若年性認知症の基礎知識|症状、チェックテスト、原因、予防まとめ

「認知症は高齢者のみに起こるもの」という印象をお持ちの方は多いのではないでしょうか。実は、若い人でも起こるのです。今回は若い人が発症する認知症、若年性認知症ついてお話いたします。

若年性認知症とは?

18歳から64歳の間で発症する認知症を総じて、若年性認知症と呼んでいます。「自分はまだ若い」という自覚や、病院で診察をうけても、うつ病や更年期障害、統合失調症に間違われるケースが多く、65歳以上になってから、若年性認知症だったという診断を下されることも少なくありません。

また、年代別で見ると、18歳~64歳の10万人当たり、10代(1.6人)、20代(21.4人)、30代(29.5人)、40代(83.9人)、50代(332.7人)となり、10代から発症することが分かります。

若年性認知症と認知症の違い

診断を受けたときの年齢が、65歳未満なのか65歳以上なのかの違いです。症状や対応方法・注意点は同じですが、年齢が若いほど脳の萎縮が速いと言われているため、例えばアルツハイマーの場合の進行スピードはアルツハイマー型認知症より若年性アルツハイマー病の方が速いです。そのため、寿命が短くなってしまうと言われています。しかし、医師の早期介入や適切なケアにり、症状を改善させたり、進行を遅らせることができます。

仕事や生活に支障をきたす問題

物忘れなどの症状がでることで仕事や生活に支障をきたしてしまいます。

離職や収入減により、家計圧迫
勤務先で業務遂行が困難と判断されるケースが多く、若年性認知症と診断された方の約7割は収入減となっている
介護者が主に配偶者となるため、親の介護と重なる
親の介護と重なることで、介護者の心身負担が激しく、家族介護されている方の約6割が抑うつ状態であると報告されている

介護施設に入所できる?

高齢者でも順番待ちの施設が多いため、入所は困難な状態です。あわせて、施設側が入所を積極的に受け入れていない点も挙げられます。不満や症状悪化が原因で暴れてしまった時に、若年性認知症の方自身が若いので力が強く、介護者側が抑えきれないのではと恐怖感を抱いてしまうためです。

また、入所したとしても、ご本人が高齢者と一緒に生活させるなんてと拒否されてしまうケースもあります。若年性認知症が社会に浸透していない現在、入所は難しい状況であると言え、ほとんどの方が自宅療養・自宅介護になっています。

若年性認知症の症状

若年性認知症の症状は認知症と大差ありませんが、自身の状態を受け入れることが困難な方が多く、常に安心感を感じてもらえるような対応が必要になります。

物忘れ

発症した方の50%に見られる症状で、初期症状のひとつです。脳の萎縮により、体験したことや経験したことそのものを忘れてしまいます。

  • 会社で会議があること自体忘れる
  • 洗濯機をまわしながら料理を行ったところ、洗濯機をまわしていたことを忘れる

行動の変化

発症した方の28%に見られる症状です。視覚で得た情報を正常に処理できなくなるため、空間を認識する力が弱くなります。

  • 転んだり電柱にぶつかるようになる
  • 同じところをうろうろする

性格の変化

発症した方の12%に見られる症状です。自身の状態に対しての焦りや不安などから、性格に変化があらわれます。

  • 親しい人に対して、暴言や暴力を言うようになる
  • 人と会うことを極端に嫌う

言語障害

発症した方の10%に見られる症状です。言語中枢に障害が起こることによりあらわれます。

  • 「あれ」や「これ」など具体的な言葉が出てこなくなる
  • 会話中、話が詰まるようになる

チェックテストで現状を把握する!

「最近物忘れがひどくなったかも…」など、ちょっとでも心配になった方は、以下のチェックリストで現在の状況を見直してみてください。

No. 質問内容 チェック
1 短時間の間に同じことを繰り返し聞くようになった
2 具体的な名前が出てこず、「あれ」「これ」と言うようになった
3 趣味や日課に対して興味がなくなった
4 家の鍵など、頻繁に使うものの置き場所がわからなくなった
5 待ち合わせや約束を忘れるようになった
6 簡単な計算などでケアレスミスが多くなった
7 何回か通ったことがある道で迷子になった
8 水を出しっぱなしにしていたり、ガス栓をしめわすれることがある
9 薬を飲んだか忘れてしまう
10 過去に脳卒中になったことがあり、失語や片麻痺など後遺症がある
11 食べ物や飲み物でむせやすく、またしゃべりにくくなった
12 高血圧や糖尿病がある(以前から)
13 大股で歩けなくなり、ちょこちょこ歩きになっている
14 頻尿や尿漏れがみられる
No.1~9のチェック数
  • 0~2個:認知症の可能性は低いです
  • 3個以上:認知症の可能性があるため、専門医へご相談ください
  • No.1~9で3個以上チェックし、10~14のチェック数
  • 0~1個:脳細胞性認知症の可能性があります
  • 2個以上:脳血管性認知症の可能性があります
  • 13・14のみチェック:認知症の中でも、水頭症性認知症の可能性があります
  • また、「脳細胞性認知症」「脳血管性認知症」「水頭症性認知症」は、複合型で発症することも考えられます。

    症状の改善や進行を遅らせることは可能?

