愉快なじいちゃんと徘徊じいちゃんの話~私が介護職でいるワケ~

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え!?この方、こんなに元気なの??
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え!?めちゃめちゃよく笑うし、いつも元気に早稲田の校歌歌ってますよ~!!
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日中、ず~っと徘徊しててすごく不安そうだったんですよ~。でもあなたが来たらこんな素敵な笑顔みせるんだね。きっと安心するんだね。
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わ~まじですか!超嬉しいです!!!

徘徊なんて言わずにもっとじいちゃんのこと見て欲しいな…。ボソ

ちょっとしたことでも認知症の症状にあてはめられる現状

冒頭のやりとりは、先日の夜勤で入居者さんとの食事中、手伝いに来てくれていた看護士さんと交わした会話です。

―――危なかった~。あんな素敵なじいちゃんなのに、ただの徘徊じいちゃんで終わらせられるところだった―――

って、真面目に思いました。でも、介護現場で働いていると、こういうことってよく起きませんか?徘徊、帰宅願望、物取られ妄想…症状に当てはめてそれで丸くおさめられちゃうパターン。

当のじいちゃんは、明るくて溌剌とした方です。陽気な性格のせいで、さも困っているんだといった感じで話してくれたことがあります。

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俺が早稲田大学を出たことを、みんな信じてくれないからまいっちゃうんだよな~

※私もいつも疑って毎回本人に確かめますが、実際にちゃんと早稲田大学を卒業されてます。笑

最近では私の顔を見ると、早稲田の校歌を歌ってくださいます。私は1番の歌詞を全部覚えてしまっているので、「あんたのが歌えるんじゃないか?」って言われるし、じいちゃんがわからなくなった歌詞を逆に教える立場になりました。笑

「俺は元気だよ!」のかわりに…

その日の夜勤明けの朝、お通じが間に合わずに漏れてしまったそうで、隣のフロアにいる私のところまで来たんです。

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漏れちゃったんだよ。あんたやってくれる?
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(汚れたところを綺麗にして)これで今日も1日元気に過ごしてくださいね!
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そこまで言ってくれる人はなかなかいないよ、あんたはすごいや。ありがとうね

なんて言いながら泣いちゃいました。しかも、そのすぐ後には、「み!や!こ!の西北~早稲田~のもりに~♪」って、あの元気な歌声が聞こえてきました。きっと、「俺は元気だよ!」って、私に伝えてくれたんだと思います。

介護福祉士は贅沢だなと思う理由

実はこの方、つい先月入居された方で、まだ1ヶ月も経っていない入居者さんです。自分の部屋がわからない、トイレの場所もわからない、今自分がどうしていいかもわからない、そもそもなんでこの場にいるのかわからない。よって、施設内を動き回るじいちゃんの行動は全部、認知症という病気とは関係なしに当たり前のことです。

でもそういった背景を知らない看護士さんや、他職種の方は、「施設内をいつも徘徊しているじいちゃん」と、見えている行動だけで判断して、終わらせてしまいがちです。本当にもったいないと思う反面、一番近くで毎日関われる介護福祉士という立場は贅沢だなとも思います。

そして、私たち介護職には、絶対に忘れてはいけないし、知らなくてはいけないことがあります。それは、認知症の方の本来の姿を知らない人、または病気になってしまってから忘れかけてしまっているご家族さんに、その方の本来の姿をみせる義務があるということです。

さいごに

私は、トイレに誘導して汚れたところを綺麗にした、それだけのことしかしていません。でも、こうやってひとつひとつの積み重ねで、信頼関係ってできていくものだと確信しています。ただの「介護」をきっかけに、「介護者」と「入居者」を越えた関係性ができていくものだと思ってます。

もっと言ってしまうと、私は「介護」がしたいのではなく、目の前にいる愉快なじいちゃんやばあちゃんと、ただただ一緒に笑っていたいだけです。介護職を誇りに、そしてオモシロいと思う、そんな姿を、これからも記事を通してみんなに魅せて、残していきたいと思います。

※トップの写真は、専門学生時代に地元、桐生のデイサービス「カノン♪」に遊びに行かせてもらったときの一枚です。

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川上 陽那

川上 陽那

介護福祉士。2015年に介護福祉士養成校を卒業後、20歳で上京し、都内の特別養護老人ホームに勤務。今年で2年目。2015年11月に都内の介護系イベントに登壇。2016年1月に中央法規出版「おはよう21」の3月号の表紙とインタビューを受ける。2016年3月に公開された、国境を越えた仕事(介護)を描いた映画「つむぐもの」に大きな影響を受ける。現在は施設に勤務しながら、自分が現場で体験していることと世の中の情報とのギャップを埋めるための活動をしている。旅が大好きで、将来は世界で働く「旅する介護福祉士」を目指す。
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