折した場合
指定通行区分違反
例:直進レーンを通行しているにもかかわらず、交差点で右折した場合
環状交差点左折等方法違反
例:徐行をせずに環状交差点で左折した場合
優先道路通行車妨害等
例:交差道路が優先道路であるのにもかかわらず、優先道路を通行中の車両の進行を妨害した場合
交差点優先車妨害
例:対向して交差点を直進する車両があるのにもかかわらず、それを妨害して交差点を右折した場合
環状交差点通行車妨害等
例:環状交差点内を通行する他の車両の進行を妨害した場合
横断歩道等における横断歩行者等妨害等
例:歩行者が横断歩道を通行しているにもかかわらず、一時停止することなく横断歩道を通行した場合
横断歩道のない交差点における横断歩行者等妨害等
例:横断歩道のない交差点を歩行者が通行しているにもかかわらず、交差点に進入して、歩行者を妨害した場合
徐行場所違反
例:徐行すべき場所で徐行しなかった場合
指定場所一時不停止等
例:一時停止をせずに交差点に進入した場合
合図不履行
例:右折をするときに合図を出さなかった場合
安全運転義務違反
例:ハンドル操作を誤った場合、必要な注意をすることなく漫然と運転した場合

改正の妥当性って?

今回の改正について、「当然だ」という人や、「もっと厳しくしてもいいじゃないのか?」という人もいると思いますが、私は別の面からこの改正を考えたいと思います。

それは、認知機能検査と医師の診断の「正確さ」についてです。

私は認知機能検査の内容を見たことがあるのですが、この内容で認知症の恐れと判定される恐ろしさを感じました。検査時の年月日を回答させるものや記憶力を試すもの、時計の文字盤を書かせるのですが、認知症でなくてもできない人はいると考えられ、その時点で問題だと考えます。

また、医師の診断にも疑問を持っています。なぜなら、「正確に」認知症の診断ができる医師がどれほどいるのか、経験上思うからです。私はこれまでに、簡単に認知症と診断をつける医師を何人も見てきました。

事故は高齢者だけに限らない

車の運転における問題で一番の問題は、高齢者、とりわけ認知症高齢者を問題として取り上げる新聞やテレビにあると思います。

確かに高齢者になると視力や判断能力は低下し反射神経も悪くなりますが、事故を起こすのは何も(認知症)高齢者に限ったことではないはずです。

統計的に見ると、日本の高齢者人口は年々増加しているのに死亡事故数は横ばい、事故件数も減っているのです。認知症の高齢ドライバーの代名詞のように言われる逆走に関しても、この記事を書いている前日に、22歳の若者が逆走事故を起こしていました。

さいごに

高齢ドライバーといかに付き合っていくか、どのように工夫すれば事故が防げるのかを考えていく報道がひとつでも増えることを切に願います。

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魚谷幸司

魚谷幸司

昭和47年生まれ。東大阪市在住。大学在学中よりアルバイトで介護に従事する。卒業後は特別養護老人ホームやデイサービスセンター、認知症グループホームにおいて主任や副管理者等で勤務した後、本年1月に認知症支援事業所を起業。500人、20年以上に渡って認知症と呼ばれる方の声を聴き、今も向き合い続けています。また社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員を所持し5人の成年後見人としても活動しています。
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