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【あり方(態度)は人に伝わるもの】
コミュニケーションには
言い方や聴き方などのやり方以前に整えることがある。
いつも通りに関わっても
「今日こそはお風呂に入ってもらうぞ」
と意気込んでいることは
相手にはバレバレ…なんてことも。
これは人が言葉ではなく
存在でコミュニケーションしている証。
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目次
コミュニケーションは難しい?
はじめまして。「理由を探る認知症ケア」の第一人者として、全国の医療・介護専門職に研修を提供している裵鎬洙(ペホス)と申します。
同じことを何度も質問されたり、こちらが説明したことを理解してもらえなかったり…。「認知症の人とのコミュニケーションは難しい」と感じている人は少なくありません。そのため、「どういう声かけをすればいいのか?」と、コミュニケーションがうまくいく方法を教えて欲しいと言われることがしばしばあります。
「認知症だから仕方ないか」と諦めていませんか?
声のかけ方や声をかけるタイミングなど、いつもうまくいく方法でコミュニケーションをしているのに、日によって通じたり通じなかったりすることがあります。そうすると、どうしてうまくいかないのかがわからないので、「気分が良くないのか」と考えたり、「認知症だから仕方ないか」と、手がかりが見つけられそうにないこととして諦めることもあるでしょう。
また、他の人ならうまくいくのに、自分の時だけうまくいかないということがある場合には、「自分とは相性があわないのだ」と考えることもあるかもしれません。
コミュニケーション上手な人はどんな人?
そもそも、わたしたちの中に、「認知症の人とのコミュニケーションは難しい」という前提があると、コミュニケーションのとりやすい言葉、タイミング、場面などを見つける観察力や、相手の表情や反応から感情を汲み取る洞察力が鈍くなります。
裏を返せば、コミュニケーション上手な人には、そうした観察力や洞察力が長けている人が多いように感じます。決定的な違いは、「コミュニケーションを諦めない」ということでしょうか。
認知症の人とのコミュニケーションには、2つのステップがある
ご本人の加齢に伴う変化や、認知症の種類や自立度などによって、自分が置かれている状況や、相手の人の言葉や表情がわかりにくくなることはあるので、ぞれぞれに考慮することがあり、それに応じて「聴き方」や「伝え方」も変わってきます。どういう言葉で声をかけるか、どういうタイミングで声をかけるか、どのような場面で声をかけるかを配慮することで、コミュニケーションがとりやすくなることはしばしば見られるので、コミュニケーションのテクニックは大切です。
しかし、そうしたテクニックがうまく効果を発揮したり、あるいは自ら最適なコミュニケーション方法を編み出すためには、コミュニケーションの第1段階を整える必要があるのですが、その部分は注目されていないことが多いように感じています。
コミュニケーションの「第1段階」はなに?
わたしは、第1段階で大切なことに『あり方(態度)』があると考えます。
例えば、「好きな人のことを知りたい」という態度があれば、「趣味はなんだろう?」「好きな音楽はなんだろう?」と聞きたくなることがあふれてくるでしょう。そして、自然と聞きたいことを話してもらうための言い回しや、会話の流れを自ら編み出していくはずです。そして、「諦める」という選択肢がないかのように、あらゆる手段を使って、あれこれ試してみるはずです。
自分の「あり方(態度)」に目を向けてみる
そんな『あり方(態度)』を認知症の人は敏感に察知しているとわたしは常々感じています。 「今日こそは…」と気合いを入れている時ほど、うまくいかないことが多いと思いませんか? 『あり方(態度)』は、言葉を出す前からにじみ出ている存在感として現れているのだと思えてなりません。
「どうせ通じないだろうな」「面倒だな」と自分の内面で起きている反応が、コミュニケーションを難しくさせているのかもしれないので、自分がコミュニケーションをしている時に、どんな『あり方(態度)』でいるのかに目を向けてみることをおススメします。
第二回:認知症の人が同じことを何度も言うのはなぜ?理由を探る認知症ケアVol.2
★著書のご紹介
◆著者:裵 鎬洙(ペ ホス)
◆単行本:246ページ
◆出版社:メディカル・パブリケーションズ
◆内容(「BOOK」データベースより):
観点を増やし、発想を広げ、コミュニケーションのセンスを磨く。認知症ケアが行き詰まるワケとその打開策を徹底解説。次世代認知症ケアのアプローチ!


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