介護施設で働く中で感じていたことは、「衣・食・住」という基本的な日常生活のお手伝いをすることももちろん大事なのですが、「レクリエーション」の比重も意外と高いな、ということでした。することもなく、1日中テレビをぼーっと見て過ごしたりしていると、特に高齢者はすぐに認知症になってしまいます。人と話すこと、日常生活動作以外のところで気分転換として体を動かすのは人間にとって大切です。中でも折り紙は、手先も頭も動かすので、脳を活性化するともいわれ、リハビリとしても注目されています。今回は、レクリエーションとしての折り紙の可能性について書いてみたいと思います。
考えながら、楽しむ「折り紙」。回想法としての効果も!
私が施設勤務時代、中心となって取り組んでいたレクリエーションの1つに、折り紙がありました。もともと好きだったからなのですが、利用者さんから「折り方を教えてほしい」と言われ、レクリエーションとして取り入れてみようと思ったのが始まりでした。
折り紙は、手先を動かすので頭の体操にもなりますし、短時間で1つの作品が作れるので手軽に達成感を得ることもできます。また、女性なら子供の頃誰しもが遊んだことがあるものなので、意外と折り方を覚えている場合もあるのです。認知症がある方にとっては、昔作ったことがあるものをまた作ることにより、コミュニケーションが生まれ、回想法の効果も期待されます。
ただ単純に指を動かすだけでなく、「どんな作品になるかなー?完成したら、孫にプレゼントしてあげようかな?」などと、考えながら、楽しみながら、出来上がりをイメージしながら折ることで、脳も活性化されます。
季節の折り紙やノスタルジーを感じる作品が人気
折り紙レクリエーションを行う中で、気をつけていたのは、あまり難しくなくて、時間のかからないものを選ぶこと。難しすぎると、途中で諦めてしまったり、飽きやすくなります。
作品は、春なら桜、夏なら七夕にちなんで星、秋ならどんぐりや動物、冬ならクリスマスのオーナメントやサンタクロースなども作っていました。また、昔懐かしい紙鉄砲や紙飛行機も作り、出来てから遊べるように考えたりもしたのも好評でした。
また、梅雨の時期は、みんなで紫陽花の花をたくさん作り、1枚の模造紙にまとめて掲示することで、皆さんに見てもらったりもしていました。参加した方によっては作った作品をそのまま置いて行ってしまう方もいたので、その場で作品として皆で作り上げられたことがレクリエーションを完結させることにもつながったのだと思います。
介護者も一緒に「楽しんで」取り組むことが大事!
レクリエーションを行う上で大事だと思うのは、決まった時間内に収めること、大人数の場合は特に、途中で事故が起きないように人員配置を考えることです。つまり、レクリエーションは基本的には1人では出来ないと考えた方がいいと思います。利用者さんを楽しませたいという気持ちを実施者それぞれが持ち、役割を果たすことが大事なのです。
また何より重要だと感じたのは、実施する方も楽しむこと。一緒に楽しむという気持ちがないと、利用者さんの笑顔を引き出すことは出来ませんし、場を盛り上げることも出来ません。高齢化社会がすすむ中、だれでも簡単に始められる折り紙は、今後ますます注目されるのではないでしょうか。

佐藤 瑞紀

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