“もしも”の時に備えよう。「エンディングノート」のススメ

by 森田 大理森田 大理 2132views

皆さん、はじめまして。コピーライターの森田大理と申します。
普段は企業の広告・PRを手掛ける傍ら、“終活”の必須アイテムとなりつつある、「エンディングノート」の推進やアドバイスをさせていただいております。
認知症に関心をお持ちの皆さんにとっても、「エンディングノート」は非常に役立つアイテムです。もしもに備えて、ぜひ一度取り組んでいただきたいと考えています。

「エンディングノート」とは?

では、この「エンディングノート」について、皆さんはどれくらいご存知でしょうか?「エンディングノート」とは、自分の人生の最期の時に備えて、これまでの人生を振り返り、これから先のことを考えるためのノートです。お持ちの財産について整理したり、葬儀に関する希望などを書き留めたりできると共に、ご家族や身近な友人の方宛のメッセージを遺すこともでき、いざという時にご家族が様々な決断をする際の大切な道しるべとなります。遺言書と違い、書き記した内容に法的な拘束力はありませんが、その分自由な体裁で好きなように書くことができ、カジュアルに取り組めるのも注目されている理由の一つです。

書いたことがある人は、たったの6%

“終活”が必要だと考えている人にとって、「エンディングノート」は今では一般的なものとなりました。それにも関わらず、実際に「エンディングノート」を書いた経験をお持ちの方は全体の6%。このギャップは、非常にもったいないことです。私は経験上、亡くなられた方の意思が正しく伝わらなかったがために、遺されたご家族が相続や葬儀、お墓について悩まれたり、争いが起きたりしてしまったという事例を見てきました。ただでさえ大切な人との別れに直面しているのに、更に精神的な負担を強いるのは、故人にとってもご家族にとっても不本意でしかありません。だからこそ「エンディングノート」がもっと多くの方々にとって活用されるべきだと思います。

出典:リサーチバンク統計データ(2014年)

なぜ認知症の方に「エンディングノート」が必要か

ここまでご説明して、「エンディングノート」=「死」に直結してお考えになられたかもしれません。ですが、“終活”がそうであるように、「エンディングノート」は死後のことだけを意識したものではありません。例えば、「介護が必要になった際に自分が希望する方法は何か」「誰に頼みたいか(もしくは誰の判断に任せるか)」といった内容を記すことも大切です。つまり、「エンディングノート」が備える「もしもの時」とは、“自らの意思を伝えることができない時” なのです。認知症になったら誰が面倒を見る?専門の施設の力を借りる?大きな手術が必要な場合にどうする?こうした重大なことを、ご家族が決断するには並々ならぬ負担が発生します。悩み抜いて出した結論だったとしても、後になって「あれは正しかったのか?」と後悔をしてしまうようなことも珍しいことではありません。だからこそ、本人の希望が分かることは、万が一の時に家族の助けになるという点で非常に大切なのです。

本人の人生の選択を尊重できる大切な手段

また、認知症と診断された方の意思を尊重するという意味でも、ぜひ活用いただきたいと思っています。この先の人生の選択について直接的な希望を記すことも大切ですが、これまでの人生においてあなたがどんな選択をしてきたのかを振り返っておくことも大切です。人が何かを決断する時には、その人らしさが表れます。例えば、旦那様/奥様とのご結婚を決めた理由は?この仕事を続けてきた理由は?なども、実は身近な人にとって有用な情報。普段、面と向かってこういった内容を話すのは気恥ずかしいことですが、認知症の方と共に生きていく上では相手を尊重し敬う気持ちを持ち続けるために必要な心の支えになります。
もちろん、「エンディングノート」は、それさえあれば全てが万事解決という代物ではありません。けれど、重苦しく考えすぎずカジュアルに想いを残す手段として、ぜひ活用いただきたいと思います。

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森田 大理

森田 大理

大学卒業後、大手情報サービス企業の人材採用事業にて求人広告の制作ディレクターに従事。その後、事業会社の広報・PRを経験し、2013年にコピーライターとして独立。広告の企画・制作や、人の働き方・生き方に焦点を当てた記事の執筆を手掛ける。また、コピーライターとしての活動と並行して、その人らしい人生の歩みを伝える手段である「エンディングノート」を普及推進すべく活動中。
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