「ずれた仮説」でも「正解」になる!?

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【“確信”を疑ってみる】

認知症の人との関わりで大切なことは
関わる側が知らないうちにとらわれている
「確信」に気づくこと。

「こんな時は○○が理由に違いない」
「これが無理なら、あれも無理でしょう」
そんな「確信」を
「それ、ホント?」と見つめ直すと
新たな一面に気づくことができる。

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知識や経験から「仮説」をたてる

介護の現場のみならず、日常生活のあらゆる場面で目の前の状況を理解しようとする時、わたしたちは概ね次のように物事をとらえているのではないでしょうか。

例えば、食卓で子どもと一緒にご飯を食べている時に、子どもの食事がなかなか進まないと、「野菜が嫌いだからぐずぐずしているのではないか?」「だいたいこういう時は食べ残すんだよな」という具合に、自分の知識や経験と照らし合わせて理解しようとします。

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「きっとこうだろう」という仮説をたてた上で、どのように声をかけるのがよいかを考えています。わたしたちはこれを頭の中でほぼ自動的に行っているので、もしかすると仮説を立てているという意識さえないかもしれませんね。

介護のお仕事

「仮説」が「確信」につながる

仮説をたてると、その仮説が正しいことを証明できる知識や情報を集めはじめ、「きっとこうだろう」から「こうに違いない」という“確信”がうっすらと生まれます。

そこから先は、知らず知らずのうちに“確信”にあう情報ばかりに目が向くようになり、あわない情報を「例外だ」「偶然だ」と除外する仕組みが働きます。この無意識に除外する仕組みは、利用者像を見誤り、不適切なケアを生みかねません。

先の子どもの例で言えば、「野菜が食べたくないからぐずぐずしているんでしょう」と決めつけたり、「好きなものだけ食べるんだったら、もうご飯食べなくてよろしい!」としかりつけたりしてしまうかもしれません。実際は、お腹が痛かっただけなのに、こんな風に言われたとしたら…悲しいですね。

不適切な関わりを少なくするために

よりよく関わろうとしているのに、結果的に不適切な関わりになってしまうとしたら、とても残念なことです。「きっとこうに違いない」という確信めいた意見や考えが出てきた時には、一度ギアをニュートラルに戻して、「もしかしたら、他の可能性もあるかも」と立ち止まってみることをおススメします。

特に、チーム全体が一つの仮説を前提にして関わり、適切なケアが見いだせずにいる場合、チームの誰かが他の可能性に目を向けることが機能します。

例えば、「最近はデイサービスの利用中に、落ち着きがない時間が増えた」という情報を耳にして、「同じテーブルを囲んでいる人とトラブルがあったのではないか?」と考えて、何度となく座席の変更をしたけれど納まらない…という場合に暗礁に乗り上げることもあるでしょう。

そこで、目の前に見えていること以外に、きっかけがあるかも?と情報を精査したところ、実は亡夫の3回忌が近づいていたということに気づくかもしれません。「他の可能性は?」と照準を合わせる人がいるだけで、その人の言動の理由に近づく確率が高まるのです。

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おわりに

仮説が確信になり、確信が視野を狭くする―というメカニズムを、日ごろ意識していなくても、多くの場合、わたしたちはその影響を受けています。その人の言動の理由に近づくためには、まず、このメカニズムがわたしたちに働いているということを知ることが大切です。

色眼鏡をかけて見ていたのでは、見えるはずのものも目につかなくなります。まずは、あなたがチームの中で「それ、ホント?」と投げかけられる存在になってみてはいかがでしょうか。

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ペ ホス (裵 鎬洙)
アプロクリエイト代表 コーチ/人材課題コンサルタント 「理由を探る認知症ケア」マスタートレーナー コミュニケーショントレーニングネットワーク講師 介護福祉士・介護支援専門員・主任介護支援専門員 【略歴】 兵庫県在住。訪問入浴介護、居宅介護支援事業所、地域包括支援センター、訪問看護、訪問リハ、通所リハ、訪問介護、介護老人保健施設等に従事。コミュニケーショントレーニングネットワークにて、コーチングやコミュニケーションの各種トレーニングに参加し、関わる人の内面の「BE(あり方)」が”人”や”場”に与える影響の大きさを実感。その学びと約20年の現場経験を活かした研修・指導には定評があり、これまでの参加者はのべ10,000人を超える。著書に「理由を探る認知症ケア~関わり方が180度変わる本~」がある。毎日新聞・医療プレミアでも連載中。

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