こんにちは。働きながら、アルツハイマー型認知症の母を自宅で介護している、ななです。みなさんは「介護の集い」をご存知でしょうか?介護家族が集まって、介護の相談や情報交換をする会のことで、全国各地で頻繁に行われています。今回は、実際に介護の集いに参加してみた経験から、気づいたことをお伝えしたいと思います。
初回記事:仕事と介護を両立!ワーキング・ケアラーななの認知症介護日記はじめます!
目次
在宅介護の不安な気持ち、「誰かと共有したい、話したい」
日々、母の介護をしていると、色々な不安や悩みが生じます。母の体調や認知症の症状のこと、金銭面での心配や、「この先どうなるんだろう?」といった漠然とした不安など、考えだしたら切りがありません。いつも頭の片隅にずーっと張りついている感じです。
介護をしている人なら誰でも、こうした「漠然とした不安や介護の悩みをわかってほしい、思いを共有したい」と思うのではないでしょうか。
勇気を振り絞って介護の集いに参加してみた
介護が始まって間もない頃、母の物盗られ妄想について悩んでいました。私の年代(30代後半)だと、まだ周りに親を介護している人は少なく、友達にはなんとなく話しづらい。誰にも相談できず、ひとりで全てを抱え込んでつらかった時、この気持ちを誰かと共有したいと思うようになりました。
当時、軽い介護うつ状態で会社と家の往復しかできなかった私にとって、介護者の集いに参加することは、かなり勇気がいることでした。それでも、「誰かにわかって欲しい」という気持ちが勝って、勇気を振り絞って家族介護者が集う会に参加してみることにしました。
参考記事:「泥棒に育てた覚えはない」母の物盗られ妄想と闘った日々
介護者の集いってどんな会?
全国各地に多数の介護者の集いがあります。運営母体は、行政主体のもの、NPO法人が運営しているものなど様々で、「つどい」や「家族会」、「介護相談会」など、呼び方も色々です。家族介護者だけでなく、介護職の方や介護に関心のある人が参加しているケースもあります。
内容もさまざまで、
- 介護家族が集まってお茶を飲みながら話をする
- 介護経験者の経験談を聞いて参考にする
- 介護保険制度について学ぶなどの勉強会やワークショップ
などがあります。
貴重な有休を使って、いざ緊張の初参加。
私が初めて参加した介護者の集いは、行政(自分が住んでいる区の介護保健課)が開催しているものでした。ほぼ毎月1回開催されていますが、行政なので平日昼間の日程しかありません。半日有休を取って参加しました。
前半は区役所の職員の方から介護保険制度についてなどの話があり、後半は参加者同士が介護の悩みなどを自由に話すという構成でした。
参加者は、区の職員が3名、介護家族者は全員女性で私を含め7、8名。参加者の年齡は(当時30代だった私を除いて)50代から70代だったと思います。平日昼間ということもあるのでしょう。フルタイムで働いている同年代の参加者はいませんでした。
「そんなの大したことじゃない」参加者の言葉に大ショック
席について、藁にもすがる思いで物盗られ妄想で悩んでいることを話しました。家族介護者同士、きっと共感してもらえる、と期待しながら。けれど、他の参加者の反応は、想像と真逆のものでした。
「そんなのたいしたことじゃない」
「まだまだ考えが甘い」
「私なんて徘徊して徹夜で探すことになって大変だった」
「(老老介護で)体力がないから辛い。若いくせにそんな愚痴言うな」
そこには共感もなく、アドバイスもなく、気づけば他の参加者の苦労自慢にすり替わっていました。私は何をしに来たんだろう?何のために会社を休んでここに来たんだろう?ショックと悲しみでしばらく立ち直れませんでした。
参加者自身に余裕がないと、他人の話を聞く余裕もなくなるのかもしれません。
自分に合った家族の集いを選ぼう
今回の私の場合、悲しい経験になりましたが、介護の集い自体を否定する気は全くありません。同じ「家族介護者」といっても、立場や状況は人それぞれ。考え方や価値観はひとりひとり違うのは当たり前です。大切なのは、自分に合った集いを見極めることなのかな、と思います。
運営者の方針や性格によって、その会のカラーは全く違います。集いの中には、始まる前に「否定するのは禁止」とルールを設けているところもありますし、ファシリテーターが間に入って、お互いの気持ちを思いやってアドバイスし合えるよう誘導してくれるところもあります。可能だったら、参加前に下記のポイントを確認してもいいかもしれません。
- 集いの進め方にルールはあるか?
- ファシリテーターはいるか?
- 集いのテーマは自分に合ったものか?
- 参加者の年代は自分に近いか?
- 自分と介護の境遇が近い人が参加するか?
事前にすべて把握することは厳しいかもしれませんが、これらのポイントをチェックしてみることで、より自分に合った会に巡り会える確率は高いと思います。集いの場は色々あるので、ひとつのところにこだわる必要はありません。
介護者の集いだけにこだわらない
ひとりで抱え込むよりも、悩みを吐き出せる場があるほうがずっと精神的に楽ですが、悩みを吐き出すためにストレスが溜まってしまっては、本末転倒です。
介護の悩みを共有できる場所は、集いだけではありません。かかりつけ医、地域包括支援センター、ケアマネ、社会福祉協議会。そして、家族や友人。頼れる(はずの)選択肢はたくさんあります。すでに介護が終わった人やボランティア主催の認知症カフェといった場もあります。他人を思いやる精神的な余裕がある方が多いのでお勧めです。
悩みの全てをどれかひとつで完結しようと思うとハードルが高いです。だからちょっとずつ頼ればいいのです。
つらいときには「つらい」と言う。助けが欲しいときには「助けて」と言う。介護を無理なく続けていくために必要な姿勢です。ひとりで抱え込まないように、必要な時に耳を傾けてくれる存在を、上手に見つけていきたいですね。


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