同じ会話の繰り返しから自分を守る「メモメモ切り返し法」

以前に書いたこちらの記事(認知症で「同じ事を繰り返し言う人」に対しての「4つの対処法」のはなし)では4つの対処法をご紹介したのですが、5つ目の対処法が今回ご紹介する「メモメモ切り返し法」です。

「介護者は、同じ話を5回まで聞くことができる!」という松本診療所院長・松本一生先生の話を紹介したのですが、実は単なる目安でしかなく、目安がないよりはあったほうがいいというお話でした。人は5回以上同じことを聞かされると過度なストレスがたまり、ケアする家族の心が疲弊してしまうんですね。

母は同じことを5回言うのに5分とかからない人です。5回以上もし繰り返した時、自分はどう対応してたかな?どう自分を守ってたかな?というのが、今日のお話です。

メモメモ切り返し法とは?

「メモメモ切り返し法」は有名な医者や学者が唱えたものではなく、わたしの完全オリジナルです。手書き“メモ”で、”メモ”リー(記憶)に訴えかけるので、そういうネーミングをつけてみました。

やり方は簡単で、ペンとメモ用紙を持って認知症の人の話を聞くというものです。5回以上同じ質問をされると、介護者はストレスがたまることは松本先生の話で分かっているわけですから、4回目の質問のあたりで答える内容すべてをメモします。例えば、

「明日の予定って、なんだっけ?」

と4回質問を受けた時に、5W1Hすべてを網羅する回答をメモ用紙に書く、そして5回目以降はその紙を見せて、自分では回答せずに指差しで対応する方法です。上記質問に対しては、

Who(誰が)→ 息子と一緒に  
What(何を)→ 認知症の診察を受ける
When(いつ)→ 明日の朝10時
Where(どこで)→ A病院
Why(なぜ) → 症状を診てもらうため
How(どのように) → 車で

5W1Hを網羅すると、母も質問しようがありません。聞きたいことすべてがメモに書かれています。網羅されている事が大切で、漏れている場合はそこを質問されることが多かったので、この方法にたどり着きました。

6回目も7回目も同じ質問はされますが、紙を見せて「これ読んでみて」とだけ言います。8回目、9回目と続いたら、その紙を本人の目の前に置くようにすると、次第と同じことを質問しなくなります。

「明日の予定って、なんだっけ?」

と思ったその瞬間、目の前には完璧な答えが用意されている状態になります。要はメモが安心感を与えて、不安を消し去る効果があります。口頭で何度も返事する事自体疲れるので、紙で逃げられるという介護者のメリットもあります。

このメモメモ切り返し法は、2年以上やってます。あくまで介護者自身を自己防衛するための対処法です。紙以外にもホワイトボードを使っていた時期もありましたが、ホワイトボードをもって話を聞く姿に違和感を持ったようで、メモで対処するようにしています。

今日もしれっと、しれっと。

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工藤広伸(くどひろ)
1972年生まれ。ブログ「40歳からの遠距離介護」など執筆を生業にする介護作家・ブロガー。祖母(要介護3)と母(要介護1)のW認知症&遠距離介護からスタート。父(要介護5)も在宅介護して看取る。成年後見人経験者、認知症ライフパートナー2級、認知症介助士。なないろのとびら診療所(岩手県盛岡市)地域医療推進室非常勤。現在も東京と岩手を年間約20往復しながらしれっと遠距離介護中。

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