お年寄りのお世話が介護じゃない。認知症介護から学んだ介護の意味

こんにちは。グループホームに勤めています、石川深雪です。介護の仕事を初めて約15年、グループホームに勤務して約8年になります。はじめから認知症介護が大好きで、生きがいを感じていたわけではありません。認知症のお年寄りの行動にイライラして、その怒りをぶつけてしまったこともありました。

しかし最近になって、「認知症介護から学ぶことはたくさんある」ということに気づいたのです。そこで今回は、わたしの人生をも豊かにした気づきについて、お話ししたいと思います。

グループホームでの生活

はじめに、私が現在勤めているグループホームの1日について書きたいと思います。

朝は日の出とともにお目覚めの方が多いです。そのため、夏場は午前4時を過ぎると、職員も「そろそろかな」と心の準備を始めます。目覚めた方から順に着替えをしたり、顔を洗ったり、席へ誘導したり、血圧を測ったり…。その方のペースや習慣に合わせて進めていきます。

朝食まではお茶を飲みながらテレビを見たり、洗濯物をたたんだりと、みなさん比較的静かに過ごされています。朝食が終わると、日中は体操をしたり、家事をしたり、おしゃべりをしたりして過ごします。鞄を探して歩き回るおばあちゃん。ひたすら広告を折り続けるおばあちゃん。気の合うふたりでいつも行動を共にしているおじいちゃんたち。基本的にその方のしたいことをして過ごし、できないところは職員がお手伝いをしています。

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午後からはレクリエーションとして担当職員がゲーム、体操、散歩など様々なことを行なっています。夕飯の後は、またひとりひとりのタイミングに合わせて着替えたり、居室で横になったりします。

在宅とは設備も環境も異なる

「認知症の人がたくさんいる」という環境は、職員の関わり方でよい方向にも悪い方向にも変わります。認知症の方全てに当てはまるわけではありませんが、「嫌だけど、我慢して周りの人に合わせよう」というよりも、「自分の気分の良いことをしたい」という気持ちが強いように思います。

そのため、ほんの少しの食い違いで喧嘩が始まることもあります。親切のつもりでやったことが、相手にとってはたまらなく不快だったり、自分の部屋を探しているうちに他の人の部屋をのぞいてしまったり。どちらも表面だけ取り繕うことをしないので、時に手が出そうになったり、怒鳴りあいに発展しそうな時もあります。

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こういうとき、安定剤などを使い落ち着かせようという考えの職員が今までにいました。でも違うんですよね。突発的に何かが起こる可能性もありますが、大半は日ごろの様子をよく知ることや、タイミングを見計らって間に入ることで事なきを得ることがほとんどです。

あるがままの生き方

共同生活とはいえ、認知症の方の「寝たいときに寝る」「食べたいときに食べる」「脱ぎたいときに脱ぐ」というところがとても好きですし、うらやましく思います。「今はこうすべき」「これはしちゃいけない」という、「やりたい気持ち」にブレーキをかけることが少ないんです。常識や世間体にとらわれていない部分を見ていると、認知症介護の奥深さを感じるのです。

認知症介護から受け取ったメッセージ

先日、以下のような相談をうけました。

相談内容

介護の仕事をしているときにイライラするのはダメなんですよね?

私の回答

いえ、介護者も人間ですから。感情があるんですから全くイライラしないというのは難しいんじゃないでしょうか?
その場にいた全員が大きくうなずいていました。大切なのは「自分がイライラしているのを認めること」です。

回答のわけ

「ダメだ、ダメだ!」と自分を責め続けているとどんどん辛くなります。「認めること」ができたら、今度は「なぜイライラするのか?」を自分に聞いてみてください。

そこには自分自身の思い込みやとらわれている思考が隠れているかもしれません。わたしの場合、その問いかけをすることで「計画通りに進まないと気が済まない自分」が浮かび上がり、その自分がわたし自身を苦しめていることに気付きました。そして、自分が楽になる為にその思考を手放すことで介護の仕事がより楽しくなり、自分の生き方も楽になりました。

さいごに

介護の仕事は単に「世話する、される」ではなく、リアルないのちの触れ合いです。そこから感じること、学ぶことはたくさんあると思います。介護の仕事がつまらないな、と感じた時やイライラした自分を責めてしまいそうになった時に思い出していただけると嬉しいです。

関連記事:「なんで上手くいかないの?!」介護中のイライラを遠ざける3つのコツ

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石川深雪
大学卒業後、15年間介護職として勤務。そのうち10年間はグループホームに勤務し、認知症介護の魅力にひきこまれる。3年前、人間関係のストレスからうつ状態になり、その後回復。それらの経験から、「介護の仕事をする人のサポートをしたい」「認知症介護の魅力を発信したい」と強く思うようになり、2017年1月に独立。現在はLINE@を利用しての仕事の悩み相談や、メルマガブログにより介護に関する情報を発信中。今後はセミナー講師としても活動していく。[保有資格]介護福祉士、社会福祉士、保育士、認知症介護実践者研修修了
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