「座っていられない」ワケを探る3つの視点

by 裵 鎬洙裵 鎬洙 8136views

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【そこに座っていられないのは…】

「座る」って簡単なことのように思う。
では「座り続ける」となるとどうか?

そこに座っていることに
「“目的”や“甲斐”があること」
「リラックスして座っていられるイスや場所であること」
「座ってバランスをとる力や座っている体力があること」
など、必要な要素は十人十色だ。

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アセスメントで抜け落ちがちな「◯◯し続ける力」

利用者がじっと座っていてくれないと、見守らなきゃならなかったり、転倒してしまわないかとヒヤヒヤするためか、座っていないことが問題にされたりします。

ところが先日、理学療法士と会話をしている時に気づかされたことがありました。それは、「じっと座っているためには、いくつかの条件がある」ということです。

  • 座ることができる能力
  • 座っている姿勢を保つ能力
  • 座ることに目的や甲斐があること
  • 座っている環境が快適であること  等

他にも、「歩く」「寝る」「ご飯を食べる」「テレビを観る」「レクに参加する」なども同じように、その動作が「点」でできるかどうかと、それを「線」として継続できるかどうかはイコールではありません。

だから、アセスメントをする時には、その動作を続ける力があるか、それを続けるための条件はなにか、ということも着目する必要があるでしょう。

「理解できないから、やってしまう?!」

認知症があると、「いまは座っておいてほしい」というこちらの意図が理解できないんだと思い、「◯◯してしまっている」と否定的に捉える声を耳にすることがあります。

「あぶないから座っていて下さい」が理解できないのではなく、『ここは座り心地悪い』ということかもしれないし、『「あぶないから座っていて下さい」と繰り返し言われることから逃れたい』のかもしれないし、『ただ座り直したいだけ』かもしれない…とみてみると、いくつもの可能性が考えられます。

理解力だけでとらえるのではなく、「能力」「環境」「目的」という3つの視点でとらえてみることが必要なのかもしれません。

能力

  • 場所を理解する力
  • 人が言っていることを理解する力
  • 状況を判断する力
  • 理解したことを持ち続ける力
  • 座る姿勢を保つ力
  • 座り続ける体力  等

環境

  • 騒がしくない
  • 日当りがきつくない
  • 風が直接あたらない
  • イスが固くない
  • 一緒にいやすい人がそばにいる
  • 座り慣れた場所である  等

目的

  • 座っていたいと思う目的がある
  • じっとしていたくない
  • トイレに行きたい
  • 座っておくべき事情は理解しているが、その上で席を離れてやりたいことがある  等

自分も似たような体験してみる

こうした「能力」「環境」「目的」を、自分なりにとらえるセンスを磨くためには、利用者と同じ場所に座ってみることをおススメしています。なぜなら、利用者と似た体験をすることで、発見できることが少なくないからです。

まず、ただ、その場に座ってみます。そして、いきなり理由を探ろうとするのではなく、ただ座ってみて、五感をフルに使ってどんな景色がみえ、何が聞こえ、そして何を考えるのかをただ感じてみるのです。

そうすると、いままで知らなかったその人の視界、明るさ、音、座り心地などを体験するでしょう。施設であれば、スタッフの動きも違った見え方をするでしょう。そして、もしかすると、合点の行く理由に気づかされるかもしれません。

おわりに

自分が始めたダイエット。ダイエットをする目的も、ダイエット方法も、すべて自分で考えて、選択したことなのに、それでも続けられないことってありますね。それは、あなたが「ダイエットの必要性を理解していない」から途中でやめてしまうのでしょうか? それが続けられない理由のすべてなのかと言うと、他にもさまざまな理由があることでしょう。

利用者の言動も同じです。ケアチームの中で、「理由は一つとは限らないかもね」という意識が広まれば、「あの人、何回言ってもわからないんだから…」という見方も、違いが生まれるかもしれません。ぜひ、『理由は一つとは限らないかもね』を合い言葉にしてみてくださいね。

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裵 鎬洙
アプロクリエイト代表 認知症介護コーチ&講師 コミュニケーショントレーニングネットワーク講師 介護支援専門員実務研修講師 介護支援専門員専門研修講師 介護職員初任者研修講師 【略歴】  関西学院大学卒業後、訪問入浴介護サービスを手がける民間会社に入社。その 後、居宅介護支援事業所、地域包括支援センターなどで相談業務に従事。コミュ ニケーショントレーニングネットワーク(CTN)にてコーチング/コミュニケー ションのトレーニングに参加し、専門職のあり方が利用者にどれほど影響するか を実感。  現場での臨機応変な対応につながるコミュニケーションセンスやケアの観点を 一人でも多くの人に届けるべく、研修・セッション・執筆等を行っている。介護 福祉士・介護支援専門員・主任介護支援専門員。
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