「自分が情けない…」介護職員が陥る仕事における介護と身内の介護の違い

by 石川深雪石川深雪 13327views

こんにちは。グループホームで勤務しています石川深雪です。

現在、介護職として働いている人の中に、ご家庭で身内の介護をされている人もいらっしゃるのではないでしょうか。さらに、介護職員としての介護と、身内の介護のギャップについて悩んでいる人が多いと感じるため、今日はそのお話をしたいと思います。

入院した祖母の介護から見たこと

わたしの祖母は多発性骨髄腫でした。もう10年前に亡くなりましたが、秋の終わり頃に、「年は越せないだろう」と医師より宣告されました。公務員だったわたしの母は休暇をとり、病院に泊まり込んで祖母の介護をしていました。

強い薬の副作用で幻覚や妄想が現れ、祖母は母に対してだけ非常に攻撃的になりました。わたしは1歳の子を抱え、病院に通ったり、気分転換のため母と出かけたりしていましたが、当時の母の表情、そしてすっかり変わってしまった祖母の様子を思い返すたびに涙が溢れてきます。

ずっと一緒に暮らしていて、元気な頃からよく知っている大切な人がだんだん弱っていく。あんなに優しかったのに、突然変わってしまう。押し寄せる恐怖、不安、寂しさ、悲しみ、怒り…。長く生きてほしい気持ちと、「いつまでこの状態が続くのか」という気持ちが交錯する。

身内の誰かが介護を必要な状態になったとき、このような思いを抱える人がほとんどなのではないでしょうか。

これが仕事だったら…

わたしが勤めているグループホームに、脳腫瘍で余命3か月のおばあちゃんが入所しました。しっかりしているように見えても認知機能は低下し、体も少しずつ動かなくなってきました。

あるおじいちゃんは奥様を亡くしてから生きる気力を失い、入所した時は食事をほとんど食べられない状態でした。ときどき大声を出したり、強い力で抵抗される様子も見られました。

どちらの方も「少しでも長く口から食事をとって、グループホームで過ごしてもらいたい」というご家族の希望もあり、一生懸命お手伝いさせていただきました。そこに確かに愛情はありました。職員全員そのおじいちゃん、おばあちゃんのことを大切に思っていました。

でも、自分の身内に対する思いとは違うんです。「仕事」なんです。言い方を変えると、第三者として関わることができるんです。仕事の場合、出会った時からその人は認知症だったり、余命わずかだったりします。何年、何十年という思い出もありません。介護が大変だったとしても、わたしたちは仕事が終われば自分の家へ帰り、自分の時間が持てるわけです。

異口同音に発せられる言葉

現在介護職として働きながら、身内が要介護状態である人は、「仕事の時のように優しく接することができない」と言います。仕事中はお年寄りを大切に思い、介護の仕事を楽しんでいる人たちだからこそ、仕事と身内の介護をするときの自分の中での差が許せなく、そんな自分を情けないと思っています。

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しかし、「仕事」と「身内の介護」は「介護」という共通点はあってもベースが全く違います。他の仕事でも同じです。保育士が「完璧な母親」とは限らないし、有名な料理長が、家庭でもおいしい料理を作っているとは限らない。自己啓発セミナー開催してる人が、みんな自分の力を100%発揮して大成功をおさめていつも幸せかと言うとそうでもない。

わたし自身、認知症ONLINEやブログで介護について書いていても、いつも完璧に仕事をこなすことはできません。ましてや身内の介護となれば、誰かの支えなしでは到底やっていけないと思っています。

さいごに

「自分を情けなく思っている」という、介護職員の話を聞くたびに、「介護の仕事の重要性」について改めて考えさせられます。今後、わたしの身内が介護を必要とする日が必ずきます。祖母のときのように受け入れられない状況がやってきます。そんなときに、笑顔で受け入れてくれる介護職員さんがいたら、家族にとっても、介護している自分にとっても心強いのではと考えています。

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だからこそ、わたしは、面会に来られたご家族から「わがままでごめんね」「お世話かけてごめんね」と言われたら必ず、「大丈夫です」と言い、「こんなことがあったんですよ」「こんなに素敵な笑顔を見せていただけたんです!」とプラス面をお伝えするようにしています。

施設に限らず、在宅サービス、近隣、役所と、介護に関わる人はたくさんいます。みんなが年老いていく以上、介護と無縁の人なんていないのではないかとすら思います。

誰かに頼ることは悪いことじゃない。ひとりで頑張らなくてもいい。介護職員だからと言って、完璧じゃなくていい。そんな思いを記事に乗せてこれからもお届けしていきたいと思っています。

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石川深雪
大学卒業後、特別養護老人ホームに勤務。その後出産を機にグループホームへ転職し、認知症の人と関わる仕事が自分の天職だと気づき始める。約13年の経験の中で得た学びをもとに、ブログにて、認知症介護の素晴らしさや、そこからたどり着く自分自身の幸せな生き方について発信中。現在は仕事をしながら、介護現場で働く人のサポートに役立てるため、コーチング、各種セラピーを勉強中。【保有資格】社会福祉士、介護福祉士、介護支援専門員、介護事務、認知症介護実践者研修修了、保育士ほか
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