認知症の母の前ではどうしても風邪をひけない理由

認知症の母の前ではどうしても風邪をひけない理由

この季節、遠距離介護をしていて困るのが気温差です。

岩手県盛岡市は本州一寒い県庁所在地と言われ、厚着が必須です。しかし、都内や新幹線の中では暑すぎて、汗をかいてしまいます。コートを着たり脱いだりしているうちに、体調を崩してしまうことがあります。

つい先日も風邪をひいてしまったのですが、認知症の母には絶対に伝えませんでした。なぜか?

「息子への心配が、過剰になってしまうから」

です。

息子を想う母の気持ちは大変ありがたいのですが、認知症特有の”繰り返し”が病体にムチを打つのです。

母
熱は何度あるの?薬は飲んだの?寝てなさい!
母
早く病院に行きなさい!

1度ならありがたいのですが、何度も何度も同じことを繰り返します。せっかくの心配や愛情は、すべて憎しみへと変換されてしまいます。

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わ、わかったから…

以前風邪をひいたとき、こんな思いを経験したので、顔が赤かろうが寒さに震えようがいたって平然を装いました。

小さい頃の母なら、こんなときおかゆを作ってくれたよな…、氷まくらを持ってきたよな…そばに看病してくれる母がいるのに、まるで独り身で風邪をひいているのと同じでした。

熱を下げようと厚手の布団をかぶって寝ようとしたとき、ある事がふと頭をよぎりました。

介護に疲れた介護者は、風邪をひいた私と同じ状態

「介護疲れがひどい介護者も、風邪をひいた自分と同じだ…」

介護者が弱ってしまうと、認知症の人の言動を受け入れられなくなります。何度も同じことを言う、とんでもない暴言を吐くなど、いつもなら受け流せるはずが、弱っているために怒ってしまったり、辛く当たってしまったりすることがあります。

風邪で弱ったわたしが、母の心配をシャットアウトしてしまった出来事は、介護に疲れた介護者の日常ではないかと思ったのです。

認知症の人の言動をふつうに受け入れられない、ちょっとした事ですぐヒステリックになってしまうようなら、介護者自身の処方箋が必要です。

1日なら耐えられることも、1週間、1か月、1年とストレスが蓄積していると、何でもないことでイライラしてしまいます。

認知症の方の対応だけではなく、ご自身のお仕事や子育て、人間関係など介護者を疲れさせる要素はいっぱいあります。

「介護者の皆さま、疲れていませんか?」

介護者自身の体調管理、メンタルを保っておかないと、自分も大変な目に合うし、認知症の方にも迷惑をかけてしまいます。風邪をひいて、改めて学んだことでした。

今日もしれっと、しれっと。


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くどひろ
1972年生まれ。ブログ「40歳からの遠距離介護」を運営する息子介護作家・ブロガー。祖母(要介護3)と母(要介護1)のW認知症&遠距離介護。 2013年3月に介護退職し、現在も東京と実家を年間20往復中。認知症サポーター、成年後見人経験者。『ひとりで抱えず、人に頼る。情報発 信し、同じ境遇の人をラクに!』をモットーに、しれっと介護中。著書「医者には書けない!認知症介護を後悔しないための54の心得」「医者は知らない! 認知症介護で倒れないための55の心得」
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