あなたの視野をせまくする言葉~不穏~

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【気分は正体不明なのか?!】

人の気分には浮き沈みがある。

だからこそ、人と接することにより、
『その時、その人に影響していること』
を捉える観察力が高められる。

そして、「いつもの帰宅願望」などの訴えが
何かをきっかけに起きていて
「いつも」ではないことにも気づくことができる。

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前回記事:あなたの視野をせまくする言葉~「認知症だから」~

イチかバチかのケア!?

人の気分(機嫌)というものは、四六時中、浮き沈みしているものです。嬉しいことや楽しいことがあればご機嫌だし、悲しいことや腹立たしいことがあれば不機嫌になります。その浮き沈みの振れ幅に、多少の個人差があったとしても、ほとんど浮き沈みなく、平坦なままで一日を過ごせる人は珍しいでしょう。

そのためか、わたしたちは、この気分(機嫌)を用いて、状況を説明する場合があります。

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どうして昨日はスムーズに介助できなかったのかな?
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気分(機嫌)が悪かったんでしょうね
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じゃあ、どうして今日はスムーズに介助できたの?
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気分(機嫌)が良かったんじゃないですか

要するに、ケアがスムーズにできてもできなくても、「なんだかよくわかんないんだよね」という感想が隠れています。つまり、自分のケアの素晴らしさも、マズさもわかっていない。これだとスムーズな介助ができるかどうかは「イチかバチか」です。

そして、往々にして、イチかバチかになる背景に、前回お伝えした「(認知症だから)気分の浮き沈みなんてわかりっこない」が潜んでいるのだとしたら、根深いですよね。

気分(機嫌)を左右するものって?

ところで、人の気分(機嫌)って、何に左右されていると思いますか? 皆さんは、いきなり「やったぜー!」と嬉しくなったり、急に「何なんだ!」と腹が立ったことってありますか?決して、理由(ワケ)もなく、喜怒哀楽の感情がわいてくることってありませんよね。よくよく考えてみると、人の気分(機嫌)は「その直前にあった出来事」に左右されているのではないかとわたしは思うのです。

そうだとするならば、「認知症」がある人との関わりでも、「その直前にあった出来事」が関係しているのではないか?と考えられます。

わたしたちが関わる前に、嫌なことがあったのかもしれないし、逆にとても嬉しいことがあったのかもしれません。あるいは、わたしたちの関わりそのものが、影響しているのかもしれません。
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例えば、言葉遣いがぞんざいだったり、テレビを観ているのに介護者のペースでお風呂に誘ったりして、ご機嫌ナナメになったのかもしれません。また、そうした例とは逆に、そっと添えてくれた手のぬくもりに安心したのかもしれないし、自分が訴えていることを「そうなんですね」と、ただ、受け取ってもらえたことで、気分が晴れたのかもしれません。

『本人の目線で、本人に影響を与えそうなこと』に関心を向けると、正体不明に見えた気分(機嫌)も、徐々にきっかけが見えるようになってきます。

ご機嫌ナナメ=不穏!?

さらにここで捉えておきたいことが、『不穏』という言葉です。わたしたちは、ご機嫌ナナメな状態のことを、「不穏」と表現することがありますが、これには2通りの可能性が考えられます。

1つ目は、実際に声をかけた時点で、ご本人に落ち着きがなく、穏やかでなく、怒りや悲しみに包まれている状態の『不穏』です。ケアを始める前から『不穏』なのであれば、それはケアがスムーズにいくはずもありません。イラついている同僚がいたら、様子をみながらタイミングを見計らって声をかけるでしょう。決して、おかまいなしに仕事の話をしにいかないはずです。だから、その状態にある時は、少し時間を開けるなどの工夫をするでしょう。

注目すべきは、2つ目のとらえ方です。それは、「介護する人が困る」時、言い換えれば、「言うことをきいてもらえない」時に、『不穏』と表現している場合が見受けられるということです。
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考えられることとして、声をかけた時点では穏やかだったのだとしたら、その後の関わりで徐々にヒートアップしてきて怒りだしているということが考えられます。そうだとすると、それを引き起こしているのは、まぎれもなく介護する人ということになります。

裏を返せば、自分の関わり方(声の大きさ、声かけの言葉の選び方、関わったタイミングや場所、など)にきっかけがあるのだとしたら、穏やかな状態で関わるヒントは目の前にあるということになります。

さいごに

声をかけた時点で『不穏』だったのか?それとも、関わってから『不穏』になったのか?『不穏』な状態がどのような状態なのかをチームで共有することも大切ですが、まずは、このポイントを振り返ってみることから始めてみてはいかがでしょうか。

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裵 鎬洙
コーチ 認知症ケアスーパーバイザー コミュニケーショントレーニングネットワーク(CTN)講師 介護支援専門員実務研修・専門研修講師 【略歴】 1973年生まれ。兵庫県在住。大学卒業後、訪問入浴サービスを手がける民間会社に入社。その後は介護施設で相談業務に従事。コミュニケーショントレーニングネットワーク(CTN)にてコーチングやコミュニケーションの各種トレーニングに参加し、関わる人の内面の「あり方」が ”人”や”場”に与える影響の大きさを実感。介護に携わる様々な立場の人に、知識や技術だけでなく「あり方」の⼤切さを発見する研修やコーチングセッションを提供。著書『理由を探る認知症ケア~関わり方が180度変わる本~』。介護福祉士、介護支援専門員、主任介護支援専門員。
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