認知症の方の服薬介助時に発生しやすいトラブル4つとその対応方法

by 市村幸美市村幸美 16065views

認知症看護認定看護師の市村です。今回は、服薬に関する記事です。みなさんご存じの通り、認知症の方は服薬管理が難しくなってきます。この認知症オンラインでも服薬についての記事がいくつかありますね。そちらの記事も参考にしてもらいながら、今回は筆者が認知症病棟で看護師として経験したことなどをふまえて、服薬援助(介助)の方法についてお伝えします。

認知症の方に起こりやすい服薬のトラブル

認知症の方の服薬援助を行うにあたり、発生しやすいトラブルが4つあります。

  1. 薬の飲み忘れ
  2. 服薬したことを忘れて何度も薬を飲んでしまう
  3. 薬を飲むことを拒む
  4. 薬を飲み込めず、口の中にためこんでしまう

1と2は、くどひろさんが書かれた以下の記事をご参考にされるとよいかと思います。
飲み忘れを9割防ぐ!認知症の服薬管理のコツ

少し付け加えさせていただくと、上記記事に書かれている服薬カレンダーについては、下記2点があってはじめて成り立ちます。

  • ご本人が薬を必要としている(飲む必要があると感じている)
  • 時間や曜日の見当識が保たれている

そもそも、ご本人が服薬の必要性を全く感じていなかったり、服薬しようとする気持ちがなければ、いくら服薬カレンダーを導入しても意味がありません。また朝・昼・夜の区別や、曜日の見当識がなければ使いこなすことはできません。「服薬カレンダーを使っているけど上手くいかない」という場合は、再度アセスメントをし、1、2を確認してみてください。

それでは、3、4の対応方法について、具体的にお伝えしていきましょう。

薬を飲むことを拒む

「薬を飲んでくれない」「嫌がられてしまう」といった経験をされた方は多いのではないでしょうか。私の経験を交え、薬を飲むことを拒まれた場合の対応方法や注意点について、お話しますね。

信頼関係を築く

服薬に限ったことではありませんが、食事やお薬、口腔ケアなど、口に入るものに関して嫌がる時期があります。看護師にとっては困った症状だな、と思う方もいるかもしれませんが、自分が信頼されていないとことに気づきましょう。

筆者もこのような記事を書いていますが、いつも上手くいっていたわけではありません。そのような方とは、とにかく信頼関係を築くことに全力をかけました。もちろん私だけではなく、病棟スタッフ一丸となって頑張りました。

そうすると、病棟に一人くらいは信頼してもらえるスタッフが出てくるもので、最初はそのスタッフに服薬介助をしてもらい、「この薬は自分にとって害はない」と感じてもらえるようにしていました。

やってはいけない3つのこと

当たり前のことですが、間違っても無理に飲ませたり、嘘をついてご本人をだますようなことはやめましょう。筆者も新人の頃は、「この薬を飲まないと○○になりますよ」などと脅すようなことを言って必死になっていました。しかし、そんなことを言っても飲んでくれないのが認知症です。食事に混ぜても見抜かれ、食事も食べてもらえなくなることも少なくありません。服薬援助を考えるときにこの「無理やり飲ませる」「脅す」「食事に混ぜる」の3つは選択肢からはずしましょう。

もうひとつ細かいことですが、直接口に入れようとすると拒否をされる場合が多いです。病院では、手に出すと落としてしまったり、隠して捨てるかもしれないという理由で、薬を直接口にいれるところもあります。しかし、認知症の方であっても手に出すとご自身のペースで飲んでいただけることが多いので、頭の片隅に入れておいてください。

本当に必要な薬なのか医師と相談をする

医者から出されている薬は絶対飲まなくてはいけない、という考えをまず捨てましょう。実際にこの考えを医師に話したことがあります。その時に、「そうなんだよね、その視点を看護師にはもってほしいね」と言われました。もちろん看護師や介護職が勝手に「この薬はいらないよね」と決めてしまうことはできませんが、疑う視点は必要です。

認知症の方は薬を飲みたがらない場合は、「この薬はこの患者さん(利用者さん)にご本人が嫌がっててもどうしても飲ませなくてはいけませんか?」とまずは医師に相談をしましょう。調整してくれる医師は多いですよ。

薬を飲み込めない

嚥下機能の低下が関係している場合が多いため、形状をシロップや発布剤などに変更してもらえないか医師に相談してみるとよいでしょう。また、服薬ゼリーやお水にトロミ剤を入れてやや固めのゼリー状のものを少量使って飲んでもらうと、スムーズに飲み込める場合が多いです。

さいごに

服薬援助は、看護師だけでなく介護職が行っているところもあると思います。服薬介助を行っている介護職はただ飲ませるのではなく、薬の効果や副作用なども勉強すると安心して服薬援助ができると思います。

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市村幸美
准看護師として数年間勤務した後、進学コースへ進み看護師免許を取得。認知症治療病棟への配属をきっかけに認知症ケアに興味をもち認知症ケア専門士、認知症看護認定看護師を取得する。「認知症をもつ人が受ける不利益をなくする」ことを使命と考え、現在は現場での実践や教育などさまざまなフィールドで介護・福祉に携わっている。またブログ『認知症専門のナースケアマネ市村幸美の【美Happy介護】』やSNSを通して介護職だけでなく一般の人に向けても認知症や介護を前向きに受け止めてもらえることを目指している。
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