介護者が認知症を疑似体験する2つの方法

「認知症ご本人が、どんな不安の中で生き、生活しているのか?」

介護する側は自分の常識や尺度で、認知症の方を見てしまい、そのギャップにイライラしてしまったり、怒ってしまうことがあります。もし、認知症ご本人の気持ちを少しでも体感できたら、自分が当事者になるとしたらどうでしょう?わたしは2回だけ、認知症を疑似体験したことがあります。

「認知症の方って、こんな感覚に陥るのかも…」
不安に襲われたのと同時に、少しだけ認知症の方に近づけた気がしました。今日は、認知症を疑似体験する、2つの方法をご紹介します。

漫画を読んで体感する

介護漫画ヘルプマンの11巻、12巻を最初読んだとき、認知症と診断されたときの苦悩が頭の中を駆けめぐり、まるで自分が発症してしまったような気分になりました。

漫画のすごいところは、その画力です。自身が主人公とシンクロしてしてしまい、ハッとしたことを覚えています。文章を読んで想像するよりも、直接脳に訴えてきます。

「認知症の母もきっと、こんな不安の中で日々生きているんだ」

疑似体験した結果、気持ちが少しだけ理解できるようになり、優しく対応できるようになりました。


「寝すぎる」と見当識障害のような感覚になる

――――はっ、今何時?ここはどこ?――――

母が昼寝をして、起きるたびコトバには出さないものの、目をキョロキョロさせながら、現実を受け入れるまで不安そうにしている姿を何度も見てきました。

電波時計を見て、アナログ時計も見て、新聞や太陽の光を見て、周りにあるモノを確認しながら、場所や時間を少しずつ認識していくのですが、わたしに比べると時間がかかります。

「ん?2時って、夜中、昼?」
この感覚は、認知症でない方でもよくある光景です。真っ暗な部屋で、昼過ぎまでぐっすり眠ってしまい、アナログ時計を見て混乱した経験ありませんか?

「あれ、これって夢?現実?」
深く眠って夢から覚めた時も、現実の世界と認識するまで時間が掛かります。

健康な方でも昼寝をして目覚めたときなど、今が昼か夜か、また、どこで寝ていたのかとっさに判断がつかなかったことがあると思います。アルツハイマー型認知症の方は記憶が障害されていますから、混乱や不安はいっそう大きなものになります。
引用元:相談e-65.netホームページ 見当識障害

認知症の方は、あの寝すぎたときの感覚をずっと継続して体感しているんだと考えると、大変な世界で生きているんだなと理解できます。

さいごに

「認知症ご本人の気持ちに寄り添って」とよく言われます。コトバにすることは簡単ですが、実際やってみると難しいです。このような疑似体験をすることで、どんな不安の中で生きているか、より理解できると思います。

今日もしれっと、しれっと。

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工藤広伸(くどひろ)
1972年生まれ。ブログ「40歳からの遠距離介護」など執筆を生業にする介護作家・ブロガー。祖母(要介護3)と母(要介護1)のW認知症&遠距離介護からスタート。父(要介護5)も在宅介護して看取る。成年後見人経験者、認知症ライフパートナー2級、認知症介助士。なないろのとびら診療所(岩手県盛岡市)地域医療推進室非常勤。現在も東京と岩手を年間約20往復しながらしれっと遠距離介護中。

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