    若年性認知症の進行スピードは速いため、早期診断・早期治療が重要です。症状に合った薬の処方や、非薬物療法・リハビリを通して脳を活性化させることで、症状を改善させたり進行を遅らせることができます。

    薬の処方前と処方後の状態をみる
    薬の副作用を、症状悪化と間違えてしまう場合があります。適切な量を服用することで症状を遅らせることができるため、「副作用かな?」と感じたらすぐに専門医にご相談ください。

    認知症の薬について詳しく知りたい方はこちら

    非薬物療法やリハビリを利用する
    回想法や音楽療法、学習療法を行うことで、脳を活性化させることができます。しかし、本人が乗り気でないにも関わらず強制して行うこと、期待通りの効果が得られない場合もあります。本人が楽しめるものを見つけられるよう、介護者の協力が必要です。

    認知症の治療について詳しく知りたい方はこちら

    否定せず、安心感を与えられるよう接する
    不安や焦りでうつ状態になってしまったり、逆に暴力をふるうことも少なくありません。今までできていたことができなくなっていると認識しているからです。介護者がご本人の不安や焦りに寄り添うことで、安心感をあたえられます。

    暴言が消えた!魔法みたいな認知症ケア「ユマニチュード」って?

    若年性認知症の原因

    円グラフ

    最も多いのは脳血管性認知症(39.8%)です。次いでアルツハイマー型認知症(25.4%)、事故や怪我などで頭を損傷により起こる、頭部外傷後遺症(7.7%)、前頭側頭葉変性症(3.7%)、アルコール性認知症(3.5%)、レビー小体型認知症(3.0%)の順番となっています。

    勘違いされやすいのですが、若年性認知症=若年性アルツハイマー病ではありません。さまざまな種類があり、その種類ごとに症状や治療方法が違います。

    認知症の種類や症状について詳しく知りたい方はこちら

    男性の方が発症しやすい

    厚生労働省が2006年度から2008年度の間に若年性認知症の実態調査を行い、全国でおよそ3万7,800人いると言われています。18歳~64歳の10万人当たりの若年性認知症者数は、47.6人であり、男性57.8人、女性36.7人と男性が多かったという結果を発表しています。

    厚生労働省:若年性認知症の実態等に関する調査結果の概要及び 厚生労働省の若年性認知症対策について
    厚生労働省:若年性認知症の実態等に関する調査結果の概要及び
    厚生労働省の若年性認知症対策について

    遺伝の可能性あり

    若年性アルツハイマー病・アルツハイマー型認知症の原因の1つに、遺伝子による発症があります。アルツハイマー型の発症リスクをはかるAPOE遺伝子検査(株式会社MCBI)で、アルツハイマー型の発症リスクをはかることが可能です。遺伝子は生涯変動があるものではないので、自身の発症リスクを知って予防につなげてみてはいかがでしょうか。

    3つの予防手段を知る

    脳血管性認知症やアルコール性認知症は、普段の生活を見直すことで発症自体を予防できます。その他の認知症についても、十分な睡眠や運動、栄養バランスの良い食事など普段からの生活管理が予防につながります。

    食生活
  • 年齢に合ったバランスの良い食事を摂る
  • 塩分過多、高脂肪、エネルギーの過剰摂取に注意する
  • よく噛む
  • 青魚に含まれるDHAやEPAの摂取する
  • 1日3食、規則正しくたべる
  • 運動習慣
  • 息が上がる程度に負荷をかけた運動を継続して行う(30分/1回、週3回)
  • 日常生活の歩数を増やす
  • 生活習慣
  • たばこをやめる
  • アルコールの過剰摂取に注意し、週2日休肝日を設ける
  • 歯を大切にする
  • 十分な睡眠時間をとる
  • コールセンターを利用する

    2009年10月1日より開始した、若年性認知症の無料電話相談。2008年に厚生労働省で行った「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト」の報告に基づき、認知症対策等総合支援事業の一環として、若年性認知症特有のさまざまな疑問や悩みに、専門教育を受けた相談員が答えるというサービスです。

    運営元

    社会福祉法人仁至会 認知症介護研究・研修大府センター

    〒474-0037
    愛知県大府市半月町3-294

    窓口情報

    電話番号:0800-100-2707(フリーダイヤル)
    開設時間:月曜日~土曜日(年末年始・祝日除く)10:00~15:00

    さいごに

    認知症は高齢者だけに起こるものではなく、若い人にも起こるということをご理解いただけたかと思います。予防するには、まず生活習慣の見直しが重要です。睡眠不足や運動不足、脂っこい食事など、リスクが上がる生活を見直し、規則正しい生活を送れるよう、意識していくことをオススメいたします。

    情報参照元:
    厚生労働省報道資料
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    認知症ONLINE 編集部

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