笑って父ちゃん!脳血管性認知症の介護体験談~父の恋活と結婚式!?~

by すーちゃんすーちゃん 1704views

笑うって、楽しくないとできません。だから、いつもイライラしていて、暴言暴力のある父を笑かすのは大変です。「父が楽しめることってなんだろう?」と、最初はすごく悩みました。

父は脳血管性認知症です。脳梗塞により、脳の一部が損傷を受けていますが、正常に機能しているところもあります。なので、わかっていることとわからないことが混在している状態です。今したことは覚えていないけど、親戚の名前や顔はわかります。自分がなんだか違うってこともわかっています。だけどどうしていいのかわからないので、イライラしてしまいます。しかも、前頭葉の梗塞なので気持ちの抑制がきかない。

暴力というかたちで自分の気持ちを爆発させてしまう父ですが、目をキラキラさせる瞬間がありました。それは恋をした瞬間でした。今回はそのお話を書きたいと思います。

前回記事:笑って父ちゃん!脳血管性認知症の介護体験談vol.2

父ちゃんが一瞬でも楽しいと思う場所はどこなんだろう?

家のまわりをぐるぐるまわる散歩と併行して、いろんなところへ行きました。お笑いの吉本新喜劇にも行ったし、いろんなコンサートや映画にも行きました。でも鑑賞中に騒ぎだして、途中で帰ることがほとんどでした。それでも、一瞬でも楽しい時間があるのならと、あきらめずに続けました。私の友人とカラオケにも行きました。カラオケは楽しかったみたいで長い時間いることができました。

父よ、お姉さんのお尻が好きだったのですね…

すごく楽しそうにしていたのが水族館でした。始終ニコニコ、ご機嫌な父の顔を覗き込んだところ、

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お尻がいっぱいや

って笑うのです。父が見ていたのはお魚ではなく、お姉さんのお尻だったのです。車椅子の父が水槽の前に行くとちょうど前の人のお尻が目の前なのですよね。

正直に言うと、最初はかなりとまどいました。でも、「そうか。父の楽しいことって、私が思うこととは違っていたんだ。違っていてもいいんだ」と、嬉しそうな父から教えてもらいました。それならと、出会いを求めてショッピングセンターなど人が多いところに行くようにしました。受付のお姉さんに道を尋ねたり、若いお姉さんにティッシュをもらったり。父の喜びそうなことしました。

恋活みたいですね。

81歳、脳血管認知症の父、恋に落ちる

その日は訪れました。父は毎週訪問してくださる介護関係の女性(Aさん)に恋をしたんです!「何曜日にくるんや」と、Aさんを楽しみに待つようになりました。これってすごいことなんです。認知症になり、「もう生きてても仕方ない」と言っていた父が、未来を考えられるようになったんですからね。

Aさんが来られると、毎回決まってプロポーズ。「嫁に来ないか」の歌を歌いだしてびっくりしたこともありました。そして、父のあまりの熱意に根負けして、「90歳になったらお嫁さんにしてください」とAさんは言ってくださったんです。(父は当時81歳)

それからは、

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もう90歳になったから、結婚しよう

と、言ったり、

父ちゃん-crop
結婚式は3月3日や

と、猛烈アピールです。

そうだ!父の仮想結婚式をみなさんと楽しんじゃおう!

本当の結婚式を挙げるのはさすがに難しいため、結婚式の雰囲気を味わえるよう仮想結婚式計画をスタートしました。父と相談し、式場の予約は主治医に頼みました。言語のリハビリでは、結婚式の挨拶を練習しました。ヘルパーさんとは、ご祝儀はいくら?とか歌の練習をしました。私とは、招待する人をノートに書きだしていきました。楽しい時間でした。協力してくださったみなさんに感謝です。

そして最後の集大成です。結婚式の事前準備と父に伝え、スーツを着た父とAさんのツーショット写真を撮りました。それはもう、とびきりの笑顔です!!大切に今も飾ってあります。

そんなあほみたいなことって思われる人もいるかもしれません。あほでいいんです。父の世界を一緒に楽しむ。それで父が笑ってくれたら、それでいいんだと思っています。

父は今日が何月何日かもわかりません。家にいても、家に帰ろうと一日に何度も言います。でも、3月3日を待っています。そうかと思うと、「俺の嫁は40人おる」と言いだしたり、「母ちゃん(亡くなった妻)帰ってきたか?」と聞いたり、父の頭の中はクルクルかわります。

娘は今日も父ちゃんを笑かすよ!

認知症介護をしていると切なくなる時もありますが、「さぁ、父ちゃん。次はどうくる!?」みたいに楽しむ自分がいます。そして、1つ気付いたことがあります。暴力というかたちで自分の気持ちを爆発させてしまう父なので、怖いと言われることがあります。でも父は、自分を大事にしてくれる人かどうか、一緒にいて楽しい人かどうか見抜いているんです。そんな存在になれるように今日も娘は父を笑かしますよ。

父の恋活も、もちろん続けます。
41番目のお嫁さん、募集中です!!

※今日もAさんに、「明日結婚式やな」と言ってました。

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すーちゃん
1966年生まれ。仕事をしながらの両親ダブル介護を経て、2006年に介護離職。現在は2005年に心原性脳梗塞になった83歳の父(脳血管性認知症 要介護5)を在宅介護中です。シングル介護なので大変も多いけど、父を笑かすことが私の楽しみだったりします。細々と、ブログ「笑って 父ちゃん」で父娘のドタバタな日常を綴っています。★プロフィール写真は、父が私を描いてくれたものです。
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