【体験談】『Dカフェ・ラミヨ』に行ってきました!

【アイキャッチ】Dカフェ

東京都目黒区の閑静な住宅街に、喫茶店でもないのに、なんだか賑やかな場所があります。認知症のお年寄り、その家族、お医者さん、近所の人・・・みんながテーブルを囲んで、和やかにおしゃべりを楽しんでいます。ここは、『Dカフェ・ラミヨ』。今年1月政府が発表した新オレンジプランにも盛り込まれた「認知症カフェ」の草分け的存在です。では、認知症カフェとは、一体どんなところなのか。どんな人達が、何をしている場所なのか。実際にお邪魔して、覗かせていただきました!

認知症カフェってどんなところ?教えて!竹内さん

日当たりの良い、広々としたオープンキッチンのあるお部屋で迎えてくれたのは、NPO法人Dカフェnet代表理事の竹内弘道(たけうちひろみち)さん。認知症の母親を12年間自宅で介護した経験をもとに、認知症に関する様々な活動を主催されているオーナーです。

竹内さん
笑顔が素敵なDカフェのオーナー竹内さん

「認知症カフェのルーツは、ヨーロッパにあります。イギリスのメモリーカフェや、オランダのアルツハイマーカフェなど、色々な呼び名がついています。認知症に興味がある人が集まって語り合える場であり、認知症の人や介護者にとっての休息の場でもあります」

こうした海外の取り組みや独自のアイデアをもとに、竹内さんが『Dカフェ・ラミヨ』をオープンしたのは、2012年7月。今でこそ厚労省も認知症カフェを増やす取り組みを行っていますが、当時は、日本での認知症カフェはとても珍しい存在でした。

「Dカフェには、色んな人がやってきます。介護の先輩からアドバイスをもらったり、地域の人と交流してリフレッシュしたり、専門家や地域の人も、介護者などからリアルな話を聞き、仕事や生活に役立てることができます」Dカフェでは、民家を拠点にした『Dカフェ・ラミヨ』の他にも、デイサービスや病院、リハビリ施設に併設する形で、タイプの違う4つの認知症カフェを運営しています。

竹内さんの民家の2階を開放した『Dカフェ・ラミヨ』
竹内さんの民家の2階を開放した『Dカフェ・ラミヨ』

認知症の人の「家では見せない表情」が垣間見える場所

Dカフェに訪れるのは、介護者だけではありません。認知症の本人も一緒に参加します。竹内さん曰く、Dカフェには「ゆるやかなルール」があるとのこと。それは、“介護者と家族はなるべく離れて座る”というルールです。「同じ空間にいながら、普段接する家族以外の人と話してもらうようにしています。そうすることで、本人にとっては、気力や社会性を取り戻し、症状の改善につながりますし、家族にとってはリフレッシュの場にもなる。お互いの自立を促す効果があるのです」確かに、普段家では見ることができない、認知症の人の表情や自然な会話を、家族が間近で見ることができるのは、カフェという場所ならでは。そこに、医師や介護職、作業療法士などの専門職、近所の住民など、さまざまな人達が加わり、みんなで淹れたてのコーヒーとお菓子を囲むことで、リラックスした空間が生まれるようです。

スタッフが焼いたパンを差し入れたり、ハーモニカを吹いたり。自由で、ゆるやかな雰囲気です。
スタッフが焼いたパンを差し入れたり、ハーモニカを吹いたり。自由で、ゆるやかな雰囲気です。

「悩んでいるのは自分だけじゃないんだって、ホッとした」参加した家族の声

6月某日の昼下がり。Dカフェ・ラミヨに十数人の参加者がやってきました。認知症のご婦人と旦那さん、若年性認知症のお姉さんを持つ働く女性、「将来いつ認知症になってもいいように!」と胸を張る一人暮らしのご婦人、親族向けに認知症の勉強会を開きたいというご夫婦・・・等々。参加者の年齡は30代~80代と幅広く、立場も、介護の状況も、一人ひとり異なります。初対面の人も多く、最初はどこか緊張した面持ちの方もちらほら。でも、皆さん共通して持っているのは、「認知症への理解を深めたい」という思い。ぽつり、ぽつりとそれぞれカフェに来た理由を言い合うと、次第に打ち解けていきます。

Aさん「老健に入った母が、『こんな処に入れるなんて!』って泣くんです」
Bさん「うちも最初そうだった。最初は頻繁に通って、今は落ち着きましたよ」
Cさん「母に目薬を渡すと、あっという間に使いきっちゃうんですよ」
Bさん「あるある。家にいるのに『家に帰りたい』って言ったりもね」
Dさん「会社でうちの姉が認知症だと何気なく話したら、『そんなこと人前で言うもんじゃない』って言われて」
全員 「それはひどい!」

スタッフの一人が焼いてきた手作りパンを食べ、温かいコーヒーを飲みながら、辛い話も、ちょっと笑える話も、弾みます。最初はこわばっていた表情も、だんだん柔らかくなって、帰るころには連絡先を交換をする人も。参加者の方々に参加した感想を伺ってみると、「初めて会う人でも、似ている境遇の人だと、身近な人にも言えない悩みが共有できる」「普段は自分の生活もあって、なかなか介護だけに一生懸命になれない。けれど、行き詰った時や情報がほしい時にいつでも立ち寄れる、ゆるいつながりの場があることは、心の支えになる」と前向きなことばが聞かれました。

世代や障害を超えた、ゆるやかなつながりが生まれます。
世代や障害を超えた、ゆるやかなつながりが生まれます。

どうしたらもっと、認知症カフェが世の中に広まるんだろう?

2015年現在、国内には数十か所の認知症カフェがあるといいます。けれど、まだ認知度は低く、一般社会に浸透しているとはいえません。どうしたら、もっと広まるのでしょうか。竹内さんはこう言います。「認知症になっても、普通に暮らせる社会になることでしょうね。そのためには、皆が認知症について正しい知識を知ることが大事だと思います。まだまだ、認知症の家族のことをオープンにしたがらない人は多くいます。そういう人達の意識を変えるには、『勉強しなければ』といった強迫観念で認知症を学習するのではなく、コミュニティの場で、自然にに交わす会話の中で、認知症を知ることが大事だと思います。」

認知症カフェは、全国にあります。もし、あなたが認知症についてもっと知りたい、誰かと話したい、と考えているなら、一度お近くの認知症カフェに足を運んでみてはいかがでしょうか?ホッとできる場所に出会えるかもしれませんよ。(近くの認知症カフェがどこにあるのか分からない場合は、各市町村の地域包括支援センターに尋ねてみるのがおすすめです!)

★今回お話を伺った方

竹内弘道さんお写真
●竹内弘道(たけうち・ひろみち)さん

1944年生まれ。認知症の母親を12年間自宅で介護し、97歳の母親を見送る。介護の最中に出会った「目黒認知症家族会たけのこ」の世話人となる。2012年7月、東京都目黒区の自宅の2階を地域に開放し、認知症カフェ「Dカフェ・ラミヨ」を月に2回開催。現在、東京都目黒区内に4箇所の認知症カフェを運営し、今後は、8箇所まで展開予定。認知症専門医との勉強会「お医者さんを囲む会」や料理を通して交流を深める「クッキング・コミュニケーション」など、幅広い内容で注目を集める。今後も認知症に関するさまざまな活動を展開予定。

公式サイト Dカフェnet

関連記事:認知症カフェで友達を見つけることができた母の話

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認知症ONLINE 編集部

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