【特集】認認介護時代を救え!ニンニンPepperが切り拓く認知症ケアの未来とは

65歳の高齢者の4人に1人は認知症とその予備軍、という大認知症時代を迎えつつある日本。老夫婦がお互いを介護し合う「老老介護」に加え、認知症の夫婦が介護し合う「認認介護」も増えています。そうした社会問題を解決する切り札として注目されているロボットアプリがあるのをご存知でしょうか?それは、人型ロボットを活用した、認知症のサポートロボットアプリ「ニンニンPepper(ペッパー)」です。ニンニンPepperは、孤立化が進む認知症高齢者を救う突破口になるのでしょうか。本特集では、全2回に渡り、超高齢化社会の問題を切り拓く可能性を秘めたニンニンPepperの魅力に迫ります!

後編:【特集】「認知症フレンドリーな社会を」ニンニンPepperを開発したチーム・ディメンティアの想い

世界初のpepperのアプリコンテストで最優秀賞を受賞したニンニンpepperとは?

Pepper全身イメージソフトバンクのCMでもおなじみの、感情認識パーソナルロボット「Pepper」。真っ白なボディに、真ん丸の大きい瞳で、お茶の間でもよく知られています。今年6月には一般発売も始まり、1000台がわずか1分で完売したことでも話題になりました。
Pepperの大きな特徴は、好きなアプリをダウンロードして、ロボットの用途を自在に変えることができる点。その最も優秀なアプリを決める世界初のコンテスト「pepper app challange 2015」が今年2月に開催され、最優秀賞を受賞したのが、「ニンニンPepper」です。

ニンニンPepperとは、認知症患者のサポートに特化したロボットアプリ。ユニークな名前の由来は、昨今増加の一途をたどる「認認介護」(認知症の夫婦が介護しあうこと)からきています。家族と離れて暮らすお年寄りに対して、ニンニンPepperが会話を通して見守りと介護サポートを行うことで、認知症の進行を緩やかにする一助とする狙いです。

おはようの挨拶から、服薬管理まで。ニンニンPepperができること

ニンニンPepperで実現できる、日常のコミュニケーションの一例をご紹介します。例えば、一人暮らしの高齢男性・たつじさんが時間通りに薬を飲まないといけない場合。Pepperが、次のように服薬を勧めてくれます。

無題
ニンニンpepper
たつじさん、おはようございます!朝の薬の時間ですよ。私の胸の薬箱から、日曜日の朝の薬を取ってください!
たつじさん
たつじさん
はいよ。
(Pepperの胸についたタブレットケースから、薬を取り、服薬する)
無題
薬を飲みましたか?
たつじさん
うん、のんだよ。
無題
薬を確認します。
(Pepperの頭に内蔵されたカメラで空になったピルケースを撮影)
薬の状況をお医者さまに送信しました!
(撮影した服薬状況を医師や家族に送信する)

一人で暮らす認知症のお年寄りが、薬を飲み忘れてしまい、誰も指摘する人がおらず、症状が悪化して、家族が頭を悩ませる・・・というのは、よくあるケースです。そこにPepperが介在し、本人に服薬を勧め、さらに状況を医師や家族に共有することで、飲み忘れを防いだり、医師や家族が服薬状況をきちんと見守ることが可能になります。

★実際に動いて会話するニンニンPepperの動画はこちら(ニンニンPepper公式サイトへリンクします)
movie_ninninpepper

認知症の進行を防ぐ仕掛けが散りばめられたコミュニケーション設計

ニンニンPepperは、服薬管理以外にも、「あいさつ機能を使って、乱れがちな高齢者の生活リズムを整える」、「データの送受信機能を使った孫との会話」など、多様な機能を備えています。すべての機能を設計する上で、基軸になっているのが、Pepperとのコミュニケーション。Pepperをきっかけに会話の機会を増やすことで、認知症の進行を食い止める効果が期待されています。

プロジェクトチーム・ディメンティアのメンバーが、機能を決める上で特にこだわったのは、「介護現場でのきちんと機能するか?」という点。そのため、チームメンバーの看護師や介護現場でのヒアリングから、実際の認知症の人の行動傾向を分析したといいます。例えば、認知症の高齢者の多くは、今日の日付を覚えられない(「見当識障害」が起こる)ため、普段見ているテレビ番組で曜日を把握する傾向があります。

その事実をヒントに、あいさつの内容を「今日は何曜日ですか?」だけでなく、「今日はあの時代劇がありますね!」というフレーズも加えることで、高齢者からの反応を引き出しやすくする、といった具合に、認知症の進行防止を狙う仕掛けが、随所に散りばめられています。

「認知症の本人と、家族・医療・社会をつなぐハブになりたい」ニンニンPepperの目指す世界観

プロジェクトチーム・ディメンティアが描いているPepperの未来は、個人的な利用シーンにとどまりません。「今後、クラウドAIという技術を使うことができれば、世の中に流通している全てのニンニンPepperの会話履歴データを集めることも可能。そうなれば、将来的に認知症の早期発見を導く手がかりや、治療のヒントにつながるものが見つかる可能性もある」とのこと。

社会から孤立しがちな高齢者のそばにPepperがいることで、家族や医師など、認知症の人をとりまく世の中と本人をつなぐいくつもの架け橋が出来上がります。プロジェクトチーム・ディメンティアは、「ニンニンPepperが、家族と医療、社会をつなぐハブになる」ことを、ニンニンPepperの目指すべき立ち位置として掲げています。

社会をつなぐハブになるPepperの図
ニンニンPepperとの「コミュニケーション」を通して、認知症の本人と、社会がつながります

将来の認知症ケアのカタチを180度変える可能性を秘めたニンニンPepper。実用化に向けて、現在進行形で開発が進んでいます。一体、どんなメンバーがニンニンPepperを生み出したのでしょうか。聞くところによると、そのメンバーは、医師や看護師、プログラマー等、それぞれ肩書も職業も年齡も様々のメンバーで構成されているのだとか。次回の後編では、プロジェクトチーム・ディメンティアの発足の背景や、開発にあたっての想いにクローズアップします!

後編:【特集】「認知症フレンドリーな社会を」ニンニンPepperを開発したチーム・ディメンティアの想い

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認知症ONLINE 編集部

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