介護サービスを受ける際、家族にとって欠かせない存在がケアマネジャーです。
そして、家族介護が集まるイベントに参加すると必ずといっていいほど出る話題が、「うちのケアマネは全然ダメ!」といったケアマネさんへの愚痴です。本来の議題そっちのけで盛り上がることもよくあります。
しかし、いくら私たち家族が陰で愚痴を言ったところで、状況は変わりません。「何もしてくれない」と不満を漏らす前に、何ができるのでしょうか?
家族がケアマネに渡すべき8つの情報
「ケアマネがうちの事情を全然分かってくれていない…」
こうした愚痴をこぼす前に、まず改めて確認したいのが、ケアマネさんに必要な情報を共有できているか?ということです。介護中はどうしても感情が先走って、自分の頭の中で完結していることも多いからです。
最初の頃は、ケアマネさんも家族の内情を把握するのに苦労されます。イチからやさしくヒアリングしてくださるケアマネさんも多いですが、そうでない場合もあります。家族側から情報提供すれば、より正確な内容が伝わります。介護状況を自ら把握する意味でも、一度冷静になって、下記8つの視点でまとめるのがおすすめです。
- 家族: 家族構成はどうなっているか?
- 生活: 身の回りの事をどこまでできるのか?
- 経済状況: 介護や医療にかかる経済的負担
- 地域とのつながり: 近隣や民生委員とのつながり
- 居住環境: 戸建か?在住期間は?
- 介護状況: ヘルパーさんの利用頻度 家族の協力
- 日常生活動作: 排泄はできるか?どこまで自立しているか?
- 医療情報: どんな病気を抱え、いくつの病院に通っているか?
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これらは口頭ではなく、紙で伝えるといいです。人間忘れてしまう生き物ですから、紙に残しておけばケアマネさんも後で見ることができます。
ケアマネの世界では、「利用者本位」という言葉がよく使われるそうです。しかし、利用者家族の分析も必須と考えるケアマネさんも中にはいて、わたしたち利用者家族としても積極的に情報提供することで、よりケアマネさんの豊富な経験や知識を引き出すことが可能になります。
利用者は最も大切、次に利用者家族についても理解してもらうこと(愚痴ではない)が大切です。
自分だけのケアマネではない、みんなのケアマネ
家族が認知症になって、藁をもすがる思いでケアマネに相談する介護家族。「何でもやってくれるのが、当たり前」というイメージを家族は持ってしまいがちです。しかし、頼ってばかりでは状況は好転しません。時には自ら動くことも必要です。
例えば、我が家の場合は、デイサービスの決定はケアマネさんを頼りませんでした。かかりつけ医に助言をもらい、自ら見学に行って、決めました。ケアマネさんには事後報告です。デイへの送り出しも、デイ所長と話しているときにアドバイスを頂いて、ケアマネに相談しました。自ら動いてみた一例です。
介護に直面するとどうしても「自分だけのケアマネ」と勘違いしてしまいますが、ケアマネさんは同時にたくさんの利用者を受け持っているということも忘れてはいけません。「みんなのケアマネ」なのです。
「あの人、何もしてくれない」ではなく、まずは「動いてもらうには、どうすればいいか」と考える。一緒になって、介護に取り組む姿勢を見せることで、ケアマネさんの協力がより得られます。
ケアマネによって認知症の理解に差がある事実を理解する
「認知症治療において、ケアマネさんで差がきっちり出ますよ」
これは主治医の意見です。ケアマネさんによって、認知症に対しての勉強量に、かなり差があるんだそうです。家族としては、勉強しているケアマネに当たれば安心ですが、そうでない場合は大変です。見極めが難しいのですが、家族として納得できない場合は変更することも視野に入れるべきです。
ちなみに私は、いいケアマネさんには下記の共通点があると思います。
- 認知症カフェなど、介護イベントに足を運ぶ
- ブログなどで情報発信している人
あくまで個人の主観ですが、上記のようなタイプの方は、ライフワークとして介護と向き合っているので、情熱的で頼れる印象があります。しかし、こうしたケアマネさんに巡り逢えることは稀なのが現状です。
だからこそ私たち主介護者は、受け身でなく、家族も自ら情報を集めて、認知症の勉強をするのが大切だと考えています。そうすれば、家族自身が主導権を持って、認知症の人にあった体制を組んでいくことができます。ケアマネさんをはじめ、周りの力を上手く借りる技術を、私たちも磨いていくべきではないでしょうか。
今日もしれっと、しれっと。
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