認知症になると、他人の表情から気持ちを読み取る能力が低下してしまいます。しかし笑顔、つまり「相手が幸せか、幸せでないか」を読み取る能力は最後まで衰えないことがわかってきました。介護する人が疲れたり、精神的に追い詰められたりして笑顔になれなくなってしまうと、介護される人もそれを感じて不安になってしまうことが考えられます。
引用元:NHKためしてガッテン(2010年放送)
こちらはNHKためしてガッテンで2010年に放映されたものなんですが、亡くなった祖母、そして母、2人の認知症の介護をしていて実際にあった事をご紹介します。
重度の認知症の祖母が教えてくれた『笑顔を認識する力』
祖母はやや高度のアルツハイマー型認知症でした。子宮頸がんで入院し、その後ベッドから転落して大腿骨を骨折し、寝たきりの時間が長くなっていきました。亡くなる3か月前くらいからは枕から頭を上げることもなく、首だけでわたしを見るようになりました。
会話はいつも同じで、病院を自宅と勘違いしている祖母と家の畑に何を植えるか?そしてわたしの顔をなぜか気に入っている祖母が、「いい男だ」と連呼するというものです。実際はいい男でもないのですが、人間褒められるとついつい笑顔になってしまいますよね?会話が続かない時に何をしてたかというと、笑顔の交換でした。
祖母が褒め、わたしが笑顔になる、すると祖母も笑顔になって、それでわたしも笑うという事を繰り返しました。認知症テスト30点満点で5点しか取れないところまで進行していた祖母ですが、最期まで笑顔には笑顔で対応してくれました。笑顔を認識する能力は、最期まで衰えてなかったのです。
たまにしかこない訪問看護師さんの名前だけすぐ覚える認知症の母
母の元にはヘルパー、作業療法士、サ責、ケアマネ、デイサービスなどいろんな人が来ます。あまりに多すぎて名前と顔が一致しない母でしたが、一番最初に覚えたのが訪問看護師さんでした。訪問看護師さんは2週間に1回しか訪問しないため、他の介護職の方よりも会う回数は少ないのにすぐ名前を覚えたのです。それはなぜか?
訪問看護師さんが笑顔だったからです。母の同じ話の繰り返しにも付き合ってくれて、常に笑顔を絶やさない。それは1人ではなく、その病院の看護師さん全員がそういう対応だったのです。
会う頻度が少ないのになんで名前をすぐ覚えるんだろう・・・不思議だったのですが、ためしてガッテンを見て納得したのです。認知症でも笑顔を読み取るんだと。、介護者が疲弊してしまって笑顔を忘れてしまうと、名前を忘れられてしまいますよ!
今日もしれっと、しれっと。
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