【体験談】認知症カフェで友達を見つけることができた母の話

「同年代で同じ病気の友達が欲しい」

若年性アルツハイマー病と診断された当時、母がよく言っていた言葉です。リハビリ系のデイサービスでは、「あんたは、どこが悪いんや?」とお友達になった利用者さんから聞かれることが多く、認知症対応デイサービスでは、利用者さんのほとんどが重度の認知症の方で、おしゃべりを楽しむことはできなかったからです。

そこで今回は、母にお友達ができ、おしゃべりを楽しめるようになった場所、認知症カフェ(通称:オレンジカフェ)についてお話ししたいと思います。

どうやって母の居場所を見つければいいの…

母が若年性アルツハイマー病と診断された2010年当時、若年発症の認知症の人や認知症初期の人は、居場所を見つけることがとても難しい状況でした。なぜなら、デイサービスは、高齢者の利用が多く、初期認知症の人に適したプログラムに出会えなかったからです。私も母が望む友人を探したい気持ちはありましたが、方法がわかりませんでした。

認知症カフェを知ったきっかけ

母が「京都式認知症ケアを考えるつどい」で『今の私』(前記事:「今の私」 アルツハイマー型認知症当事者のことば)を発表したことがきっかけで、京都大学病院もの忘れ外来の武地一先生(当時)が店長をされていたオレンジカフェ今出川(現オレンジカフェコモンズ)に通い始めました。母は当時65歳、病院やデイサービスには、「いやや。行きたくない」と言っていましたが、「カフェに行こう!」と誘うと、「どんなところ?」と興味を持ちました。

認知症カフェってどういうところ?

認知症カフェは、イギリスのメモリーカフェやオランダのアルツハイマーカフェがルーツの、若年発症の認知症の人や認知症初期の人、そしてその家族が気軽に訪れることができるカフェです。店員さんは、専門職や市民ボランティアの方です。また、認知症の方ご本人が「スタッフ」として手伝っていらっしゃるカフェもあります。

カフェではお茶を飲みながら、認知症の方ご本人同士や家族同士でおしゃべりを楽しんだり、困り事を共有し合ったり、専門家に相談したりできます。

  • 武地一先生著書の認知症カフェハンドブック

二人で初めてカフェに入った時は、ドキドキワクワクでした。店員さんに笑顔で迎えてもらって、うれしかったことを覚えています。母は、なぜここに来ているのか?ここは、何をするところなのか?が解らずに戸惑っていたようですが、1カ月もすると雰囲気にも慣れ、顔馴染みの店員さんもできて、すっかり常連さんになりました。通い始めて3年になりますが、今でも常連さんです。

認知症カフェに行ってよかった!

母は同年代で同じ病気の友達を作ることができました。また、私にも新しい発見がありました。

母が得たもの

20150830

認知症カフェには同じ年代で、同じ病気の方がたくさんおられます。その方たちとも段々と顔馴染みになり、おしゃべりを楽しんだり、散策に出かけたりするようになりました。母が願っていた友達がたくさんできたのです。母ととても馬が合う友達は、デイサービスも同じところに通うようになりました。一人だと不安でいやなことも、友達と一緒だと楽しめると思います。私は、母が友達と楽しそうにおしゃべりしている姿を見ると、とてもうれしくなります。

家族が得たもの

家族である私にも楽しい場所です。デイサービスには送迎があり家族が付き添うこともないので、そこで何をしているのか?どんな風に過ごしているのか?と考えたことはありませんでした。

ところが、認知症カフェに一緒に行けば、母がコーヒーを注文して代金を払い、友達とおしゃべりしたり、店員さんを捉まえて思い出話をしたりする光景を見ることができます。家では、できなくなったことばかりが気になり、落ち込んだりもします。しかし、カフェで活き活きとしている母を見て、「母にはまだまだできることがあるぞ!」と前向きな気持ちになれます。

また、専門職の方がおられるので、いろいろな相談が気軽にできます。介護保険のこと、ケアマネージャーさんのこと、福祉サービスのこと。私は、いろいろなことを相談することができました。さらに、家族同士でも仲良くなれます。お互いの悩み事を相談したり、解決策をみんなで考えたり、新しいことに挑戦された方に感想を聞いたり。このように、家族はいろいろな情報を得ることができます。

さいごに

現在は、全国に認知症カフェがたくさん出来ています。カフェにもいろいろな種類があるようです。母もオレンジカフェコモンズと、もう一か所、活動型の認知症カフェに通っていました。こちらのカフェでは、みんなで楽器を演奏したり、お花見やサーカス見物に出かけたりしていました(このカフェも今後紹介したいと思っています)

認知症カフェに参加しようと思った場合は、どのような種類のカフェなのか?ご家族が先に見学に行かれることをお勧めします。ご本人に合ったカフェを見つけることで、ご家族の方も前向きな気持ちになれると思います。

The following two tabs change content below.
河合雅美

河合雅美

1972年生まれ。夫と二人の娘の四人家族。介護老人保健施設と調剤薬局に薬剤師として勤務。アルツハイマー病の母(要介護2)が同じマンションの別フロアーで一人暮らしをしている。診断当初は、どうしていいのかわからず、母娘でケンカばかりしていた。ある時、母としっかり向き合うことができ、認知症があっても、やりたいことやできることがたくさんあることを知る。現在は、認知症と共に生きる母を前向きにサポートしている。

編集部おすすめ記事

この記事を読んだ人にぜひ読んでほしい、その他の記事

介護のお仕事

新着記事

Facebookコメント