認知症の徘徊にどう対処する?その時家族が行うべき4つの対応

by 川内潤川内潤 13378views

はじめまして、高齢者虐待問題に取り組む「NPO法人となりのかいご」の代表理事を務めております、川内と申します。2007年12月に愛知県で起きた認知症の男性(当時91歳)による列車事故の最終判決が出ました。

「もし、自分の家族が認知症になって、行方不明になってしまったらどうすればいいのか?」と考えた方は多いと思います。そこで、ご家族が認知症で行方不明になってしまったときに取る4つの対応についてお話します。

まずは周りの人間(親族・友人など)に相談

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「お父さんがいつの間にか出て行っちゃって帰ってこないの。実は、お父さん、最近物忘れがひどくて…」家族からの突然の電話で、親が認知症かもしれないと気付くケースは多々あります。

このような状況で、一人で冷静に判断することは難しいため、信頼できる職場の同僚や上司、または親族や知人に相談しましょう。人に話すことで状況を整理することができますし、一緒に考えてくれる仲間を増やすこともできます。

身体的特徴や当日の服装を民間・公的機関へ連絡

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行方不明になった認知症の方を探すのはとても大変なことです。最低限押さえておきたいのは、行方不明になった方の身体的特徴です。ご本人の写真を用意できればなお良いです。当日に着ていた服も思い出せる範囲で紙に書いて他の方々と共有できるようにしましょう。そして、インターネットやタウンページを活用し、以下の民間・公的機関へ連絡してください。

  • 警察
  • 地域包括支援センター※
  • 自治会
  • 民生委員
  • 交通各社(タクシー、バス、電車)
※地域包括支援センターとは、市町村が設置主体となり、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員等を配置して、3職種のチームアプローチにより、住民の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助を行うことにより、その保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的とする施設
(参照元:厚生労働省 地域包括支援センターの概要より)

もし一緒に住んでいるご家族がいらっしゃれば、行きそうなところを洗い出してもらい、協力者と手分けして捜索をしてください。地図を塗りつぶしながら探すと効率的です。

“なるべく人に迷惑をかけたくない”という思いから、「もう少し自分で探してから」と連絡が遅れてしまうこともありますが、ご家族の生命に関わる事態ですので、遠慮せず速やかに連絡をしてください。

本人を見つけたらまずは健康チェックする

本人を見つけることができましたら、まず以下のチェックをしてください。

痛いところはないか
目見で外傷(擦り傷・骨折・打撲等)がないか確認
寒かったり暑かったりしないか
体温を測り、熱がないか確認(夏の場合はスポーツドリンク等で水分補給)
苦しいところはないか
血圧・脈圧を図り、循環器系に問題がないか確認

なお、地域包括支援センターには保健師が配置されているので、その場で健康チェックをしてもらえます。

注意していただきたいのは、心配する気持ちが怒りに変わってしまい、「たくさんの人に迷惑をかけて、勘弁してよ!」「恥ずかしいじゃないの!」と怒りをぶつけてしまうことです。

怒った顔や怒鳴り声は認知症の方を混乱させ、状態の悪化を招く要因になります。また、家族への否定的な気持ちが植え付けられ、信頼関係が崩れてしまう可能性もあります。

再発防止策の検討

徘徊は何度も繰り返されるため、すぐに再発防止策を考える必要があります。別居していた子どもが同居したり、同居している家族が玄関で寝るという対策をよく聞きますが、一人で出かけることができるほど身体が元気な認知症の方の介護は、長期になることがほとんどです。

家族だけで抱え込んでしまうと、仕事を辞めなければならなくなったり、慢性的な睡眠不足に陥り、ますます悪い状況に追い込まれてしまいます。そのため、地域の力を借りたり、介護アイテムを利用することをおすすめします。

介護サービスを利用する

「地域包括支援センター」に相談し、利用できるサービスを洗い出してもらいましょう。介護保険の申請を代理でしてもらうこともできますし、認知症診断を受けるにあたってのアドバイスをもらうこともできます。

近隣住民・施設の力を借りる

ご近所に連絡先をお渡しし、「何かあったらすぐ連絡してください」とお願いしておきましょう。また、お近くのスーパー・喫茶店・コンビニなどには写真をあわせてお渡しすると更に良いと思います。

介護アイテム・サービスを活用する

現在さまざまな介護アイテムやサービスがございます。その中でいくつかご紹介いたします。

  • セコム株式会社が提供する高齢者見守りサービスココセコム
  • 画像引用元:セコム株式会社ホームページ
    画像引用元:セコム株式会社ホームページ
  • 靴の中に小型のGPSを収納できるリハビリシューズです。普段からこちらの靴を活用するようにすれば、いざという時に役立ちます。
  • 玄関などに置くことで動きを把握することができます。人の動きを感知すると親機に光と音で知らせます。
  • 子機が親機から一定範囲を超えて離れた場合、親機、子機とも警告音を発して知らせます。
  • さいごに

    今回の認知症列車事故の判決を通して、家族介護の辛さ・大変さを改めて実感いたしました。ご家族の介護をするにあたり、決して抱え込んだりせず、周りにいる人の手を借りることをおすすめします。介護うつ、介護ストレスなど、介護する側が倒れてしまっては、大切なご家族の介護を出来なくなってしまい元も子もありません。無理をしない介護は決して放置するという意味ではなく、ほどよい距離を保つことが、よい家族関係を維持するには必要不可欠であることを心にとどめておいてください。

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    川内潤

    川内潤

    1980年生まれ。介護事業を展開する父と看護師・ケアマネージャーの母を持つ。高校2年の時のケガによる車椅子生活から、介護業界を志し、上智大学社会福祉学科に入学。在学中より老人ホーム紹介事業立ち上げに参画。外資系コンサルを経て、介護職員を経験後、高齢者虐待防止をミッションとしたNPO法人となりのかいご設立、代表理事に就任。社会福祉、介護福祉、ケアマネージャー。 HP:http://www.tonarino-kaigo.org/
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