介護漫画「介護士、アートする。」vol.2

by 高橋 恵子高橋 恵子 6929views

「ああ、帰りたい…」
くたくたの帰り道。ふと、一人ごとがこぼれました。はっ、と我に帰り、辺りを見回し一安心。よかった、誰にも聞かれてない。

…そうして、なんとなく。
帰りたい「そこ」が実際の「家」じゃない気がして、風にさらわれるような心持ちになりました。無意識の一人ごとは、自分自身でさえ把握できない、心の訴えを含んでいるように感じます。

「帰りたい」
そんな声を、認知症を抱えた方からも聞くことがあります。

本編

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夕暮れ時、フミノさんはやって来る。フミノさんの今のお住まいはここ。この施設が「帰るところ」

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帰りたい気持ちを慰めるように、今日もフミノさんの手にお花が渡る。

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花が色づく頃、フミノさんの目に光が戻る。

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今夜も夜空に、フミノさん色の花が咲く。

おしまい

あとがき

自宅にいても、施設にいても。「帰りたい」と帰宅願望を訴える方がいます。けれど、その方は本当に、実際の「どこか」へ帰りたがっているのでしょうか。

もしかしたらその根底には、認知症である自分を受け入れたくない、という逃避があったり、ままならない自分を誰かに助けてほしい、という欲求があるのかもしれません。

帰りたい。
その根っこにある真の理由を私は知る術を持ちませんが、その心細さや孤独に、アートは寄り添えると思っています。

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高橋 恵子

高橋 恵子

介護福祉士 /クエスト総合研究所 シニアアートワークセラピストコース卒業。日々、介護現場でアートを行っている。 ※漫画は実際の経験をもとにしたフィクションであり、実在する、人物・地名・団体とは一切関係ありません。
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