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【魔法の一手ではなく、最適な一手を】
確かなやり方なんてどこにもない。
昨日までうまくいってたやり方が
今日はダメ!なんてことはありうること。
あなたが怒っている時に
毎回同じ声かけで
気分が晴れるわけじゃないように。
そして、晴れない時もあるよね。
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介護の行き詰まりを打開する“魔法の一手”が知りたい!
人を支援するということは、なにかと思い通りにいかないものです。それは頭ではわかっていても、やっぱり「これで解決するよ!」という“魔法の一手”が知りたくなります。ただ、人を支援する仕事に、いつでも、どこでも、誰にでも通用するような“魔法の一手”は存在しません。
だいたい、自分たちのことを考えてみればそれは明白でしょう? 例えば、大好きなギャグであれば、毎回笑ってしまうっていうことはあるかもしれませんが(笑)、怒っている時に、「これを言われたら怒りが収まる」なんて言葉はないでしょう。悲しんでいる時にも、「これを言われたら悲しみが晴れる」なんて言葉もないでしょう。
“魔法の一手”ではなく“最適な一手”を見つけよう
「Aさんで通用したケア方法が、Bさんで通用しない」「本に書いてある通りにしたのに、うまくいかない」ということは、珍しいことでも、不思議なことでもなく、ごくごく自然なことです。にもかかわらず“魔法の一手”を求め続けていると、その一手に出会うまではストレスと困惑から解放されることがありません。
「Aさんには通用しないけど、Bさんに通用する」「本にはゼッタイやってはダメ!と書いている方法だけど、意外とうまくいく」という体験をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。それこそが、その人にぴったりな“最適な一手”なのです。
では、どうすれば“最適な一手”にたどり着けるのでしょうか。今回は、3つの心構えをご紹介します。
◆1.「ピッタリ合う方法を探すこと」に関心を向ける
思い通りにいかないケア場面では、「介護の大変さから抜け出すこと」に関心が向いている可能性が高いですが、「本人にピッタリあう方法を探すこと」に関心を向けることが重要です。前者は介護者のためになりがちですが、後者は介護者のためだけでなく、本人のためにもなるからです。
◆2.「その人ならでは」を大切にする
先にもあげたように、他の人で通用した方法が必ずしもうまくいくとは限りません。生き方も、性格も、体調も、価値観も、環境も、人間関係もすべて人それぞれですから、むしろ通用しなくて当たり前です。そして、ピッタリ合う方法のヒントは、やはり「その人ならでは」の情報に隠されているので、本人に注目することがやはり大切です。
◆3.「いい具合にいく条件」をキャッチする
意外とわたしたちが見落としがちなのが、「いい具合にいく条件」です。うまくいかないケアがあると、「どうしてもうまくいかないんだろう?」と考える習慣を多くの人は持っていると思いますが、うまくいった時に「どうしてうまくいったんだろう?」と考える習慣を持ち合わせている人は少ないものです。確率的にうまくいかないことが多いと、うまくいった時のことを「偶然の出来事」のようにとらえてしまうことってあると思います。でも、ヒントはそこにあるはずなので、いつ、どんな環境で、誰が、どんなタイミングで、具体的にどのような声かけや介助でうまくいったのか、その時の本人の体調や心境はどうだったかといった「いい具合にいく条件」をキャッチするようにしましょう。


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