地域から孤立する「男性介護」、世間体を気にする「女性介護」

【アイキャッチ】男性介護、女性介護

以前参加した「アラジン介護者フォーラム2014」で、男女の介護についてこのようなデータが紹介されました。

以前は女性84%、男性16%という比率で在宅介護をしていた。ところが2010年現在、男性比率は30%まで上昇し、今後40%まで伸びていく

わたしも男性介護者の一人ですが、今後、介護を語る上で男女の差はどんどんなくなっていきます。しかし、介護のやり方について、男女それぞれに特徴があるようです。その特徴を介護者が知っておくことで、より冷静に介護と向き合えます。ということで今回は、男性介護と女性介護の違いを取り上げてみます。

男性介護、女性介護、それぞれの介護の特徴

ニッセイ基礎研究所の松浦 民恵さんの 『働く人による介護の実態 -男性介護者に注目して』 の中にある男性介護、女性介護の特徴をご紹介します。

■男性は看病や家事の経験が少ない、地域のネットワーク構築が苦手
→ そのため、介護を抱え込み、苦悩する懸念が大きい

■男性は女性に比べ、自分自身で介護を行わず、他の人を積極的に使う傾向
→そのため、介護に携わる時間は女性より短い

■男性は介護施設を利用していて、自宅介護率は低い。

■介護費用の負担が、男性の方が多い

■男性は経済的負担感が大きく、女性は身体的・精神的負担感が大きいと思っている

■遠距離介護の女性の場合は、精神的な負い目を背負いがち
→本来、自分が家で介護しなければいけない、という思いや、他の家族の目が気になる

■介護に専念していない、仕事と介護を両立している男性は、介護負担感を抑制できる

この特徴から分かるのは、男性介護者は女性と比べてご近所や地域間でのネットワーク作りが苦手な傾向にあり、家にひきこもって、孤独になりがち。ひとりで悩み、ひどい時には虐待にまで及ぶということです。実際、介護殺人や虐待事件の多くは息子や夫という男性が加害者という現状があります。一方、割り切ることが得意な人も多く、施設を利用したり、介護サービスを使うことにためらいがないのも特徴です。

一方の女性介護者は、介護をオープンにして友達とも積極的に情報交換ができます。男性と比べ、ひとりで抱え込むことは少ないのですが、オープンな分、自分の介護に対しての世間体・他人の目が気になるため、精神的に疲弊する…というデメリットもあります。

時代錯誤の思い込みはナンセンス

また、こう考える方もいます。

「わたしが介護しなきゃ、女性なんだし」

今まで女性が介護を担ってきた歴史があるので、特に年齢が上の人ほどそう思う傾向にあります。そういった責任感から、施設や介護サービスを利用せずに、自分でなんとかしようとする傾向がいまだにあります。

また、男性介護者が増えてきたとはいえ、やはり家事が苦手な男性はまだまだ多いです。主介護者が男性であっても、家事や子育てを女性が一手に担っているケースも多々あります。

共働き家庭の数も、未婚率も増加の一途を辿るこの時代。男だからとか女だからという意識は今後なくなっていくでしょう。男性は女性のいいところである「気軽に相談する」を取り入れ、女性は男性のいいところである「人に頼ることを厭わない」を取り入れることで、介護をラクにすることができます。それぞれのいいところを取りいれることが、今後は大切ではないでしょうか。

今日もしれっと、しれっと。

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工藤広伸(くどひろ)
1972年生まれ。ブログ「40歳からの遠距離介護」など執筆を生業にする介護作家・ブロガー。祖母(要介護3)と母(要介護1)のW認知症&遠距離介護からスタート。父(要介護5)も在宅介護して看取る。成年後見人経験者、認知症ライフパートナー2級、認知症介助士。なないろのとびら診療所(岩手県盛岡市)地域医療推進室非常勤。現在も東京と岩手を年間約20往復しながらしれっと遠距離介護中。

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