以前、婦人公論さんの取材を受けたとき、「奥さまは、介護についてどのようにお考えですか?」と聞かれました。読者層を考えての質問だったのですが、妻が介護についてどんな風に考えていたのか、このときまで意識したことがありませんでした。そこで今回は、「迫りくる息子介護の時代(平山亮著・光文社新書)」 という本にある、介護する夫婦の4つのグループについてご紹介します。
NPO法人介護者サポートネットワークセンター・アラジンは、今後男性介護比率は40%に到達すると報告している。それにより、介護は女性がするものという元来の意識が崩れることが予想される。
介護する夫婦を「4つのグループ」に分けてみる
夫が親の介護をはじめたとき妻はどう対応するのか、という視点で分析されています。
- 1.妻を失った同居の息子タイプ
- 親と同居する夫婦です。夫の親との同居生活がストレスとなり、妻は介護しないというグループです。夫は妻が介護を手伝ってくれるものと期待しますが、妻は無関心。実質妻を失った状態を指します。
- 2.ひとつ屋根の下、「妻とは一心同体」タイプ
- 親と同居する夫婦です。夫婦で介護をしているものの、夫が主に介護をしていると「思っている」グループです。妻が家事を一手に引き受けていたり、夫不在時に介護をやっています。夫が思っている以上に妻の負担が大きいため、「思っている」という表現を使っています。
- 3.妻を親から分離する配慮タイプ
- 親と別居している夫婦です。妻が介護に関与することはほぼ皆無で、夫も期待していないケースです。親との物理的距離が、全グループの中でもっとも離れているのも特徴です。夫が、親の介護から妻を積極的に分離しようとしています。
- 4.親を看られるのは、妻のおかげですタイプ
- 親と別居している夫婦です。夫が介護を続けていくうえで、妻が実際の介護も心理的サポートもしてくれて、感謝を惜しまないというグループです。夫の代わりに、妻が介護にあたることもあります。また夫が介護に専念できるよう、家事や子育てを引き受けたり、介護方針への助言・提案をして影響力を発揮します。
介護の女性負担が多い現在、変わる未来
この4グループから分かることは、「親との距離が近い場合、自然と介護に巻き込まれてしまう」女性が多いことが分かります。親世代(主に65歳以上の方)の常識である 「嫁が介護するもの」 「冷たい人と思われたくない」という意識が大きな理由で、周りの親族も同じような目で見るためです。
親と同居という世帯形態、亭主関白的な文化が根付いていたひと昔前とは違って、今後は3と4のグループの割合が増えていくと考えます。
さいごに
ちなみに、わが家はグループ3です。妻には全く介護を頼んでませんし、今後お願いするつもりもありません。しかし、妻の親族は世代が上なので、
「おまえは、ひろさんのご家族の面倒を見なくていいのか」
という、変なプレッシャーがかかっているそうです。介護が始まることで、家族の役割分担は大きく変わります。夫婦それぞれが互いの親のエンディングノートを作ってみると、作成過程で未来を知ることが可能になりますよ。
今日もしれっと、しれっと。
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1972年生まれ。ブログ「40歳からの遠距離介護」など執筆を生業にする介護作家・ブロガー。祖母(要介護3)と母(要介護1)のW認知症&遠距離介護からスタート。父(要介護5)も在宅介護して看取る。成年後見人経験者、認知症ライフパートナー2級、認知症介助士。なないろのとびら診療所(岩手県盛岡市)地域医療推進室非常勤。現在も東京と岩手を年間約20往復しながらしれっと遠距離介護中。

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