認知症高齢者をハグと会話で癒やす「テレノイド」が事業化へ

【アイキャッチ】テレノイド ニュース

つるりとした真っ白な体に短い手足…斬新なビジュアルが特徴的な、遠隔操作型アンドロイド『テレノイド』。このテレノイドを、認知症の高齢者が「抱きかかえて」会話すると、著しく情緒安定する効果が見られることが、株式会社国際電気通信基礎技術研究所(以下「ATR」)が6年間かけて行った介護施設での実証実験で明らかになりました。

石黒浩教授今月14日、株式会社テレノイド計画は、この『テレノイド』を活用した要介護高齢者向けの新しいコミュニケーションサービスを事業化することを発表しました。テレノイドを開発したのは、ATRの特別研究所・所長の石黒浩 大阪大学特別教授(写真右)。今年4月日本テレビでスタートした番組『マツコとマツコ』で天才ロボット工学博士として紹介され注目を集めています。

極限まで人間の情報を削ぎ落したからこそ引き出せる「安心感」

テレノイド外観テレノイドは、外観を実在する人間の姿に似せた他の遠隔操作型ロボットとは対照的に、人間としての必要最小限の見かけと動きの要素のみを備えたロボット。このロボットを抱きかかえながら話すと、まるでその声の主を抱きかかえながら話しているような感覚を持つといます。

その理由について、開発者の石黒浩 大阪大学特別教授は、「人は、情報が足りないと想像で関わろうとする。あえて目と声だけ人間らしい情報を与え、それ以外は性別も年齢も分からないニュートラルなビジュアルにすることで、ポジティブな印象がはたらく」と発言。これは、認知症の症状が深い高齢者も同様だといいます。

実際、若い人がテレノイドの見た目を「怖い」と評価する一方で、高齢者は外観に対する違和感をあまり持たないことが、デンマークや日本での介護施設での実証検証から分かっているとのこと。人間には猜疑心や遠慮の心理が働き話しをしたがらない高齢者も、テレノイドには心を開くケースが散見されているようです。

【テレノイドが話している様子】

うつ傾向の改善、暴言がなくなる――― 認知症高齢者の情緒安定をもたらす効果

テレノイドを抱える女性の高齢者
実証実験の様子(記者会見のスライドより)

介護施設での実証実験は約6年前からスタートしており、デンマークと日本で約10箇所の高齢者施設で常時テレノイドを活用したケアが実践されているとのこと。認知症の高齢者の反応については、不穏になりやすい人がテレノイドと会話した途端に穏やかになったり、うつ傾向の改善が見られたり、ポジティブな結果が多く、ネガティブな反応はあまり見られないということです。また、男性よりも若干、女性の反応が良いとのこと。その理由について、黒川教授は「膝の上に抱えられるサイズと重量感から、子どもを抱えている感覚にさせる」と述べています。

介護者に“置き換わる”のではなく、介護の“バリエーションを増やす”ロボットを目指す

今回の事業は、株式会社こころみが提供する高い傾聴スキルをもったコミュニケーターと高齢者との電話による会話の内容を家族に伝える「会話型見守りサービス」と、テレノイドを融合することで提供される、全く新しいコミュニケーション・サービスです。テレノイド計画は、この事業を通して、高齢者の「生活の質」を向上と健康の維持促進を実現したいとしています。

今後の事業ステップとしては、まずは認知症の高齢者に特化したコミュニケーションサービスを提供し、将来的には高齢者全般に通じるサービスにしていくとのこと。当面は、介護施設の認知症高齢者向けにテレノイドを貸し出して事業を始め、将来は在宅の高齢者にも対象を広げるということです。サービス開始の時期は半年後を目処にしており、料金などの詳細は今後詰めていく模様です。

【テレノイド事業概要スライド】
テレノイド事業概要スライド

代表取締役社長 神山晃男さん将来、テレノイドが目指す姿として、テレノイド計画 代表取締役の神山氏(写真右)は「テレノイドが介護者である人間に取って代わるのではなく、テレノイドをきっかけに会話の総量が増え、コミュニケーションのバリエーションを増やす役割を担うことができれば」と話しました。神山氏が示した、テレノイドのビジョンは、『人類の新しい友人を生み出す』。人型ロボット・テレノイドを新しいコミュニケーションツールの一つと捉え、会話の総量を増やしていきたいとしています。

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認知症ONLINE 編集部

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