認知症を周囲が認識した初期、父には不穏な状態と同時に、身体の不自由が効かない状態が現れてきました。今回はこの身体の自由が効かない状態の“介助”について書いてみます。
目次
はじめての身体介助。特に苦労したポイント
当時の父は、眠いときや何かのきっかけで意識が朦朧としているときに全く身体の自由がきかなくなっていました。同時にこの頃父の身体が板のように硬直していたのもあるとは思いますが、その父の身体を動かす必要がでてくるようになって初めて、人の身体を動かすことを本人の協力なく行うことがどれほどまでに難しいかを痛感しました。いくつか特に苦労をした例を挙げてみます。
床に倒れている身体をベッドに寝かせる
介護ベッドの使用を始めるよりも前、症状が出始めた初期の頃よく行ったのが、ベッドから落ちている父をベッド上に戻すことでした。
床に転がっている状態から上半身を起こして座位し、そこから立ち上がらせてベッド上に寝かせる。ただこれだけのことがこんなに難しいとは。まずはそもそも座位にならない。そして座位にしても立ち上がらせることができない。なんとかベッドに乗せても頭の位置を枕までずらすことができない。きちんとした姿勢で寝ていないとすぐにベッドから落ちるので、落ちていない時でもベッドの上で身体の位置をずらすことは頻繁に必要でした。
いすに身体を載せ替える
家の中での自立歩行ができなくなり、車いすをレンタルしましたが、車いすから・車いすへの乗せ替えも大変でした。レンタル貸与時に方法を教えてもらったものの、これがどうやってもスムーズにできない。テレビでやっていた介助の方法を説明する番組を録画して参考にしてみましたが、やはりこれも本人の協力がない状態はだいぶ難しい介助でした。
トイレで用を足す
意識があるときはトイレに行って用を足していました。幸い早いうちに座って用を足すことに切り替えられたのですが、普段私たちが何気なく座っているトイレでも、実は適切な座り方があるようです。
そしてどうしてもその体位を取らせることができない。父を前にして、自分で座ってみたりしながらどう父の身体を動かしたらいいのか悩んでいる時間が父へのプレッシャーとトイレへの苦手意識にもつながってしまうのも悩みでした。
介護初心者の強い味方はインターネットの情報!でも検索ワードを知らなければ情報にたどりつけない。
ネットで色々調べてみましたが、なかなか思い通りの結果がヒットしないものです。ネットは便利ですが、そこにいきあたるキーワードを知らなければ検索結果にはいきあたらないのは当然で、最初の頃は「介助」「移乗」などのキーワードが思いつかなかったのです。
何度も検索しているうちにやっと欲しい情報に近づけるようになりましたが、一番助かったのはYouTubeです。取り急ぎの知識としてネット上で見つけた介助方法の図解説明を覚え、時間があるときに具体的な説明がついた動画で勉強をしました。即実践に役立つものも、どうやってもうまくできない動きもあり、姉とお互いを被験者にしながら練習をしてみたりもしました。一緒に介護をする人がいるのはこういうときにも役に立つものだと実感しましたが、こういった工夫を考えたり何かをできるようになるために努力する時間は介護に前向きになれる気晴らしの時間でもあった気がします。
介助が必要になる前に、知識として知っておくことの大切さ
介助が理由だけではありませんが、私は介護初期の頃すぐに腰を痛めてしまいました。どんなにYouTubeをみて練習してみても素人ですから無理な力がかかってしまいます。このときに実感したことは、基本的な介助方法は介護が始まる前に身につけていくことが必要であるということ。もしくは検索キーワードを知っているだけでも違うと思います。人間のからだの構造を理解することにもつながるし、学校の授業の一環でとりあげたらどうかしら、と思っています。いつか機会があったら是非提案したいものです。。

えふ

最新記事 by えふ (全て見る)
- 親のトイレ介助で困ったことTOP4&便利グッズ - 2016/1/13
- 介護初心者がはじめての身体介助でぶつかる壁の話 - 2015/10/5
- 認知症の父の気持ちを代弁する「取扱説明書」を作成してみた - 2015/9/17
編集部おすすめ記事
この記事を読んだ人にぜひ読んでほしい、その他の記事