認知症看護認定看護師の市村です。ここ1年ほど、「認定看護師になりたい」という方からのご相談をよくいただくようになりました。とはいえ、まだ認定看護師についてご存じない方のほうが多いと思います。そこで今回は認定看護師がどのような資格なのかをご紹介させていただきます。
そもそも認定看護師とは?
認定看護師は1995年に日本看護協会によって作られた資格で、簡単にいうと専門性の高い看護師を育成し、看護師全体のレベルを上げることを目的にできた資格です。
認定看護師とは、本会認定看護師認定審査に合格し、ある特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識を有することが認められた者をいいます
引用元:公益社団法人 日本看護協会
認定看護師には21の分野があります
筆者は認知症看護の認定看護師ですが、認定看護師はさまざまな分野があり、現在は21分野が認定看護師分野として特定されています。
分野 | 認定看護師数(※) |
---|---|
救急看護 | 1015名 |
皮膚・排泄ケア | 2155名 |
集中ケア | 1018名 |
緩和ケア | 1833名 |
がん化学療法看護 | 1375名 |
がん性疼痛看護 | 757名 |
訪問看護 | 490名 |
感染管理 | 2304名 |
糖尿病看護 | 772名 |
不妊症看護 | 145名 |
新生児集中ケア | 360名 |
透析看護 | 207名 |
手術看護 | 395名 |
乳がん看護 | 282名 |
摂食・嚥下看護 | 593名 |
小児救急看護 | 228名 |
認知症看護 | 651名 |
脳卒中リハビリテーション看護 | 580名 |
がん放射線療法看護 | 200名 |
慢性呼吸器疾患看護 | 220名 |
慢性心不全看護 | 238名 |
※2016年1月時点の認定看護師数(公益社団法人 日本看護協会HPより)
認定看護師はどんな活動をするの?
認定看護師の役割は、「実践・指導・相談」の3つとなっています。まずは看護師として実践のロールモデルになること、そして専門知識や技術などの指導、現場で直面している疑問への相談に乗るなどの活動をしています。
認定看護師になるための流れ
認定看護師になるためには次の条件をクリアすることが必要になります。
- 看護師資格を保有している
- 看護師の実務経験が5年以上ある(うち3年以上は専門分野での看護経験が必要)
- 「認定看護師教育課程」で半年間学び、「認定看護師認定審査」の受験資格を手に入れている
- 「認定看護師認定審査」に合格している
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認定看護師になるためには、5年以上の実経経験を経てから研修学校の入学試験に合格し、半年間研修学校に通う必要があります。研修学校では、講義・グループワーク・プレゼンテーション・実習において、専門分野を徹底的に学びます。
修了すれば認定看護師になれるというわけではなく、その後、認定看護師認定審査の試験に合格し、やっと認定看護師になることができるのです。
研修学校に通う環境を整える難しさ
半年間職場を離れることや、人によっては引越しが必要になる場合があるので、環境を整える難しさもあります。お子様が小さいなど行きたくても行けないという方も多くいらっしゃるのが現状です。また職場の上司の理解や経済的な問題など、認定看護師になるためにはある程度の準備が必要となります。
筆者の場合
筆者の場合は、准看護師から看護師になってちょうど5年目で、認定看護師の研修学校へ入学しました。認知症ケア専門士を取得済で、認知症に興味がありずっと勉強していましたので、入学試験において困ることはありませんでした。
しかし、研修学校に入ってからは困難だらけでした。周りに認定看護師の資格をもっている人がおらず、何も分からないまま入学してしまったこともあり、想像以上の大変さでした。今思えば無謀のような気もしますが…。
膨大な数のレポートに苦手なプレゼンテーション、そして試験の連続。体力的にも精神的にも鍛えられました。ですが、自分が勉強したい認知症のことだけに時間を費やすことができたことは幸せでした。
認知症看護認定看護師の今後
認知症看護認定看護師は、2016年1月の時点で651名となっていますが、5月19日に認定審査が行われたようなので、7月にはさらに増える予定です。筆者のように、フリーランスで活動にしている認定看護師は稀で、総合病院で働いている認定看護師が多く、まだまだ身近な存在ではないようです。
認知症看護は今後、医療の場である病院から、療養・生活の場である施設や在宅にシフトされていきます。もっともっと地域で活動する認定看護師が増えて、ご本人やご家族の身近な存在になってほしいと思っています。


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