認知症の父を持つ、介護家族のえふです。認知症になったからといった、全く何も分からなくなるばかりではありませんし、本人も色々な感情を持っていると思います。けれども、周囲からはそのように見えない・思われないことがままあり、第三者から「認知症だから、分からないはず」という風に接される事があると、そばにいる身としてはハラハラしてしまいます。父の気持ち分かってもらうのはどうしたらいいのか、それを考えて「取扱説明書」を作ってみました。
本人の前であけすけな話をするヘルパーさんにハラハラ・・・
突然ですが、「79歳、認知症の男性」と聞いて、どんな人をイメージしますか?もしかしたら一般的には、「耳が遠くなっている」とか「何を話しても分からない」と思われるのかもしれません。実際、我が家に来てくれたヘルパーさんの中にもそう考える方がいたようでした。
こちらの耳が痛くなるほど、大きな声でお話をされるヘルパーさん。けれども父は、恐ろしく耳が良いのです。「お父さん、このままではよくないですよ。そのうちもっと酷くなる心配がありますね!」そんな話を、父の前で堂々と話すヘルパーさん。
けれども、父は周囲の話はほとんど理解していました。そして、もともと極度の「恐がり」です。もともと気にしていることは訴えたいし、少しでもネガティブなことを言われると不安になる人です。ヘルパーさんの発言が父の不穏状態につながりかねず、こちらはハラハラです。
けれども、ヘルパーさんはケアプランで決められた時間内に、決められたことをこなさなければならず、十分にお話をする時間がありません。ケア中に、父がいる前で、「ネガティブな話をしないでください」とはさすがに言えず、頭を悩ませました。
『お父さん取扱説明書』で本人の気持ちを代弁する
どうしようか、と考えた結果、たどり着いたのが父の「取扱説明書」をつくることでした。題して、「お父さんの気持ち」。
★下の歯の前の方は、何本か根っこがないから、強くみがくのは心配
★ネガティブな意味の単語は、聞くととても不安になる
★協力はするよ(ただし気分による)
★ギャンギャンでかい声でしゃべるなよー
父の気持ちを代弁するような形でで、ヘルパーさんに気をつけてもらいたいことを書き連ねたメモです。これを、目につきやすいベッドサイドに貼っておきました。
↓実物はこちら。
結果、ヘルパーさんがそれをちゃんと読んでくれたのかわからないのですが、目を覚ましている本人の前であけすけな話はしなくなりました。幸い間もなく父の状態も好転しはじめ、不安になるような話も減りました。
「書く」ことは、介護者の気持ちを整理するきっかけにもなる!
取扱説明書の一件以外にも、介護者の気づきをきちんと言語化することは大切だなぁ、と思います。例えば、父は認知症が進むにつれて少しずつ意味が分からない言葉を発することが増えてきたのですが、トイレに行きたいことを訴える時は、何種類かのお決まりの言葉がありました。下記のように、『お父さん語録』と題して、貼り出した結果、このメモを目にする度、「今、父が伝えたい事は何か?」を考えるようになりました。
↓実際のメモです。
また、交互に実家に通っていた姉とは、『交換介護日記』をつけていました。お互いにとっての気付きを交換することは、介護する上でとても有効だと思います。
お一人で介護をされている方でも、思いついた時にだけでも、何かを「書く」ことは、気持ちの整理やストレス発散にも有効なのではないかと思います。

えふ

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