ケアという名の拘束をしていませんか?恋するばーちゃんが教えてくれたこと

いきなりですが、みなさんに質問です。「お年寄りだって恋はする」って聞いたらどう感じますか?「いい歳して…」って思いますか?それとも「素敵!いつまでも恋ができるっていいな」って思いますか?

お年寄りの恋愛、もっと大きなくくりでいうと、性的な問題についてさまざまな意見があります。特に当事者の家族であれば、複雑な気持ちになる方も多いのではと思います。でも、ときめく気持ちは誰しもが自由に持っているものですし、自分ではどうしようもできない感情です。だからこそ、私は好きって感情を素敵だと思っています。

そんな今回は、私が見た心あたたまるほっこり現場のお話と、その現場を通して私が感じたケアについてのお話をさせていただきます。

※「ばーちゃん」「じーちゃん」という呼び名には、なっちゃんの尊敬の念が込められています。

行動だけじゃなく、気持ちすら理解してもらえない現実

施設のフロアのソファーでいつもうつむき、下ばかり向いているばーちゃんがいました。声をかける時は下から覗きこまないといけないくらい、ずっとうつむいているんです。認知症があるため、立ち上がり少しでも動こうものなら「どこ行くの?」「座ってて…」とフロアスタッフに言われていました。

―――なんでやねん。何かしたいから立ち上がるだけなのに、何も聞かず座っててってどういうことやねん―――

居ても立ってもいられず、フロアのスタッフの許可をもらい、違うフロアにばーちゃんを連れて逃走(?)しました。

フロアを変えただけでばーちゃんに変化が…

違うフロアに脱出成功です。しばらく二人でソファーに座っていたのですが、ちょっと離れて様子を見ていたら、いつも下ばかり見ていたばーちゃんに変化があったんです。居心地が良かったのか、顔を上げてすごく良い姿勢でテレビを見ているんです!そして完全なリラックスモードなのか、すごく落ち着いていたんです!

なっちゃんのケアに対する疑問
前のフロアだと居心地が悪いから立ち上がってしまう、立ち上がるとスタッフに注意されてしまう。居心地がよくないことをうまく伝えられないため、そのままうつむいてしまう。これでは悪循環ですよね。

もしかしたら、「あのおばあさん、勝手にどこかに行こうとしちゃうのよね」と勘違いされてしまい、問題行動を起こす人というレッテルを貼られてしまっていたかもしれません。なんで立ってしまうのか、考えることがケアなのではないでしょうか?

うつむいてたおばあちゃんが乙女に!

ばーちゃんを元のフロアに連れて帰る時間が近づいてきたので、ぼちぼち帰ろうかなと思ったとき、男性スタッフと入居しているじーちゃんが前にいたんです。そこでパっと、ある質問が頭に浮かんだのでばーちゃんに聞いてみました。

なっちゃん様プロフィール画像
なっちゃん
どっちがタイプ?
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ばーちゃん
…(素早くじーちゃんを指す)
なっちゃん様プロフィール画像
なっちゃん
どこがタイプ?
画像1-crop
ばーちゃん
すべて!

その時のばーちゃんは明らかに女!なんとも言えない表情といい、髪を耳にかけたりする仕草はまさしく恋する乙女。キュンキュンしてしまいました。居心地のいい場所は人の心も開放させてくれるんですよね。

なっちゃんのケアに対する疑問
「認知症だから」の前に、一人の人間ということをもっともっと知って欲しいです。私たちだって、堅苦しい会議より、気心の知れた仲間といる方が自分を出せますよね。怒られてばかりだと、どんどん萎縮してしまいますよね。それと一緒ではないでしょうか?

さいごに

なっちゃん書
なっちゃん書

年を重ねたからと言って、好き嫌いの感情がなくなるなんてことはないんです。この好き嫌いの感情を上手く活用すれば、介護の現場で役に立つことをスタッフにも知ってほしいなと思います。「認知症だからダメ」「お年寄りだから無理」と決めつけず、その人の気持ちを解放させてあげられるようケアして、感情を素直に表現できる場所で、人で、ありたいなと感じさせられた体験でした。

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なっちゃん

なっちゃん

1978年生まれ。高校を卒業後、病院の看護助手から始まり、現在は老人保健施設の認知症フロアを担当。休日には癒しを頂きにタッチセラピーのボランティア活動を行っています。保有資格は、介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)、介護職員基礎研修、介護福祉士、福祉用具専門相談員。
介護のお仕事

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